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【専門家監修】香典返しとは? 心を込めた準備のために知っておきたいこと

更新日:2025年10月8日

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通夜・葬儀の際、参列者の方々から香典をいただくことがあるでしょう。

香典を受け取ったら、遺族側が「香典返し」をするのが一般的な弔事マナーです。

この記事では香典返しの相場やタイミング、選び方などを紹介します。

お相手に失礼にならないよう、事前に弔事マナーをチェックしておきましょう。

香典返しとは「いただいた香典へのお返し」

表書き「御香典」と書かれた香典袋

弔事マナーとして知られる「香典返し」。

具体的に、どんな品物を指すのでしょうか。

まずは香典返しとはどんなものか、香典返しに込められた意味について解説します。

贈られた香典に対するお返し品のこと

香典返しとお礼状

通夜・葬儀の際に、列席者が故人の霊前に供えてくださったお金を「香典」といいます。

その香典に対して、遺族側がお返しとしてお贈りする品が「香典返し」です。

  • 香典:列席者が故人の霊前に供えてくださるもの
  • 香典返し:遺族側が香典のお返しとしてお渡しするもの

なお、香典返しには、以下のような意味が込められているのが一般的です。

  • 香典をくださったことに対する感謝
  • 忌明け(仏式の場合は四十九日)法要を無事に終えたことの報告

忌明け(四十九日)は、故人の霊が成仏への準備期間を終えた大切な日とされています。

仏教では、人は亡くなると中陰(ちゅういん)と呼ばれる世界を四十九日間旅するとされています。

中陰では、来世の行き先を決めるための裁判が七日ごとに行われ、四十九日に行き先が決まるといわれています。

遺族が故人の冥福を祈って喪に服す49日間を「忌中」と呼び、この期間が終了することを「忌明け」というため、「忌明け法要」は「四十九日法要」ともいいます。

また、四十九日は「中陰が満ちる日」であることから「満中陰法要」とも呼ばれます。

西日本では忌明けのことを「満中陰(まんちゅういん)」と呼び、忌明けに贈る香典返しの品を「満中陰志(まんちゅういんし)」と呼ぶこともあります。

香典返しの相場

香典の金額相場は、故人とお相手との関係性によって異なります。

それでは、お返しにはどれくらいの金額の品物がふさわしいのでしょうか。

香典返しの相場の考え方について説明します。

いただいた香典金額の「半額」(半返し)が基本

いただいた香典金額の「半額」(半返し)が基本

香典返しの相場は、いただいた香典金額の1/3~半額といわれています。

例えば、1万円の香典を受け取ったら、3,000円~5,000円程度の品物をお渡しするイメージです。

なお、いただいた香典の半額に相当する品物を贈ることを「半返し」といい、昔からお返しの基本とされてきました。

「半返し」でなくてもよいケース

香典返しの際は「半返し」が基本的なマナーとされています。

ただし、以下のように半返ししないケースもあります。

<半返ししないケース>
  • 3万円~10万円以上の高額の香典をいただいたとき:香典額の1/3~1/4程度
  • 働き盛りの大黒柱を亡くしたとき:香典額の1/3~1/4程度
  • 会社等の法人・団体名義:必要なし
  • 香典返しを辞退された場合:必要なし

高額の香典が贈られる背景には、故人への哀悼の意に加えて、

「残された遺族を助けたい」

「このお金を役立ててほしい」

という思いが込められています。

そんな思いに対して、セオリー通り半返しをしてしまうと、かえって失礼にあたるという考え方があります。

香典を包んでくださった方の立場や心情を汲み取り、状況に合わせてお返しする配慮も大切です。

なお、故人や遺族の会社名義の香典で、会社の福利厚生の一環で支給されていることが分かっている場合や、先方が香典返しを辞退されている場合も、香典返しを贈る必要はありません。

香典返しをお渡しするタイミング

香典返しをお渡しするタイミングは、忌明け後に渡す「後返し(忌明け返し)」と、葬儀当日に渡す「即日返し(当日返し)」の二つに分けられます。

それでは、後返し(忌明け返し)と即日返し(当日返し)の違いについてチェックしていきましょう。

忌明け後に渡す「後返し(忌明け返し)」

香典返しの品物

香典返しは、「忌明け法要」(四十九日法要)を終えた日から1か月以内に先方にお渡しするのが一般的です。

忌明けとは、遺族が故人の冥福を祈って喪に服す期間(忌中)が終了すること。

忌明けの時期は宗教によって異なりますが、仏教では故人の命日を1日目として数えて49日目を指します。

忌明け法要後の香典返しには、「無事に四十九日を迎えました」という遺族からの報告と、香典を贈ってくださったお相手への感謝を伝える意味が込められています。

四十九日法要を前倒しで執り行う予定の方はこちらの記事もどうぞ

葬儀当日に渡す「即日返し(当日返し)」

お葬式の受付の様子

「即日返し(当日返し)」とは、葬儀当日に香典を持参してくださった方に、その場で香典返しの品をお渡しする方法です。

一般的には2,500円~5,000円程度の品物を用意するケースが多いようです。

喪主側は、香典額に関わらず同じ品物を用意すればよいので、時間をかけて一人一人に品物を選んだり、大勢の方に品物を発送したりする手間が省けるというメリットがあります。

