「出産祝いのお金ってどう包んだらいいの?」
「結婚式のご祝儀袋とは何が違う?」
などと、疑問に思う方もいるでしょう。
出産祝いと結婚式のご祝儀袋(のし袋)は混同されてしまうことが多いですのが、使用にあたって注意すべき違いがあります。
今回は、お祝いに適したご祝儀袋の選び方や、お金の包み方、表書きの書き方や中袋の書き方などを徹底解説しますので、ぜひ参考にしてくださいね。
結婚式もおめでたい慶事なので「結婚式用のご祝儀袋と同じでも大丈夫だろう」と安易に判断してしまうとマナー違反になってしまいます。
ここでしっかりと違いを理解し、「しまった!」を防ぎましょう。
目次
出産祝いのご祝儀袋、選び方のポイント
出産祝いの包み方において注意すべき点をご紹介します。
一般的に言われる「新札を準備する」ことは基本中の基本マナーです。ここではその次の段階として、出産祝いの現金を包むご祝儀袋の選び方を解説します。
出産祝いの水引は「紅白5本・蝶結び」
出産祝い用のご祝儀袋を選ぶときには、紅白カラー5本の水引が蝶結びになっているものを選びましょう。
「水引(みずひき)」とは、袋の周囲にある布製の細い紐のことです。
蝶結びになっている水引は、「何度も解けて結び直せることから、何度起きてもおめでたい」という意味が込められています。
ここで注意したいのが、「結び切り」や「あわじ結び」になっている水引です。結び切りやあわじ結びは、「一度結んだら解けないことから、一度きりでありますように」という意味が込められています。
結婚式の場合は、「一度きり」を願うのが前提としてありますが、出産祝いはそうではありません。そのため、結び切りやあわじ結びを選んでしまうと「子どもはこれ以上いらない」という意味にも受け取れ、大変失礼にあたるので注意しましょう。
また、最近ではおしゃれなデザインのご祝儀袋が流行っています。デザインが凝ったものは、水引が「金と銀」や「水色と白」なども多いです。
色については、絶対に紅白でなければならないということはありませんのでご安心ください。
あくまでもお祝い事で使用する伝統的なカラーが紅白ということですので、最近は他の色でも問題ないという考えが広まっています。
包む金額によってご祝儀袋も変える
出産祝いで包む金額によって、ご祝儀袋も変えましょう。
兄弟や親戚などで大きな金額を包む場合に、1万〜3万円を包むようなご祝儀袋を選んでしまうと矛盾しているような印象を与えてしまいます。
反対に、金額は少なめなのに「見た目だけでも華やかに見せたい」と豪華なご祝儀袋を選んでしまっても同じことです。
水引の本数は、一般的には5本のものを使います。3本のご祝儀袋もありますが、これは包む金額が少ないときに使用するものです。
そして7本は、結婚式のご祝儀のような大きな金額を包むときに選びます。出産祝いでは基本的に5本を選ぶと覚えておけば間違いはないでしょう。
最近では、販売されている陳列棚で「1万〜3万円用」「5万円用」「10万円用」などと包む金額に合わせて分けられていたり、ご祝儀袋が入っているビニール袋に「1万〜3万円用」などと記載がされています。
自分が包む出産祝いの金額に合わせたご祝儀袋を適切に選びましょう。
出産祝いの包み方。表書きはこう書く
次に、出産祝いの包み方をご説明していきます。ここでは「表書き」の書き方をご紹介しますので、参考にしてください。
「御出産御祝」「御祝」がおすすめ
出産祝いにふさわしい表書きは、すでに印字されているものが多く販売されています。
そのため、ご自身で書くことはあまりないかもしれません。
もし購入したご祝儀袋の表に何も書かれていなかった場合には、以下2つのどちらかを表書きに書くのが一般的です。
- 御出産御祝
- 御祝
他にも「御出産祝」や「祝御出産」という言葉もありますが、文字数が4文字になってしまいますので、吉凶を気にする方のためにも避けたほうが無難です。
表書きの記入位置は、水引よりも上の中央部分に縦書きで書きましょう。
水引より下の真ん中に氏名を記入する
受け取った側が誰からの出産祝いなのかすぐわかるように、表には自分の名前を記入します。
名前を記入する位置は、水引よりも下の中央部分の「名入れ」と呼ばれる部分に縦書きします。
先にご説明した「御祝」などの表書きの真下となります。
また、贈り主自身の名前を書く際に、「御祝」などの文字よりも少しだけ小さめに書くと、ご祝儀袋全体のまとまりがよくなりバランスが整いますので意識してみてください。
次に、出産祝いを複数人で出し合う場合の連名の書き方をご紹介します。
夫婦連名の場合
相手と夫婦でお付き合いがある場合、夫婦連名でお祝いを包みます。
その場合、「中央部分に世帯主(多くの場合、夫)」の名前をフルネームで記入します。
次に「その左側に妻の下の名前だけ」を書きましょう。妻の下の名前は、夫の下の名前に高さを合わせながら書くとバランスがよくなります。
友人と2〜3人で連名の場合
友人や同僚など、2〜3人で出産祝いを贈る場合の順番は「五十音順」に並べて書きましょう。
