さまざまな事情から、お中元・お歳暮などの季節の挨拶が負担になり、やめたいと感じている人は多いでしょう。
しかし
「贈り始めて3年目だけど、もうやめていいのかな…?」
「突然贈らなくなったら、感じ悪いと思われる?」
などと考えてしまい、なかなか踏み切れないものですよね。
この記事では、いつ・どのような手順で季節の挨拶をやめればよいのかを徹底解説します。
角の立たない電話での伝え方や、使いやすい挨拶状(お礼状)の例文もご用意しましたので、ぜひ参考にしてください。
目次
お中元・お歳暮を円満にやめるベストなタイミング
お中元・お歳暮に区切りをつけるなら、できる限り角の立たない時期を見極めたいですよね。
季節の挨拶を円満にやめられるタイミングは、主に4つとされています。
- 3年以上経った場合
- 疎遠になった場合
- 高齢になった場合
- 相手方からの辞退があった場合
以下に詳しく解説します。
▼角の立たないやめ方も!実家同士のお歳暮についてはこちらをチェック
3年以上経った場合
お中元やお歳暮のご挨拶を「3年」以上続けている場合は、やり取りを終えることを検討してもよいでしょう。
季節の贈答品は、「贈り始めたら少なくとも3年は続けるべき」という考えが一般的です。
地域や家庭によって差はありますが、多くの場合3年を目途にやめてもよいと考えられています。
とくに子どもの結婚を機に実家同士がやり取りを始めた場合、3年・5年などを節目に「十分気持ちが伝わった」と考える家庭も多いようです。
3年経つ前にやめたい場合は、お中元から段階的に減らしていきましょう。
疎遠になった場合
結婚や退職、転勤・転居などで、お付き合いのあった方と疎遠になることがあります。
これまでに感謝の気持ちを十分に伝えられたなら、季節の挨拶には区切りをつけてもよいでしょう。
疎遠になることがわかっているのに贈り続けてしまうと、以降やめづらくなり、お互いの負担になってしまいます。
環境が変わり接点がなくなった年に、挨拶状・お礼状などで「今後は季節のご挨拶を差し控えたい」と意思表示するとよいでしょう。
高齢になった場合
自分自身が高齢になると、贈答品や挨拶状の準備に大きな負担を感じてしまいます。
体調面や経済面、気持ちの面で難しいと感じるなら、お中元・お歳暮に区切りをつけてもマナー違反ではありません。
定年退職や古希(70歳)、喜寿(77歳)を迎えたことなどを理由にすると、より説明しやすいでしょう。
また季節の挨拶は本来、「目下の人から目上の人へ」日ごろの感謝を込めて贈るものです。
自分自身が「目上」にあたる年齢ならば、相手に気を遣わせないために、贈り物をやめる判断をしてもよいでしょう。
【両親が高齢のケースも】
両親が高齢となり、負担を感じながら季節の挨拶を続けているケースもあります。
子としては、あまり無理をしてほしくはないでしょう。
一緒に贈り先を整理し、両親に代わってお中元・お歳暮に区切りをつけるのもひとつの手です。
相手方からの辞退があった
お中元・お歳暮を送付していた相手から「今後は辞退したい」申し出があった場合は、先方の意思を尊重します。
次回以降、例年通りに品物を贈ってしまわないよう注意してください。
相手からの辞退の申し出は、こちらから贈った品物へのお礼状に
「次回からは季節のご挨拶のお心遣いをなさいませんよう」
などと明記されるのが一般的です。
お返事には、
「お心遣いに甘え、今後お歳暮を送るのは差し控えます」
といった主旨の文言を記しましょう。
お中元・お歳暮を急にやめることは失礼?
