クラフトビールにはどんな種類があるの? ビール好きに人気の10種を紹介

更新日:2023年3月31日

多彩な味わいで人気を集め、ちょっとしたブームになっているクラフトビール。その種類は100以上もあります。

「次はどんな銘柄を試そうかな」とワクワクしている人は多いでしょう。

特にクラフトビールを飲み始めたばかりの人におすすめしたい代表的な10種類と、おすすめの飲み方を紹介します。

クラフトビールは何種類ある?

クラフトビール 種類

クラフトビールとは、大手メーカーではない小規模ブルワリー(醸造所)で、ブリュワー(職人)が丁寧に仕込んだ希少性の高いビールの種類を指します。

1994年の酒税法改正により、大手メーカーでなくてもビールの製造免許を取得することが可能となりました。

全国各地に小規模ブルワリーが誕生し、生まれたのが「地ビール」です。それが時を経て「クラフトビール」と呼ばれるようになりました。

2018年にはさらに酒税法が改正され、ビールの原料として使用できる素材に、果実や香辛料が追加されるなど、制限が緩和。

これにより、各ブルワリーがより個性的なクラフトビールを生み出すことができるようになり、ビールの種類のバリエーションが増えることになりました。

参考:酒税法改正のあらまし(税務署)

クラフトビールの種類は100種類以上

クラフトビール 種類

クラフトビールは、原材料や造り方、色や味わいによって種類が分けられています。

この種類を「スタイル」と呼び、現在クラフトビールは100以上のスタイルがあります。

日本国内で一般的な大手メーカー醸造の「ビール」はのど越しを重視したものが多く、扱っているスタイルは4種類ほど。

対してクラフトビールは、原材料にその土地ならではの名産品を加えたり、ブリュワーのこだわり次第でコクや苦味に特化したり、泡立ちを良くしたりと、多様な味わいが生まれています。

知らない味わいを探求できる奥深さも、クラフトビールの魅力なのです。

クラフトビールの代表10種類を紹介

京都醸造飲み比べ6本セット
▲京都醸造飲み比べ6本セット

最近クラフトビールを飲み始め、どんな種類があるのかもっと知りたい! という人に向け、押さえておきたい代表的な10種類を紹介します。

1.ピルスナー

クラフトビール 種類

ピルスナーは、日本で「ビール」と聞くと最初にイメージする黄金色のビールです。

大手メーカーから発売されているビールのほぼ全てがピルスナーで、爽やかなのど越しが特徴。ゴクゴクと飲めるビールです。

「大手メーカーのビールが好き!」という人が初めてクラフトビールに挑戦するなら、まずはピルスナーから始めてみるのがおすすめです。

2.ペールエール

クラフトビール 種類

ペールエールは、ピルスナーに比べ、原材料のホップやモルトの香りを強く感じられる華やかさが特徴です。

ピルスナーに比べてコクの強い味わいがありながら、グビグビと飲める飲みやすさもあるので、ピルスナーの次のステップとして試すのもよいかもしれません。

口が大きく広がったグラスで飲むと、よりいっそう風味が楽しめます。

ペールエールについて詳しく知りたい方にはこちらの記事も人気です

3.IPA(アイピーエー)

クラフトビール 種類

インディア・ペール・エールの頭文字をとってIPAと呼ばれる、深い苦味が特徴のビールです。

1800年代イギリス領だったインドにビールを輸送する際、腐敗防止に大量のホップを入れて造られたことで誕生しました。

慣れるとやみつきになる苦味があり、「ビールの苦味が好き!」で、もっとパンチのあるビールに出会いたいという玄人志向の人にぴったりです。

4.ヴァイツェン

クラフトビール 種類

ドイツで生まれたビールで、ドイツ語で小麦を指す「ヴァイツェン」の名前の通り、小麦麦芽を50%以上使用して造られています。

他のビールに比べて苦味をほとんど感じない清涼感のある味わいと「バナナのよう」と表現されるフルーティな香りが特徴です。

これまでビールの苦味がニガテだったという人も一度試してみる価値があるでしょう。

5.フルーツビール

クラフトビール 種類

ベルギーで伝統的に造られている、果実や果汁を加えたビールです。使用するフルーツは、オレンジ・桃・レモン・イチゴ・チェリーなどバラエティに富んでいて、香り・味わいも特徴的です。