また、2人で連名とする場合には、「左・右」と中心に合わせて並べて書きます。
3人の連名にする場合には「左・中央・右」とバランスを見て書きましょう。
年長者や上司と2〜3人で連名の場合
年長者や上司など、目上の人と連名にする場合は、一番上の立場の人の名前を中央部分に記入します。そして、その左側に次の格の人、その左側に一番下の格の人の名前です。
同じ立場だけど年齢がバラバラという場合には、年長者から順に左へ書いていきましょう。
基本的に「毛筆」で書く
基本的に「毛筆」で書きましょう。使い慣れていなくて難しいと感じる方も多いですが、正式なお祝いの基本マナーとなります。
毛筆の代用品として「筆ペン」でも問題ありません。上部に書く「御祝」や、下部に書く名前などすべて筆で書きましょう。
「どうしても筆で書くと読めない字になってしまう」という方は、サインペンで書きましょう。サインペンはマナーが良いとも言えませんが、違反でもありません。
また、身近な筆記用具として万年筆やボールペン、鉛筆などもありますが、これらはNGですので注意してくださいね。
出産祝いの包み方。中袋はどう使う?
続いて、ご祝儀袋の「中袋」の書き方について解説します。
表側には金額、裏側には氏名と住所を書く
中袋の表側には、出産祝いとして包む金額を記入します。
表側とは、袋のつなぎ目などがない真っさらな面です。金額は、一般的に「中央部・縦書き・旧字体の漢数字」で書きます。
旧字体の漢数字は以下の通りです。
アラビア数字 | 旧字体 |
5,000円 | 伍阡円(または、伍阡圓) |
10,000円 | 壱萬円(または、壱萬圓) |
20,000円 | 弐萬円(または、弐萬圓) |
30,000円 | 参萬円(または、参萬圓) |
50,000円 | 伍萬円(または、伍萬圓) |
70,000円 | 七萬円(または、七萬圓) |
80,000円 | 八萬円(または、八萬圓) |
100,000円 | 拾萬円(または、拾萬圓) |
金額の前には「金」の文字を頭につける
金額の前には「金」の文字書き入れます。「金」の文字のあとは、上画像のように少しスペースを空け、金額を書き入れます。
4万円や9万円は「死」や「苦」を連想させてしまうので、出産祝いではタブーとされています。この金額を包まないように注意しましょう。
そして通常、旧字体の漢数字で記入することがマナーですが、難しくて書けないという方は、普通の漢数字でもマナー違反とはなりませんので安心してくださいね。
また、中袋の裏側には「ご自身の名前と住所」を記入します。位置は、「左下あたり」です。
ご祝儀袋のデザインによっては、中袋の裏面に包む金額を記入する欄が印字されていることがあります。
その場合には、印字されている欄を使用するため、あえて表面に金額を書かなくても大丈夫です。
中袋なしの場合
購入したご祝儀袋に中袋が入っていないことがあります。カジュアルなデザインのご祝儀袋にこのタイプのものよく見られます。
目上の人や礼儀正しく贈りたい相手、また渡す金額が1万円以上と高額になる場合は、中袋つきの正式なご祝儀袋でお祝いを贈るほうが釣り合いが取れてより丁寧な印象になります。
しかし、親しい間柄の友人で「そこまでマナーにこだわらなくても大丈夫」という場合は中袋なしでもいいでしょう。
この場合の表書きは、通常通り「御祝」や「名前」を記入します。そして、中袋の裏面に書くはずの住所は、中袋がないため書けません。
差出人である自分の名前は表書きに書くため、「誰からもらったのか」がはっきりするので住所は書かなくても大丈夫です。
▼中袋が必要な方へ。こちらの記事で代用品や対処法を解説しています▼
出産祝いの包み方。お札の向きに決まりあり
ここでは、お札の入れ方をご説明します。
表の上側に姿絵の頭がくるように入れる
中袋があってもなくても、上画像にように「お札の姿絵」が上に来るように入れてください。
このように紙幣を入れると、相手がお札を出したときに、姿絵から出てくる形となります。これが紙幣を入れるときのマナーです。
上包みの裏側の折り返し部分は下側が「上」
紙幣を入れたら、上包みの中にしまいます。「中袋」と呼ぶのに対して、外側の水引などがついている華やかな袋を「上包み」と言います。
上包みの裏側の折り方にもマナーがあるのです。出産祝いや結婚式などのおめでたいご祝儀の場合には、「上側の折り返し部分」の上に「下側の折り返し部分」を重ねます。
これは、お祝い事は「上を向く」という習わしがあるためです。反対に、法事などで香典を包む場合には、「下側」に「上側」を重ねます。
この「折りの方向」も間違えてしまうと失礼に当たりますので、十分に注意しましょう。
出産祝いの包み方、疑問点・注意点
出産祝いのご祝儀袋にはいくつか気を付けなければならないマナー違反があります。せっかくのお祝いで失礼がないよう、マナーは必ず守るようにしましょう。
水引なしのご祝儀袋はあり?
