身内の葬儀が終わると、ひと息つく間もなく、役所の手続き・香典返しなどさまざまな用事が立て込んできます。
その中で忘れられがちなのが「喪中はがき」の準備。
「そもそも、喪中はがきっていつまでに出せばいいの?」とお困りの方も多いようです。
四十九日法要を済ませて「年末までまだ時間があるから」と先送りしているうちに、ギリギリの時期になって「しまった!」とあわてるケースも珍しくありません。
今回は、
- 喪中はがきを出す「時期」
- 喪中はがきを出す「相手の範囲」
- 喪中はがきの書き方ルール、文例
- なるべく安く準備する方法
- 喪中はがきを出すのが遅れてしまったとき、替わりの寒中見舞いを出す時期
など、知識・マナー全般をご紹介します。
目次
喪中はがきの意味を知れば「送る相手」がわかる
一般的に「喪中はがき」と呼ばれているものは、正式には「年賀欠礼状」、または「喪中欠礼」といいます。
「欠」という文字通り、喪中はがきは「身内が亡くなって悲しみの中にいるので、おめでたい年明けの挨拶を欠くことをお詫びします」と伝えるためにあります。
新年の挨拶を欠くお詫びなので、喪中はがきは「年賀状をやり取りしていた相手に送るもの」と考えて差し支えありません。
出す相手に迷ったときの詳しい対処法は後ほどご説明しますが、まずはこの基本を押さえておけば「誰に出せばよいか」と迷わずにすみます。
故人が年賀状をやり取りしていたものの、亡くなったことを知らせていない相手には、遺族から喪中はがきを出しましょう。
喪中はがきを出す時期はいつまで?
喪中はがきを出す時期は、11月末頃~12月初旬ごろまで。この期間中に先方へ届くように出します。
これは相手が年賀状の準備に取り掛かる時期より前に、「こちらからは今年の年賀状が出せない」ということをお知らせするためです。
年賀状の準備は人によってさまざまですが、
- 年賀状の販売は、例年11月1日ごろ
- 全国の郵便局では12月15日から年賀状の受付が始まる
- 多くの人は、元旦に年賀状が届くよう12月25日前には投函している
以上のことを踏まえると、遅くとも12月10日頃までには喪中はがきを出したほうがよいとわかります。
昨今では「お相手が年賀状を購入してしまう前にお知らせしよう」という気遣いから、9月~10月頃に喪中はがきを出す方も増えているようです。
喪中はがきの準備が間に合わないとき
- 12月に親族が他界したため、喪中はがきの準備が間に合わない
- 喪中はがきの準備を忘れていた
- 喪中はがきを出していない相手から、年賀状が届いた
こんな場合は、喪中はがきの代わりに「寒中見舞い」を出すという方法もあります。
寒中見舞いを出す適切な時期は、元日〜1月7日(近畿などは1/15までの地域もあり)を過ぎてから、立春(2/4頃)までの間とされています。
>喪中はがきの準備が遅れてしまった方は、こちらをご覧ください。
喪中はがきを出したほうがいい?目安は「2親等以内」
喪中はがきは「喪に服している間は、お祝いごとに参加すべきではない」という考えがベースとなって生まれた慣習です。
それでは、亡くなった方とどれぐらい近い親族が喪に服するのか、基準はあるのでしょうか?
喪中の対象になるのは「2親等以内」が一般的
親族が亡くなった場合、喪に服す(喪中となる)範囲は、一般的な目安で「2親等まで」といわれています。
2親等以内の親族とは、故人との続柄で表すと、自分の「親」「祖父母」「兄弟姉妹」「子」「孫」までとなります。
(ちなみに「おじ・おば」や「曾祖父母」は3親等です)
また、人によっては「故人と同居していたかどうか」を基準にすることもあります。
喪中はがき自体が比較的新しい慣習であるため、「何親等まで」という明確な決まりはありません。
上に挙げた親等・続柄はあくまでも一般的な目安です。
大切なのは本人が「自分は喪に服して喪中はがきを出そう」と思うかによるといえるでしょう。
「喪中はがきを出す?」と迷うケース
①配偶者の親・兄弟姉妹が亡くなった
「自分の配偶者の血縁者」が亡くなったときはどう判断すべきでしょうか?