日本でもその土地の名産フルーツを原料に加えたフルーツビールが造られています。甘口のものなら食後にデザートビールとして楽しむのにもぴったりです。

6.シュヴァルツ

クラフトビール 種類

シュヴァルツは、ドイツで生まれた黒ビールの一種です。

チョコレートやアーモンドのような甘い香りを持ち、アルコール度数が低めに造られているため黒ビールの中では飲みやすさがNo.1ともいわれています。

濃厚そうな見た目によらず、あっさりした飲み口なので、黒ビールが初めての人でも挑戦しやすいでしょう。

7.スタウト

クラフトビール 種類

ギネスビールの創業者が発案した黒ビールの一種がスタウトです。原料の一部にローストした大麦が使われています。

「スタウト=力強い」という意味が示す通り、コーヒーやナッツのような濃厚・芳醇な香りが特徴です。

グビグビと一気に飲むのではなく、少しずつじっくり味と香りを感じながら飲みすすめていきましょう。

8.バーレイワイン

クラフトビール 種類

名前に「麦のワイン」という意味を持つビールがバーレイワインです。

ビールの熟成期間は通常2週間程度なのに対し、半年〜数年かけて熟成させることで豊かな熟成香を持たせていることが特徴です。

アルコール度数も8〜12.0%7~14%程度とワイン並みに高めとなっています。ワイングラスに注いで香りを楽しみながら飲むのがおすすめです。

9.ベルジャンホワイト

クラフトビール 種類

ベルギー発祥の白ビールをまとめてベルジャンホワイトと呼びます。原材料には、小麦とオレンジピール、コリアンダーなどのハーブが使われています。

フルーティな華やかさの中にピリッとしたスパイシーな香りを併せもち、口当たりはまろやかでヨーグルトのような酸味があります。

ビール通からビール初心者まで、幅広い層に愛されているビールです。

10.デュンケル

クラフトビール 種類

デュンケルは「暗い」という意味を持つドイツ発祥のビールです。ローストした麦芽を原材料に使用することで琥珀色の深い色合いになっています。

見た目は苦味が強そうですが、麦芽をローストすることで生まれるビスケットのような甘みが苦味と調和し、飲みやすくなっています。

黒ビールがニガテという人でも、コクを楽しみながら飲めるビールです。

ビールは発酵方法で2種類に大別

クラフトビール 種類

このように、ビールは多種多様なスタイルに分かれていますが、造り方によって大きく「ラガー」と「エール」の2種にも分類することができます。

のど越しすっきり「ラガー」

ラガービール」は、ラガー酵母を使い下面発酵によって造られたビールを指します。

下面発酵とは、5℃前後の低温環境でじっくりと時間をかけて発酵させる方法で、発酵後に酵母が底に沈んでいくことから“下面”発酵と呼ばれます。

雑菌が繁殖するリスクが低く、品質を保ちやすいことから、大手メーカーによる大量生産が行われているのがこのタイプのビールです。

ラガービールの大きな特徴は、すっきりしたのど越し。クラフトビールでは「ピルスナー」「シュヴァルツ」「デュンケル」などが、ラガービールの分類に相当します。

深い味わいを楽しむ「エール」

エールビール」は、エール酵母によって上面発酵させて造るビールです。

上面発酵とは20℃前後のやや高温であまり時間をかけずに発酵させる方法です。発酵後、タンクの上の方に酵母が浮かんでくることから“上面”発酵と呼ばれています。

高温環境下で発酵させるため雑菌が繁殖しやすいなど、生産管理が難しく、大量生産には向いていません。しかし、管理方法や使用する素材によって、多種多様な香りや味わいのビールに仕上げられる点が魅力です。

