多彩な味わいで人気を集め、ちょっとしたブームになっているクラフトビール。その種類は100以上もあります。
「次はどんな銘柄を試そうかな」とワクワクしている人は多いでしょう。
特にクラフトビールを飲み始めたばかりの人におすすめしたい代表的な種類(ビアスタイル)と銘柄、おすすめの飲み方を紹介します。
クラフトビールは何種類ある?
クラフトビールとは、大手メーカーではない小規模ブルワリー(醸造所)で、ブリュワー(職人)が丁寧に仕込んだ希少性の高いビールを指します。
1994年の酒税法改正により、大手メーカーでなくてもビールの製造免許を取得することが可能となりました。
全国各地に小規模ブルワリーが誕生し、生まれたのが「地ビール」です。それが時を経て「クラフトビール」と呼ばれるようになりました。
2018年にはさらに酒税法が改正され、ビールの原料として使用できる素材に、果実や香辛料が追加されるなど、制限が緩和。
これにより、各ブルワリーがより個性的なクラフトビールを生み出せるようになり、ビールの種類のバリエーションが増えることになりました。
クラフトビールの種類は100種類以上
クラフトビールは、原材料や造り方、色や味わいによって種類が分類されます。
この種類のことを「スタイル」といい、現在100種類以上が存在します。
日本国内で一般的な大手ビールメーカーが醸造しているスタイルは4種類ほど。のど越しを重視したスタイルが主流です。
対してクラフトビールは多様なスタイルが存在します。原材料にその土地ならではの名産品を加えたり、ブリュワーのこだわりによってコクや苦味を強調したり、泡立ちを良くしたりと、さまざまな個性を打ち出しています。
知らない味わいを探求できる奥深さ。そこに魅了されるクラフトビールファンは多いようです。
クラフトビールの代表10種類を紹介
最近クラフトビールを飲み始め、どんな種類があるのかもっと知りたい! という人に向け、押さえておきたい代表的な10種類を紹介します。
1.ピルスナー
ピルスナーは、日本で「ビール」と聞くと最初にイメージする人が多い、黄金色のビールです。
大手メーカーから発売されているビールのほぼ全てがピルスナー。爽やかなのど越しが特徴で、ゴクゴクと飲めるビールです。
「大手メーカーのビールが好き!」という人が初めてクラフトビールに挑戦するなら、まずはピルスナーから始めてみるのがおすすめです。
2.ペールエール
ペールエールは、ピルスナーに比べ、原材料のホップやモルトの香りを強く感じさせる華やかさが特徴です。
ピルスナーよりもコクの強い味わいがありながら、グビグビと飲みやすいので、ピルスナーの次のステップとして試すのがおすすめ。
口が大きく広がったグラスで飲むと、よりいっそう風味が楽しめます。
ペールエールについて詳しく知りたい方にはこちらの記事も人気です
3.IPA(アイピーエー)
インディア・ペール・エールの頭文字をとってIPAと呼ばれる、深い苦味が特徴のビールです。
1800年代、イギリス領だったインドにビールを輸送する際、腐敗防止に大量のホップを入れて造られたことで誕生したスタイル。
慣れるとやみつきになる苦味があり、「ビールの苦味が好き!」「もっとパンチのあるビールに出会いたい」という玄人志向の人にぴったりです。
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4.ヴァイツェン
ドイツで生まれたビアスタイル。
ドイツ語で小麦を指す「ヴァイツェン」の名前の通り、小麦麦芽を50%以上使用して造られています。
他のビールに比べて苦味をほとんど感じない清涼感のある味わいと「バナナのよう」と表現されるフルーティな香りが特徴です。
これまでビールの苦味がニガテだったという人も、一度試してみる価値があるでしょう。
5.フルーツビール