注意点として、1万円を超える高額な香典をいただいた場合は、即日返しの品物と釣り合いがとれなくなります。

この場合は、忌明け後に追加で香典返しの品を贈り、いただいた金額に釣り合うようにフォローするのが丁寧な対応です。

例えば、即日返しに2000円の品物を用意していた場合、1万円の香典をくださった方には、後日3000円の品物を贈る、というイメージです。

贈るタイミングは、忌明けから1カ月以内にしましょう。

「香典返し」と「会葬御礼」の違い

香典返し

香典返しと混同されがちなのが、「会葬御礼(かいそうおんれい)」です。

「会葬御礼」とは、通夜・葬式に駆けつけてくださった方々全員に、お礼の気持ちを込めて礼状と品物をお渡しするものです。

会葬御礼では、すべての人に同じものを渡します。

先方から香典をいただいたかどうかや、いただいた香典の金額は関係ありません。

一方、「香典返し」はいただいた香典の金額に応じてお返し金額が決まるものです。

香典返しを「即日返し」にする場合、葬儀当日は「香典返し」と「会葬御礼」のそれぞれを用意する必要があるので、注意しましょう。

香典返しによく選ばれる定番品

香典返しにはふさわしい品物と避けるべき品物があるため、定番品をチェックしておくのがおすすめです。

お相手に失礼にならないよう、適切な品物とともに感謝の気持ちを伝えましょう。

食べる・飲むとなくなる「消え物」

香典返しにおすすめのお返し

昔から香典返しによく選ばれているのは「消え物」です。

消え物とは、食べる・飲むとなくなるものや、消耗品など「あとに残らないもの」を指し、「不祝儀を後に残さないように」という意味が込められています。

以下のようなものがすぐに消費できる香典返しの定番品です。

特に、日本茶は「境界を区切る」という意味を持つとされ、昔から区切りの儀礼にふるまわれてきました。

故人をあの世へ送り出す場面にも適しており、弔事にまつわる贈答品によく使われます。

お菓子を贈る場合は日持ちしやすい「焼き菓子」や、食べ切りやすい個包装のものを選ぶとよいでしょう。

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食べ物以外の「消え物」

国産タオル

飲食物以外で「消え物」とされるものは、タオル洗剤などの日用品です。

白いタオルは「悲しみをぬぐいさる」という意味を持つとされ、香典返しの品としてよく選ばれます。

注意点として、日用品は人によって好みやこだわりが異なることもあります。

また、喪主側としては「日用品を贈ると安っぽい印象になってしまうのでは?」と気になる方もいるようです。

そんなときにおすすめの消え物ギフトとして、香典返し向きのカタログギフトが挙げられます。

カタログギフトは一つのシリーズの中に複数の価格帯コースが用意されており、香典返しの予算さえ決まっていれば、品選びに時間がかかりません。

一般的な弔事用カタログギフトに掲載されている商品として、高級なお菓子やお茶のほか、お酒・グルメ・日用品などが挙げられます。

カタログギフトは、相手の好みが分からないときの香典返しとして重宝するでしょう。

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香典返しにおける「掛け紙(通称:のし紙)」のマナー

香典返しにおける「掛け紙」のマナーについて確認しておきましょう。

近年は正式な贈り物につける儀礼用の掛け紙のことを、まとめて「のし」「のし紙」と呼ぶ人が多いようです。

しかし、本来の「のし」とは縁起物の「のしアワビ」のことで、掛け紙の右上につける「のし飾り」の真ん中にある黄色い部分を指します。

のし飾りがついている掛け紙だから「のし紙(のし)」と呼ぶわけです。

のし紙は慶事で用いるおめでたいもの。

弔事の場合は「掛け紙」と呼ぶことも覚えておくとよいでしょう。

香典返しの掛け紙は水引が黒白(黄白)、結び切り

香典返しの掛け紙イラスト

香典返しに使う掛け紙の水引は、地域によって異なります。

東北~関東、九州では黒白の水引が印刷された掛け紙を使うのが一般的です。

関西ほか一部の地域では黄白の水引の掛け紙が使われます。

水引の結び方には数種類ありますが、それぞれ伝統的な意味があります。

弔事の贈り物には、「二度と繰り返さない」という意味が込められた「結び切り」の水引を用いましょう。

一般的な表書きは「志」

香典返しの掛け紙4種

香典返しの掛け紙の表書きには「志」と書くのが一般的ですが、宗教や地域によって異なるケースもあります。

地域・宗教 表書き
関東
関西~西日本、北陸地方 満中陰志
中国・四国・九州地方の一部地域 茶の子
神式・キリスト教 偲び草

事前に年長の身内や親族に確認してから、適切な表書きを入れることをおすすめします。

渡すタイミングによって掛け紙のかけ方に注意が必要