クラフトビールでは「ペールエール」「IPA」「ヴァイツェン」「スタウト」「バーレイワイン」「ベルジャンホワイト」など、多くのスタイルがエールビールにあたります。

クラフトビールを家で美味しく飲む方法

クラフトビール 種類

それぞれのスタイルによって、香りや味わいが異なるクラフトビール

お家で飲む際、いくつかのポイントを意識することで、もっと美味しく飲むことができます。

注意したいポイントを具体的に見ていきましょう。

保管場所に注意

クラフトビールは5〜10℃程度の冷暗所での保管を心がけましょう。

国内で販売されているクラフトビールは、無濾過・非加熱のため酵母が生きているものが多く、高温状態では酵母が活動し味が劣化してしまいます。

逆に、凍えるほどの低温下でもビールの成分が変化して味が落ちてしまうため注意が必要です。

お店で購入したら、持ち帰りの際も直射日光に当てないようにします。夏場の車内など高温になる場所に置いておくことはNGです。

自宅に帰ったらなるべくすぐ冷蔵庫に入れ、早めに飲むのが理想的です。クラフトビールの種類によっても最適な保管方法は異なるため、購入の際はラベルの保管方法を読むようにしましょう。

グラスに注いで色・香りを楽しもう

ビール 種類

商品によって違う多彩な色と香りはクラフトビールの魅力です。それらを楽しむためにも缶のままではなくグラスに注いで飲むのがベストです。

グラスに注ぐことで大手メーカービールの黄金色とは違った、琥珀色やフルーツ由来のカラフルな色など、クラフトビールならではの色合いを目で楽しむことができます。

さらに、クラフトビールは種類によって最適なグラスが分かれています。ピッタリのグラスを用意して飲むことで、よりスタイルごとの特徴を味わえるでしょう。

すっきりしたのど越しのラガービールなら、ジョッキや細長く飲み口の狭いピルスナーグラスなどがおすすめ。爽快なのど越しをゴクゴクと楽しめます。

深い味わいと香りを持つエールビールなら、飲み口が広いパイントグラスや、ワイングラスのような見た目のチューリップグラスに注ぐとよいでしょう。鼻腔をくすぐる香りを堪能することができます。

味わい・のど越し・ペアリングを堪能しよう

クラフトビール 種類

グラスに注いで色・香りを確認したら、ワインのようにゆっくり味わいながら飲むことで、よりクラフトビールの魅力を感じられるでしょう。

苦味の強さ・コク・舌触り・口に含んだ瞬間頭の中に広がる原材料のイメージなどを堪能しながら飲んでみましょう。

ブリュワーのこだわりに想いを巡らせながら楽しめるのも、こだわり抜いて造られたクラフトビールならではの魅力です。

また、「ペアリング」という楽しみ方もあります。ワインの世界で耳にする「マリアージュ」と同じで、クラフトビールを相性のよい料理と合わせて楽しむものです。

まずはビールを吟味しその味を楽しむ。次に用意したフードを味わう。そしてフードの後味が口の中に残っているうちにビールを飲み、その組み合わせを楽しみます。

色の濃いビールにはソースなどを使った濃い色のフード。甘みのあるビールにはフルーツを合わせるなど、色味や風合いを揃えるのがペアリングの基本です。

慣れてきたら苦味の強いビールにあえて甘いものを合わせるなど、いろいろな組み合わせを試して、あなたならではのペアリングを見つけてみてください。

好みのクラフトビールの種類を知ろう

クラフトビール 種類

クラフトビールは発酵方法や原材料の違い、色、味わいの特徴によって世界に100以上のスタイルがあります。

一般的なビールのイメージ通り「のど越し」が爽快な「ピルスナー」、コクや苦味を強くした、深い味わいの「ペールエール」「IPA」。

フルーツの甘みで食後酒としても楽しめる「フルーツビール」など。

「まさにビール!」と感じられるものから「これがビール!?」と新鮮な驚きがあるものまでさまざまです。

それぞれの種類の特徴を知って吟味し、自分に合う合わないを見極めながら、お気に入りのクラフトビールを探してみましょう。

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