年末になる届く、喪中はがき。
そこで初めて訃報を知ったとき「年明けを待たず、早めにお悔やみの気持ちを伝えたい」と思いませんか?
通常、喪中はがきをいただいた場合、年明けに寒中見舞いを送ります。
しかし家族葬の増加やコロナ禍の影響で葬儀が行われないこともあり、年内に弔事はがきを送り合うケースも一般的になりつつあります。
今回は、現代社会を反映したお悔やみの形、「喪中見舞い」について紹介します。
喪中の方へ送る挨拶状「喪中見舞い」とは
まずは、喪中はがきが届く時期です。
受け取る相手が年賀状の準備に取り掛かる前に届くようにと、通常は、11月から12月初旬までに届きますね。
喪中はがきをいただいた場合、一般的には、年が明けて、松の内(1月7日以降)が明けてから、喪中である送り主へ、寒中見舞いのはがきを送る方が多いと思います。
喪中はがきが届いたら年内に送る喪中見舞い
寒中見舞いの場合は、「年をまたいで、お悔やみを伝える」ことになります。
なので、喪中はがきを受け取ったときに、「年が明けてからの、お悔やみのご挨拶では遅い」と感じる方も、おられます。
そんな場合に、早めのご挨拶として送るのが「喪中見舞い」なのです。
寒中見舞いとの一番の違いは、喪中はがきを受け取った後、「年内に送る」ことにあります。
喪中見舞いは、「年明けを待たずに、できるだけ早く、お悔やみのご挨拶をしたい」と考える方が増えたことを受けて近年誕生した、新しい弔意の伝え方なのです。
喪中はがきで初めて訃報を知る?
「年をまたいでの、お悔やみのご挨拶では遅い」と考える方が増えたことには、理由があります。
それは、「喪中はがきを受け取って、初めて訃報を知った」というケースが珍しくなくなっているからです。
訃報を知らなかった理由として、家族葬の増加が考えられています。
家族葬は、あえて遺族が広く知らぜず、内輪だけで葬儀を行われるもの。
家族葬が増えているのは以下の事情からです。
- 少子高齢化の影響で、親族も少ないうえ、喪主・弔問客ともに高齢化
- 葬儀への参列者が少なくなるので、近親者だけで家族葬を行う
実際、「友人や知人の親族が亡くなったときも、家族葬だった」という方も、多いのではないでしょうか。
さらに新型コロナウイルスの影響で、これまで以上に家族葬のスタイルが増えると考えられています。
家族葬だと訃報が伝わりにくい
前述したとおり、家族葬は基本的に身内だけで執り行われるため、知人や友人へ訃報も伝わりにくくなりますよね。
遠方に住む知人や友人の場合は、なおさらです。
そのため、「喪中はがきをもらって、初めて知人の夫の訃報を知った!本当にびっくりした!」
という経験を持つ方も、少なくないでしょう。
そんな場合は、年明けに寒中見舞いを送って、相手に弔意を伝えるのでは、ちょっと”遅い”と感じるかもしれません。
年が明けるのを待たずに弔意を伝えたい
もちろん、喪中はがきの送り主や故人との関係性によっては、「すぐに香典を贈る」というケースもあるでしょう。
しかし、「香典を贈るほどではないけれど、年が明けるのを待たずに、お悔やみの気持ちを伝えたい」と感じることもあるのではないでしょうか?
とはいえ、「内輪で葬儀を執り行った方に、わざわざ電話でお悔やみを伝えるべきかどうか?」などにも、悩むところですね。
そんなときにぴったりなのが、「喪中見舞い」です。
挨拶状ならば、相手の負担にならず、弔意を伝えることができますね。
新たな弔意の伝え方であり”マスト”ではない
まだまだ一般的に知られているとはいえない、喪中見舞い。
新しい弔意の伝え方ではありますが、決して”新しいマナー”ではなく、送るかどうかに関しては、それぞれの気持ちや考え方によるところが大きいです。
ですので、「喪中はがきをもらったら、喪中見舞いを出さなければならない」という”マスト”なものではありません。
もちろん、年明けに寒中見舞いでお悔やみの気持ちを伝える、という従来のマナーで大丈夫です。
喪中見舞いを出すには?