親等の数え方は、「夫・妻の身内=姻族」が亡くなった場合も、自分の親族と同様です。
例えば夫から見て、2親等までの範囲に入るのは「妻の両親・妻の祖父母・妻の兄弟姉妹」となります。
しかし「配偶者の親族の喪中はがきを自分の仕事関係者にまで送ると相手に余計な気を遣わせてしまう」と考える人も多いようです。
夫婦で相談し、ご自身の状況に合わせて柔軟に対応しても問題はないでしょう。
②同居していない祖母(祖父)が亡くなった
孫から見て、祖父母は2親等にあたりますので喪中の範囲に入ります。
しかし同居していないのなら、知人・友人・仕事関係者には通常通り、年賀状を出す人が多いようです。
もちろん「どうしても新年を祝う気になれない」と思うなら、無理して年賀状にこだわらず、喪中はがきを出しても問題ありません。
③喪中と知っている親戚への喪中はがき
近い親族同士であれば「お互いが喪中であることは当然知っているから」と喪中はがきを省略する人が多いようです。
しかし、地域によっては「身内同士でも、いつも年賀状をやり取りしている間柄なら喪中はがきもきちんと出すべき」という考え方をするケースがあります。
判断に迷うときは親族の年長者に今までどうしてきたのか、相談してみましょう。
③仕事関係者にも喪中はがきを出すべきか
「仕事の取引先にわざわざ身内の死を知らせると相手に気を使わせる」という判断から、身内が亡くなったことに触れず例年どおり年賀状を出す人も多いようです。
親族が亡くなり個人的には喪中であっても、仕事関係者への年賀状は出されてもよいでしょう。
なお、「葬儀の参列者や香典をくださった職場の方々に喪中はがきを出すべきだろうか」と悩みがちですが、結論からいえば不要です。
これは喪中はがきの本来の意味に立ち返ると分かります。
喪中はがきは「例年やりとりしていた年賀の挨拶を、今年は弔事のため控えます」という意図で出すものですから、今まで年賀状の付き合いがなかった人にまでわざわざ送る必要はありません。
④誰に出すべきか迷うのは「喪中はがき」と「死亡通知」を混同しているから
「喪中はがきは誰に送るべきか」という悩みの根本を整理してみましょう。すると「死亡通知はがき・訃報」と「喪中はがき」を混同しているのが原因だと分かります。
死亡通知はがきは、故人が亡くなったことを関係者に速やかに知らせるものです。
一方、喪中はがきは正式名称の「年賀欠礼状」が示すとおり、年賀状のやり取りが恒例になっている間柄の人へ送るものです。
喪中はがきを出す相手に迷ったら「喪中はがきは死亡通知とは別ものと考える」。この基本を踏まえておけば判断に迷うことはなくなるでしょう。
喪中はがきを購入できる場所~準備の手順
喪中はがきを準備する具体的な手順についてご紹介します。
①郵便局で喪中はがき(寒中見舞いはがき)を購入
喪中はがきとして代表的なものは、郵便局が販売している「通常はがき」の中でも切手の部分に胡蝶蘭の絵柄をあしらったのものです。
この落ち着いた絵柄のはがきは寒中見舞い用のはがきとしても使用可能です。
また、弔事用の切手は「弔事用63円普通切手・花文様」の名前で販売されています。(2021年現在)
もし、郵便局で買った弔事用の切手・はがきが余ってしまっても、手数料を支払えば郵便局の窓口で普通はがきや切手などと交換できます。
②私製はがきもOK
文具店、大型スーパーやデパート、コンビニ、ネットショップなどで買える「郵便局以外で販売しているはがき」のことをまとめて「私製はがき」と言います。
喪中はがきには私製はがきを使用することもでき、これに弔事用切手を貼って送ります。
私製はがきならデザインのバリエーションが多く、自分のイメージに近いものを選べる選択肢が増えるでしょう。
高級感のある仕上がりにしたいなら、「大礼紙(たいれいし)」と呼ばれる上質な和紙でできたはがきがおすすめです。
紙の表面にツヤ感のある繊維を散らす加工が施され、上品で見栄えがします。
ただし、あくまでも弔事のお知らせとして送るものですから、あまりに華美なデザインのはがきは避けたほうが無難でしょう。
③街の印刷屋さんにはがき作成を依頼する
感謝の気持ちのこもったはがきを送るなら、一番いいのはあなた自身で手書きすることです。
しかし現代では時間の節約や付き合いの広さなどから、喪中はがきの印刷サービスを利用する人が増えています。