のしの掛け方 弔事用

掛け紙の掛け方には、包装紙の内にかける「内のし」と、外にかける「外のし」の二通りがあります。

香典返しを渡すタイミングによって、掛け紙のかけ方に配慮が必要です。

掛け紙の表書きが相手にすぐに見えたほうがいい時は「外のし」にすると便利です。

香典返しを「即日返し(当日返し)」で手渡しする場合は、外のしにするケースが多いようです。

一方、「内のし」は包装紙の下に掛け紙がついているため、掛け紙を汚したくないときなどに向いています。

香典返しを「後返し(忌明け返し)」で郵送する場合は、輸送中に掛け紙が汚れないように内のしにする方がベターでしょう。

即日返し(当日返し) 外のし(商品を包装してから掛け紙をかける)
後返し(忌明け返し)で郵送する場合 内のし(商品に掛け紙をかけてから包装する)

香典返しを郵送する際の注意ポイントを詳しく解説

香典返しに挨拶状を添えると丁寧

メッセージを書く女性

香典返しを忌明け後に贈る「後返し(忌明け返し)」の場合、挨拶状を添えるのがマナーです。

通夜や葬儀で香典をくださった方への感謝と、滞りなく四十九日法要(忌明け法要)を終えた報告を兼ねて挨拶状を準備しましょう。

挨拶状を書くときのポイントや注意点について以下にまとめました。

宗派によって挨拶状に用いる言葉が異なるので注意

挨拶状の内容は、以下が一般的です。

  • 謹啓・拝啓など頭語
  • 葬儀への列席や香典に対する感謝の意
  • 四十九日法要を終えたことの報告
  • 香典返しの品物を贈ったので受け取っていただきたい旨の報告
  • 略儀でお礼を済ませることへのお詫び
  • 謹白・敬具など結語

しかし、宗派によって挨拶状で用いる言葉は異なるので、注意が必要です。

代表的な違いとして、以下の項目をチェックしておきましょう。

  • 仏式:戒名(仏門に入った証として授けられる名前)を用いることが多い。
  • 神式:永眠の代わりに「帰幽」と書く。
  • キリスト教:永眠の代わりにカトリックでは「帰天」、プロテスタントでは「召天」と書く。

<三浦先生からのひとこと>
香典返しの挨拶状には、「四十九日の法要を滞りなく相営みました」といった文で忌明けの報告を入れますが、

  • 無宗教の場合
  • 宗教を問わず諸事情で法要を行わなかった場合
  • お返しが遅れた場合

には、「諸事万端滞りなく相済ませました」と表現するとよいでしょう。

慌ただしい時期だからこそ挨拶状作成を依頼してしまう方法も

GIFTA(ギフタ)の挨拶状の例

気持ちを込めて挨拶状を自分で作ることは素敵なことです。

ただ、時間が限られる中での作成は大変でしょう。

そんなときは、香典返しの品物を購入する際、挨拶状の手配も一緒に依頼できるギフト専門店を選ぶ方法をおすすめします。

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香典返しの知識を深めて失礼のない対応を

香典返し

故人への弔意として香典を贈ってくださった方へ、感謝の気持ちを託した返礼品が香典返しです。

香典返しは「忌明けの法事が滞りなく終わったことのお知らせ」という意味も兼ねているため、忌明け後すぐのタイミングで贈るのが一般的です。

ただし、現在では香典をいただいたその場で香典返しの品をお渡しする「即日返し」を行うケースも増えています。

香典返しにふさわしいギフトとして、消えものの「食品」「日用品」や、お相手が好きなものを選べる「弔事用カタログギフト」がおすすめです。

まごころを包んでくださった方に、失礼のないお返しを準備したいもの。

香典返しの基本を知って感謝の気持ちを丁寧にお伝えしましょう。

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この記事のマナー監修者

三浦 康子 / 和文化研究家

この記事のマナー監修者

三浦 康子 / 和文化研究家

テレビ・ラジオをはじめ、各メディアで暮らしに息づく日本文化を紹介。新聞・雑誌、WEBにて多数の記事を執筆・監修、大学で教鞭もとる。著書『子どもに伝えたい 春夏秋冬 和の行事を楽しむ絵本』、監修書『季節を愉しむ365日』ほか。「行事育」や歳時記に関する講演会も行う。

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この記事の執筆者

GIFTAコラム編集部

GIFTAコラム編集部

当編集部では「贈り物選びの参考にしたいメディア」を目指し、ギフト通販専門店 GIFTA(ギフタ)の社内ライターがリサーチ・執筆を行っています。贈答マナーや人気ギフトのトレンドなど、お役立ち情報をわかりやすく発信します。

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