新しい挨拶状である、喪中見舞い。
出す時期などに決まりがあるか、気になりますね。
送るタイミングとしては、「喪中はがきが届いてから、年末まで」が目安になります。
前述したように、年が明けてからになると、寒中見舞いを出すタイミングになってしまいます。
喪中見舞いの書き方
喪中見舞いの文面は、どのように書けばよいのでしょうか?
新しいお見舞いの形なので、守らなければならないルールや決まった書き方といったものがありません。
だからといって、好きなように書く、というわけにもいきませんね。
以下の構成が一般的ですので、ご紹介します。
- 喪中はがきでご挨拶をいただいたお礼
- (喪中はがきで初めて訃報を知った場合は)ご不幸を知らずにいたことのお詫び
- お悔やみの言葉
- ご家族が寂しい新年を迎えることについての配慮や励まし
- こちらも年賀状を控えさせていただくこと
喪中はがきと同じように、文章の一字下げは行わず、文章中には句読点を使用しません。
主文から書き始めるため、「拝啓・敬具」などの「頭語・結語」や「師走の候」のような時候の挨拶は不要です。
また、ご家族の方が喪中であることに配慮して、近況報告は控えるのがマナーです。
喪中見舞いの文例
それでは、文例を紹介します。
ご尊父さまのご逝去を存じ上げず お悔やみも申し上げず失礼いたしました
遅ればせながら ご尊父さまのご冥福を心からお祈り申し上げます
どうぞお体に気をつけて新しい年をお迎えくださいますようお祈り申し上げます
服喪中と存じ 新年の挨拶は控えさせていただきます
〇〇年〇月
喪中見舞いの絵柄
もちろん、はがきの絵柄や、切手の絵柄などにも、配慮が必要です。
華やかなデザインの絵はがき、縁起物の描かれた記念切手や年賀切手なども、ふさわしくありません。
はがきはあくまでも、「喪中の方へ送る」ということを考えて用意しましょう。
喪中見舞いで品物を贈る?
喪中見舞いに添えて、何か送りたい、という方もおられるようです。
この場合は、1000円~3000円程度で、受け取った側がお返しなどの必要がなく、気兼ねなく受け取ることができる”高価でない品物”を贈る方が多いようです。
具体的には、お線香などのお供えの品を選ぶ方が多いようです。
お線香を贈るのは仏教だけ
一般的に、お線香はお供えの品の定番とされており、香典の代わりに贈る方も多いのではないでしょうか。
ですが、贈る際には、気を付けたいことがあります。
それは、贈る相手の宗教や宗派です。
お線香は仏教で使うものなので、「贈る相手の宗教によっては、不要になってしまう」ということです。
例えば、贈られた側の宗教が神道やキリスト教だった場合は、「せっかくのお気持ちだけど、どうすれば…」と、処分に困ってしまうことになるのです。
不明な場合は、お花やお菓子などを贈るのがよいかもしれません。
まとめ
「喪中見舞い」とは、喪中はがきをもらったときに、喪中である送り主に対して、「年明けを待たずに、お悔やみの気持ちを伝える」ための、新しい挨拶状です。
近年、喪中はがきで訃報を知るケースが増えたことから誕生したものです。
送るかどうかは、各人の気持ちや考え方によるので、「必ず、出さなければならない」というものではありません。
また、喪中見舞いに添えて、お悔やみの品を贈る方もおられます。
今後、自分自身が、喪中見舞いを「もらう立場」になることもあるでしょう。
もらったときにびっくりしないように、知識としても知っておきたいですね。