特に、喪中はがきを大量に送る場合は、町の印刷屋さんに依頼してはがきを持ち込み、宛名・文面・絵柄を印刷してもらうという方法もあります。
印刷するのが文面のみか、宛名も含め両面とも印刷するのかによって料金設定が変わることがあるので、事前によく確認しましょう。
④自宅のパソコンで自作する
枚数がそれほど多くないときは、自宅のパソコンとプリンターで喪中はがきを自作する人もいるようです。
無料で使える絵柄テンプレートもインターネット上で見つけられるので、パソコンのスキルに自信があれば自分のイメージどおりの喪中はがきが作りやすいでしょう。
ただし、自作するデメリットもあります。
それは、かかる手間と時間です。
また、印刷に失敗したらはがきの代金がムダになってしまうことや、インク代がかかることなども考慮してから取り掛かることをおすすめします。
喪中はがきを安く準備するならネット印刷が便利
近年はインターネットで喪中はがきや寒中見舞いはがきを注文できる「ネット印刷」のサービスを利用する人が増えています。
パソコンだけでなく、スマホからも簡単に申し込みができるため、ネット印刷の需要は年々高まっているようです。
ネットで喪中はがき印刷を注文する主なメリットとして、
- 印刷会社が実店舗を構えていないぶん、割安で制作できる
- 喪中はがきのデザインや絵柄、文例が豊富に用意されている
などが挙げられます。
喪中はがき印刷の申し込み方法は、お店により異なりますが、おおまかな手配のイメージを解説すると、
- パソコンやスマホの操作画面上で絵柄・文面を選択する
- 宛名印刷も依頼する場合、先方の住所氏名を打ち込んで登録する
- 出来上がった喪中はがきを自宅へ届けてもらう
この流れが一般的です。
お店によっては、切手貼りやポスト投函まで代行し、そのまま先方へ直送するサービスもあります。
喪中はがきは年賀状と違い、通常コメントは記入しないことがほとんど。「宛名印刷」「投函代行サービス」の両方を申し込めば、労力は大幅に軽減されるでしょう。
また注文時、相手の住所氏名を一回登録しておけば、「送付先リスト」としてお店でデータを保存してもらえます。来年以降、普通の年賀状を送るときにも活用できますね。
「とにかくスピーディに喪中はがきを手配したい」「できるだけ手間を省略したい」というときには、サービスの充実したはがき印刷サイトを選ぶと重宝するでしょう。
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印刷会社を選ぶチェックポイント
早期割引の利用が可能か
「今年は喪中はがきが必要」と前々からわかっているのなら、早期割引サービスの活用がおすすめです。印刷料金をぐんとリーズナブルに抑えられるでしょう。
各印刷会社とも、喪中はがき印刷の受付はおよそ9月頃から開始することが多いようです。
ほとんどの印刷会社で、「早期に申し込むほど割引率が高く、年末に近づくほどに割引率が下がっていく」システムをとっています。
納品の速さ
早ければ注文した当日に印刷が仕上がり、発送まで可能な印刷会社もあります。
デザインや文例が豊富にあるか
故人のイメージに合う喪中はがきをつくりたいなら、印刷ショップがはがきのデザインを数多く揃えているかどうかもチェックしましょう。
また、文例が多数用意されている印刷ショップなら、気に入ったものを探してそのまま利用することができます。
さらに、文章を編集できるサービスがあれば、文例を元に自分で言葉を添えて、故人の人柄が伝わる雰囲気に仕上げることも可能です。
豊富で柔軟なサービス対応のある印刷ショップを選びましょう。
宛名印刷の「無料・有料」もポイント
送り先の宛名印刷が無料サービスでできるか、オプションとして別料金になるかは各ショップによって対応が分かれるところです。
近年では宛名印刷を無料サービスにしている印刷会社が増えています。
宛名印刷サービスの有無によってトータルの金額が大きく変わってくるので、ぜひ確認しましょう。
印刷代以外にかかる料金に注意
多くの印刷会社では、喪中はがきの印刷注文にかかる料金の内訳は「印刷代・はがき代・送料」です。
最近は送料無料サービスを行う印刷会社が増えているものの、中には「プリント料金が安いと宣伝していたが、仕上がったハガキの送料が高かった」というケースもあるようです。
必ず「印刷代・はがき代・送料」の総額見積もりを確認してから判断することをおすすめします。