ベルギーで伝統的に造られている、果実や果汁を加えたビールです。
使用するフルーツは、オレンジ・桃・レモン・イチゴ・チェリーなどバラエティに富んでいて、香り・味わいも華やかです。
日本でもその土地の名産フルーツを原料に加えたフルーツビールが造られています。
甘口のものなら食後にデザートビールとして楽しむのにぴったりです。
6.シュヴァルツ
シュヴァルツは、ドイツで生まれた黒ビールの一種。
チョコレートやアーモンドのような甘い香りを放ち、アルコール度数が低めに造られています。
そのため、黒ビールの中では飲みやすさがNo.1ともいわれるスタイルです。
濃厚そうな見た目にのわりに、あっさりした飲み口なので、黒ビールが初めての人でも挑戦しやすいでしょう。
7.スタウト
ギネスビールの創業者が発案した黒ビールの一種がスタウトです。原料の一部にローストした大麦が使われています。
「スタウト=力強い」という意味が示す通り、コーヒーやナッツのような濃厚・芳醇な香りが特徴です。
グビグビと一気に飲むのではなく、少しずつじっくり味と香りを感じながら飲みすすめていきましょう。
8.バーレイワイン
名前に「麦のワイン」という意味を持つビールがバーレイワインです。
一般的に、ビールの熟成期間は2週間程度。一方、バーレイワインは半年〜数年かけてじっくり熟成させることで豊かな熟成香を持たせているのが特徴です。
アルコール度数も、8〜12.0%程度と、ワイン並みの高さ。
ワイングラスに注いで香りを楽しみながら飲むのがおすすめのビールです。
9.ベルジャンホワイト
ベルギー発祥の白ビールの総称が「ベルジャンホワイト」です。
原材料には、小麦とオレンジピール、コリアンダーなどのハーブが使われるのが一般的。
フルーティな味わいの中にピリッとしたスパイシーな香りを併せもつのが特徴。
口当たりはまろやかで、ヨーグルトのような酸味を感じさせます。
ビール通からビール初心者まで、幅広い層に愛されているビアスタイルです。
10.デュンケル
デュンケルは「暗い」という意味を持つドイツ発祥のビールです。
ローストした麦芽を原材料に使用することで琥珀色の深い色合いとなります。
見た目は苦味が強そうなイメージですが、麦芽をローストすることで生まれるビスケットのような甘みが味をやわらげ、飲みやすくなっています。
黒ビールがニガテという人でも、コクを楽しみながら飲めるビールです。
ビールは発酵方法で2種類に大別
ビールは、造り方によって「ラガー」と「エール」の2種に大別することができます。
のど越しすっきり「ラガー」
「ラガービール」は、ラガー酵母を使い、下面発酵によって造られたビールを指します。
下面発酵とは、5℃前後の低温環境でじっくりと時間をかけて発酵させる方法で、発酵後に酵母が底に沈んでいくことから“下面”発酵と呼ばれます。
雑菌が繁殖するリスクが低く、品質を保ちやすいことから、大手メーカーによる大量生産が行われているのがこのタイプのビールです。
ラガービールの大きな特徴は、すっきりしたのど越し。
クラフトビールでは「ピルスナー」「シュヴァルツ」「デュンケル」などのビアスタイルが、ラガービールの分類に相当します。
深い味わいを楽しむ「エール」
「エールビール」は、エール酵母によって上面発酵させて造るビールです。
上面発酵とは20℃前後のやや高温で、あまり時間をかけずに発酵させる方法です。
発酵後、タンクの上の方に酵母が浮かんでくることから“上面”発酵と呼ばれています。
高温環境下で発酵させるため雑菌が繁殖しやすいなど、生産管理が難しく、大量生産には向いていません。
しかし、管理方法や使用する素材によって、多種多様な香りと味わいに仕上げられる点が魅力です。
クラフトビールでは「ペールエール」「IPA」「ヴァイツェン」「スタウト」「バーレイワイン」「ベルジャンホワイト」など、多くのスタイルがエールビールにあたります。