最近は凝ったデザインのおしゃれなご祝儀袋が販売されており、デザインによっては、はじめから水引がないのもあります。「水引がないと失礼?」と不安に感じる方もいるかもしれませんが、仲が良い友達などに対して贈る分にはマナー違反にはなりません。
そのため、水引がないものを使用するときには、親しい間柄の相手に贈るときや少額のお祝いを贈るときなどにしましょう。
ただし、出産祝いは人生のイベントの中でも一度しかない、格式の高い慶事です。
正式なお祝い事として扱われるため、やはり水引があるご祝儀袋を使用することが一番礼儀正しいとされているので注意してくださいね。
お祝いに現金を贈るのがNGな場合も
出産祝いで現金を贈ろうと考えている方も多いと思います。
ですが、目上の人には「現金や商品券を贈らない」のがマナーです。
しかし、日本では伝統的に「お金を贈る行為は、目上の人から目下の人への応援」という意味合いで捉えられてきました。
ですから部下から上司にお金を贈ると「生活に困っていませんか?」というメッセージに受け取られかねません。
上司や先輩に出産祝いを送る際は、現金・商品券などの金券を送らないようにしましょう。
結婚祝いやお葬式の香典など現金を渡すのが通例になっている贈答シーンならかまいませんが、出産祝いの場合、身内以外は品物を贈るのが一般的です。
目上の人への贈り物にはタブーとされるものがあることを知り、失礼のないようにお祝いすることが大切です。
上司や先輩には現金・商品券などを渡すのは避けてお祝いしましょう。
袱紗(ふくさ)の色にも注意する
袱紗とは、ご祝儀袋や香典を包む布製の袋のことです。出産祝いを手渡しする際には、袱紗の色や使い方にも注意しましょう。
袱紗に入れずにご祝儀袋をそのままむき出しで持っていくと、ご自身の名前も丸見えになってしまい、あまり品のいいものではありません。
相手に対面し、袱紗からご祝儀袋を取り出して手渡すのが正式な渡し方とされています。
そしてこの袱紗自体にもマナーがあります。
出産祝いや結婚式などのお祝い事や慶事のときには、「赤・オレンジ・ふじ・桃・えんじ・ローズ・紫・金」などの赤系統の袱紗を使用しましょう。一方、お葬式などの弔事のときには「紺・深緑・灰緑・緑・うぐいす・灰青・グレー・紫」などの青・グレー系統の袱紗を使います。
紫色の袱紗があると、両方で使用できるため便利です。また、高額な出産祝いを包むときには、ご祝儀袋だけではなく袱紗も正式なものを使用するように心がけましょう。
まとめ
今回は、出産祝いの包み方について詳しく解説してきました。様々な基本マナーをご紹介しましたが、「水引は5本の蝶結び」を選ぶことが重要です。結び切りやあわじ結びは避けましょう。
もう一つ華やかな結び方で「梅結び」がありますが、これも複雑な結び方で簡単には解けないことから、結婚式向けの水引となっています。
出産祝いでは使用しないように注意しましょう。
この記事を参考にしながら、素敵な出産祝いのご祝儀袋を完成させてくださいね。