喪中はがきの書き方マナー・NG言葉
喪中はがきや、その代用としての寒中見舞いはがきを書く際に、一般的な書き方のマナーを押さえておきましょう。
お悔み事で使ってはいけないNGの言葉もあるため、再確認しておくと安心です。
日付・年齢などは漢数字で書く
弔事では伝統的な漢数字を使うのが基本です。
ただし郵便番号は算用数字でも問題ないとされています。
文中に書く故人の享年は、生まれた時を1歳とする「数え年」で記載し、数字の後ろには「歳」を付けないのが一般的です。
ただし、近年では分かりやすくする配慮から、カッコ書きで満年齢を併記するなどの方法も増えているようです。
句読点は使わない
句読点はもともと日本語になかったものです。
まだ識字率の低かった明治時代、欧米の文章のコンマやピリオドにならい、字を読めない人への配慮として句読点を付け、読みやすくしたのが始まりとされています。
いつしか「句読点は、相手の読解力を見下すもの」という考え方につながり、現代においても正式な挨拶状・賞状・卒業証書などには句読点を付けないことが慣習として残っているのです。
楷書・縦書きが基本。一字下げは不要
字体は弔事にふさわしく、落ち着いていて読みやすいものにしましょう。
印刷する場合のフォントも、かしこまったイメージを与える明朝体などが好んで使われます。
日本の正式な挨拶状の形式は縦書きが主流。とはいえ近年は、故人の人柄も踏まえて横書きにするケースも増えているようです。
また、喪中はがきでは文頭の一字下げをしないのが習わしです。
薄墨にはこだらわなくてよい
葬儀の香典や仏事用ののし紙などで薄墨を使うことから、喪中はがきも薄墨で書く人がいます。
しかし、これもマナーとして確立しているとまでは言えません。
葬儀の香典やお供えの表書きに薄墨を使うのは「急な訃報を受けて、墨を準備するのが間に合わなかった」「流れ落ちる涙で墨が薄まってしまった」という意味が込められています。
喪中はがきは準備の時間に余裕があるケースもあるため、「そこまで薄墨にする必要はない」という見方が一般的です。
また、「配達時に住所氏名を読み取りやすくするためにも通常の濃い墨色にすべき」という意見もあります。
喪中はがきに使うべきでないNGワード
以下に具体的な例をいくつか挙げましょう。
1.「逝去」
あまり知られていませんが「逝去」は尊敬語のため、身内の死には用いることができない言葉として覚えておきましょう。
代わりに「死去」「亡くなる」「永眠」「他界」などの表現を用いてください。
「死亡しました」などの表現は直接的すぎるため、喪中はがきの挨拶として使うには不適切です。
2.「年賀」など(めでたい意味の言葉)
「謹賀」「賀正」などもNGです。これらの言葉の言い換えとして「年始」「年頭」「新年」などを使いましょう
3. 重ね言葉
「不幸が重なる」として、弔事では伝統的に避けられます。
「度々」「くれぐれもご自愛ください」などの決まり文句は、はがきを書くうちにうっかり使ってしまいやすいので気をつけましょう。
4. 忌み言葉
「去る」「破れる」「流れる」など、冠婚葬祭にまつわるシーンで使うべきでないとされる言葉はいくつかあります。
喪中はがきについ「去年は」と書いてしまいそうになりますが、これも「去る」を含むためタブーとされます。
この場合は「昨年」「旧年」などで言い換えましょう。
添え書きは基本的に書かない
はがきに一言書き添える「添え書き」は、喪中はがきには書かないことが多いようです。
とはいえ、葬儀のときにお世話になったお礼を述べるなどは問題ありません。ただし「明けましておめでとうございます」「今年もよろしく」など、喪中はがきの本来の意図にそぐわない内容は控えるべきでしょう。
ついでに近況報告を書くのも好ましくないとされています。
特に、結婚・赤ちゃんの誕生などの慶事の報告は喪中はがきに書くにはふさわしくありません。
どうしても伝えたい近況があるときは、松の内の期間が明けてから、改めて寒中見舞いを送って報告することをおすすめします。
喪中はがきの基本文例(個人用・ビジネス用)
喪中はがきの書き方にはある程度決まったパターンがあります。伝統的な構成のパターンを参考にしながら書けば、失礼のない丁寧な印象に仕上がるでしょう。
喪中はがきの文章の基本構成
喪中はがきと普通のはがき、書き方の大きな違いは、通常の「前文・主文・末文」のうち前文を省略すること。