クラフトビールを家で美味しく飲む方法
それぞれのスタイルによって、香りや味わいが異なるクラフトビール。
お家で飲む際、いくつかのポイントを意識することで、もっと美味しく飲むことができます。
注意したいポイントを具体的に見ていきましょう。
保管場所に注意
クラフトビールは5〜10℃程度の冷暗所での保管を心がけましょう。
国内で販売されているクラフトビールは、無濾過・非加熱のため酵母が生きているものが多く、高温状態だと酵母が活動して発酵が進み、味が劣化してしまいます。
逆に、凍えるほどの低温下でもビールの成分が変化して味が落ちてしまうため、注意が必要です。
お店でクラフトビールを購入したら、持ち帰りの際も直射日光に当てないようにします。
夏場の車内など高温になる場所に置いておくことはNG。
自宅に帰ったらすぐ冷蔵庫に入れ、早めに飲むのが理想的です。
クラフトビールの種類によっても最適な保管方法は異なるため、購入の際はラベルの保管方法を確認しましょう。
グラスに注いで色・香りを楽しもう
商品によって違う多彩な色と香りはクラフトビールならではの魅力です。
それらを楽しむためにも、缶のままではなくグラスに注いで飲むのがベスト。
グラスに注ぐことで、琥珀色やフルーツ由来のカラフルな色など、クラフトビールならではの色合いを目で楽しむことができます。
さらに、クラフトビールは種類によって相性の良いグラスの形態が異なります。
お気に入りのビールにピッタリのグラスを用意して味わうことで、スタイルごとの特徴をより深く味わえるでしょう。
すっきりしたのど越しのラガービールなら、ジョッキや細長く飲み口の狭いピルスナーグラスなどがおすすめ。
爽快なのど越しをゴクゴクと楽しめます。
深い味わいと香りを持つエールビールなら、飲み口が広いパイントグラスや、ワイングラスのような見た目のチューリップグラスに注ぐとよいでしょう。
鼻腔をくすぐる香りを堪能することができますよ。
味わい・のど越し・ペアリングを堪能しよう
グラスに注いで色・香りを確認したら、ワインのようにゆっくり味わいながら飲むことで、よりクラフトビールの魅力を感じられるでしょう。
苦味の強さ・コク・舌触り・口に含んだ瞬間頭の中に広がる原材料のイメージなどを堪能しながら飲んでみましょう。
ブリュワーのこだわりに想いを巡らせながら楽しめるのも、こだわり抜いて造られたクラフトビールならではの魅力です。
また、「ペアリング」という楽しみ方もあります。
ワインの世界でいわれる「マリアージュ」と同じで、クラフトビールを相性のよい料理と合わせて楽しむものです。
まずはビールを吟味しそのものの味を楽しむ。
次に用意したフードを味わう。
そしてフードの後味が口の中に残っているうちにビールを飲み、その組み合わせを楽しみます。
色の濃いビールには、ソースなどを使った濃い色の料理を。
甘みのあるビールには、フルーツを合わせるなど、色味や風合いを揃えるのがペアリングの基本です。
慣れてきたら苦味の強いビールにあえて甘いものを合わせるなど、いろいろな組み合わせを試してみるのもおすすめ。
あなたならではのお気に入りのペアリングを見つけてみてください。
好みのクラフトビールの種類を知ろう
クラフトビールは世界に100以上のスタイルがあり、発酵方法や原材料の違い、色、味わいなどの特徴によって分類されます。
一般的なビールのイメージ通り「のど越し」が爽快な「ピルスナー」。
コクや苦味を強くした、深い味わいの「ペールエール」「IPA」。
フルーツの甘みで食後酒としても楽しめる「フルーツビール」。
「まさにビール!」と感じられるものから「これがビール!?」と新鮮な驚きがあるものまで、バリエーションはさまざまです。
それぞれの種類の特徴を知って吟味し、自分に合う合わないを見極めながら、お気に入りのクラフトビールを探してみてくださいね。