喪中はがきは主文から書き始めるため、「拝啓・敬具」などの頭語・結語や「新春の候」のような時候の挨拶は不要です。
文面を構成する主な要素は以下の内容です。
- 主文
- 主部の説明(亡くなった日付・故人の氏名・自分との続柄・享年)
- 末文(相手への感謝・相手の健康を祈るなど結びの言葉)
- 喪中はがきを差し出した日付
- 差出人の住所・氏名(夫婦連名もOK)
<喪中はがき文例:個人向け>
喪中につき年始のご挨拶を失礼させていただきます
本年●月●日に父 △△ △△が享年●●で永眠いたしました
故人生前中は一方ならぬご厚情を賜りましたこと心より御礼申し上げます
時節柄なお一層のご自愛の程お祈り申し上げます
令和●年十二月
住所○○○○
▲▲ ▲▲(差出人名)
<喪中はがき文例:ビジネス用>
喪中につき年始のご挨拶をご遠慮申し上げます
本年●月に療養中でありました弊社 前会長 △△ △△が享年●●にて永眠いたしました
ここにお得意様各位から賜りましたご厚情に深く感謝申し上げます
明年も変わらぬご厚誼のほど宜しくお願い申し上げます
令和●年●月●日
◎◎株式会社
代表取締役 ▲▲ ▲▲
郵便番号・住所○○○○
電話番号○○ー○○○○ー○○○○
FAX番号○○ー○○○○ー○○○○
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喪中はがきのデザインは多種多様になっている
ひと昔前と比べると喪中はがきのデザインのバリエーションは広がっており、伝統的で地味な絵柄だけでなく、現代的でおしゃれなデザインも登場しています。
故人の好きな花や趣味にちなんだ絵柄入りの喪中はがきを選ぶ人が年々増えており、選択肢や自由度は時代とともに広がってきているようです。
受け取った人に違和感を与えない配慮のもと、在りし日の故人の姿がしのばれるような個性あるデザインを選んでみるのもいいのではないでしょうか。
喪中はがきに好まれる代表的な花と花言葉
故人のイメージを花で表現するものもよいでしょう。
喪中はがきのデザインでよく使われる花と、それぞれの花言葉をご紹介します。
菊 | 高貴 |
---|---|
ユリ | 純粋 |
ハス | 清らかな心 |
胡蝶蘭 | 清楚 |
故人の写真使用は宛先をよく吟味してからパソコンが得意な人なら故人の画像データを使ってオリジナルの喪中はがきを自作したい場合もあるでしょう。
素敵な笑顔の写真などは生前の姿が思い出されて微笑ましいものですが、送る相手によっては気をつかわせてしまうこともあります。
はがきを定期的に処分するのが習慣になっている人なら、なおさら申し訳なく思ってしまうかもしれません。
本人の写真を使った喪中はがきは身内だけに限定して送るなど、相手に負担を感じさせない配慮が必要です。
喪中はがきを出す時期が過ぎたら「寒中見舞い」
「喪中はがきを忘れてしまった」「年末に不幸があった」「出していない人から年賀状が届いた…」。
そんな場合も心配ありません。
喪中はがきの準備が間に合わないときは「寒中見舞い」
「12月に親族が亡くなったため、喪中はがきの準備はもう間に合わない」ということもあります。
この場合は、喪中はがきの代わりに「寒中見舞い」を出すという対応が一般的です。
「寒中見舞い」とは日本ならではの慣習です。寒い時期、相手の体調や近況を気遣い、お見舞いをしたためて送る季節の挨拶状のことをいいます。
年賀状を出すのが遅れたときの代用だけでなく、喪中はがきの代用にすることも可能です。
寒中見舞いを出す適切な時期は、松の内の期間である「元日〜1月7日(近畿などは1/15までの地域もあり)を過ぎてから、立春(2/4頃)までの間。
喪中はがきの代わりにする寒中見舞いなら、書くべき内容は「故人が亡くなったことの報告と、新年の挨拶ができなかったことのお詫び」を中心にして文面を考えるとよいでしょう。
寒中見舞いで使うはがきや購入方法、書き方マナーは「喪中はがき」と同じです。
【喪中はがき代わりの寒中見舞い文例】
寒中お見舞い申し上げます
昨年●月に父 △△ 太郎 が享年●●にて永眠し
服喪中のため新年のご挨拶を控えさせていただきました
本来ならば旧年中にお知らせ申し上げるべきところ
年を越してのご報告となりましたことを深くお詫び申し上げます
寒さ厳しき折柄 皆様のご健康とご多幸をお祈り申し上げます
令和●年十二月
住所○○○○
△△ 二郎
ちなみに、目上の人に対しては「寒中見舞い」という言葉を使わず「寒中御伺(おうかがい)」と表現します。失礼のないよう覚えておきましょう。
喪中はがきをつくるか迷ったときは周囲と足並みを揃える
11月中に故人が亡くなったのなら、「今から急いで準備すれば喪中はがきの制作を間に合わせられる」と考えることもあるでしょう。
しかし、あまりに慌てて送ってしまうのはおすすめできません。
例えば兄弟で共通の知人がいて、年賀状のやりとりも毎年それぞれで行っているケースを例に挙げましょう。
兄は「年内に喪中はがきを送ろう」と考え、弟は「年が明けてから寒中見舞いを送ればいい」と考えたとします。
すると、兄弟の共通の知人は「兄から喪中はがきが届いたが、弟からは何も連絡がない」という事態になり、それぞれへの対応を迷ってしまうかもしれません。
冠婚葬祭にまつわるしきたりは、小さな見解の違いでも、そこから親族がギクシャクするきっかけになりかねません。
ギリギリの時期で判断に迷うなら、きっとあなた以外の親族も同じように「今から喪中はがきを準備すべきか、それとも寒中見舞いにすべきか」と迷っているはずです。
まずは身内でよく相談し、「喪中はがきにするか、寒中見舞いにするか」を決めるとよいでしょう。
喪中はがきを出し忘れた人から年賀状が届いたら
故人が亡くなったことを知らない方から年賀状が届くことはしばしばあります。
しかし、「喪中だから年賀状を受け取ってはいけない」と堅苦しく考える必要はありません。
喪中はがきを出さなかった方からの年賀状
故人が年賀状をやり取りしていた友人・知人など、死亡通知のリストに入っていなかった人から年賀状が届くことがあります。
この場合、年賀状を受け取ってから遺族が本人に代わって寒中見舞いはがきで返信することになります。
文章の内容は、亡くなった報告が遅れたことのお詫び、故人がお世話になったお礼を述べれば問題ないでしょう
喪中はがきはあくまでも「死亡通知・訃報」とは別ものです。故人の子どもが先回りして故人の友人・知人に喪中はがきを送る必要はありません。
【寒中見舞い文例:年賀状を送ってくださった故人の友人宛て】
寒中お見舞い申し上げます
このたびはお年始状を頂戴しありがとうございました
実は昨年●月●日に父 △△ △△は他界いたしました
旧年中にお知らせ申し上げるべきところ連絡が行き届かず大変失礼いたしました ご無礼の段どうぞお許し願います
故人が生前に賜りましたご厚情に深く感謝申し上げますとともに
本年も皆様にとって佳き年でありますようお祈り申し上げます
令和●年●月
住所○○○○
▲▲ ▲▲(差出人名)
>喪中・寒中見舞いはがき「喪中になる範囲は何親等までか」へ戻る
【夫婦連名】故人との続柄はどう書く?
喪中はがきの差出人を夫婦連名にする場合、故人との続柄は世帯主(多くは夫)を基準に考えます。
たとえば妻の父親が亡くなった場合の文面は、差出人が夫婦連名であっても
「今年 ○ 月に 義父 △△ △△が●歳にて永眠いたしました」
と記載します。
この他の表記例としては
- 「今年 ○ 月に 妻の父 △△ △△が●歳にて永眠いたしました」
- 「今年 ○ 月に 岳父 △△ △△が●歳にて永眠いたしました」
※岳父とは「妻の父」の意味)
などの書き方をする場合もあります。
喪中はがきを出す時期【まとめ】
喪中はがきはそう度々出すものでもないため、いざ必要となると「どうだったかな」と改めて疑問がわいてくるものです。
基本的な考え方として、喪中はがきとは、例年、年賀状をやり取りしている人に対して
「喪に服しているため、新年のご挨拶ができないことをお詫びします」
という意味で送るものと覚えておけば、「出すか出さないか」で迷わずに済むはずです。
喪中はがきは郵便制度ができた明治時代に始まったものであり、まだ歴史の浅い習慣です。
確立されたマナーと呼べるものはないため、本人の気持ちや親族・地域の考え方に左右される部分が大きいと言えます。
一番大切なのは、故人をしのぶ気持ちと周囲の方々への心くばりです。
真心が伝わる喪中はがきを送ればお互いの心の絆を深め、今後の人間関係を円滑にすることにもつながるでしょう。
また、喪中はがきの代わりとに寒中見舞いを出す場合、文章の書き方などは基本的に喪中はがきがベースとなります。
今回ご紹介した情報をぜひ参考にしてください。