お中元・お歳暮にひと区切りつけること自体は、失礼にはあたりません。
しかし、長年続いた交流をなんの前触れもなく途絶えさせてしまっては、相手に悪印象を与えることもあるでしょう。
季節のご挨拶には先方に安否を知らせる意味もあるため、体調面などについて無用な心配をかけることにもなりかねません。
相手との関係性が悪化しないよう「やめ方」のポイントを押さえることが大切です。
お中元・お歳暮のやめ方|3つの効果的な方法
お中元・お歳暮のやり取りをやめる、具体的な方法を3つご紹介します。
- 徐々にフェードアウトさせる…段階的に贈り物を減らす方法
- 電話で丁寧に説明する…親しい人に限ったカジュアルな方法
- 挨拶状やお礼状で伝える…目上の方にも適した丁寧な方法
贈る側の心理的な負担が少ないのは、時間をかけて徐々にフェードアウトさせる方法です。
すでに先方と疎遠になってしまっている場合は、この方法を取るとよいでしょう。
きちんとご挨拶をして区切りをつけたい場合や、次回からすぐにやめたい場合には挨拶状や電話を用いるとよいでしょう。
以下に詳しく説明します。
徐々にフェードアウトさせる
数年の時間をかけ、段階的に贈答品をなくしていく方法です。
突然すべてのやり取りをやめるのではなく、少しずつ減らしていくことで相手にやめどきを察してもらえます。
方法は以下の通りです。
- 贈り物の金額を減らす(5000円→3000円など)
- 贈り物に代えて、季節の挨拶状を送る
季節にあった挨拶状を送れば、日ごろの感謝やこちらの安否を伝えられるため、唐突さを軽減でき、心配をかけることもありません。
以下の例のように、季節の挨拶をを徐々に減らしていきましょう。
1年目:お中元に代えて「暑中見舞いはがき」を出す。お歳暮はいつも通り贈る。
2年目:夏は暑中見舞いはがきを出す。年末のお歳暮は金額を減らす。
3年目:お歳暮に代えて、年末の挨拶状か、年始の「年賀状」のみを贈る。
以降、贈答品はなくし、挨拶状のみやり取りする。
電話で丁寧に説明する
両親・友人など親しい相手には、電話で説明するのもひとつの手です。
電話口では、まず日ごろお世話になっていることへの感謝を述べます。
先方からも季節の贈答品をいただいているのなら、品物へのお礼も述べましょう。
そのうえで「来年からは形式的な季節の贈り物を『なし』にしたい」と申し出ます。
今後も変わらないお付き合いをお願いする旨も、忘れずに伝えてください。
電話での申し入れは率直な印象になるため、両親や家族同様に仲のよい親戚、上下関係のない友人などへの連絡に限りましょう。
電話のあとに、メールなどで文字に残しておくと安心です。
【電話での会話例】
A「○○です。Bさん、お久しぶりです。今年もお世話になりました。」
B「こんにちは。わざわざお電話ありがとう!こちらこそ、今年もお世話になりました。」
A「先日はすてきなお歳暮をありがとうございました。いただいたお菓子、家族でおいしくいただきましたよ。」
B「それはよかった!こちらこそ、先日いただいたジュースを年末にみんなで飲むのが楽しみなんです。」
A「そう言っていただけてうれしいです。ところで、毎年お歳暮のやり取りを続けてきましたが、今後はお互いに気兼ねなく過ごせるように、形式的な贈り物は今年で区切りにしませんか?」
B「実は私も同じことを思っていたの。そう言ってくれて助かります。」
A「ありがとうございます。これからも家族ぐるみでお付き合いを続けられたらうれしいです。」
B「もちろんです!これからも仲良くしましょうね。」
…
挨拶状やお礼状で伝える
フェードアウトせず、「季節の贈り物をやめたい」と相手に直接申し入れる場合、「挨拶状」「お礼状」を用いる方法が一般的です。
目上の方にはもちろん、ビジネスの場面で贈答品の廃止(虚礼廃止)を伝えるのにも適しています。
「挨拶状」と「お礼状」の違いはわかりにくいものの、以下のように使い分けます。
自分が贈るお歳暮に「挨拶状」を添える
自分が先方へ贈るお歳暮に添えるのが「挨拶状」です。
本来は、日ごろの感謝や季節のご挨拶の言葉を記します。
お中元・お歳暮をやめる場合は、基本の内容を記したあとに「次回以降は季節のご挨拶を差し控える」旨を書き加えましょう。
先方からも贈り物をいただいている場合は、「次回以降のお心遣いを辞退する」旨も記します。
これだけでは付き合いを控えたいと伝わりかねないため、今後のお付き合いについてお願いする一文を入れるのが鉄則です。
先方からのお歳暮に「お礼状」を返す
先方から贈られてきたお歳暮に対してお礼を伝えるのが「お礼状」です。
次回以降季節の挨拶を辞退するなら、お礼状にその旨を記します。
お礼状の主旨である「感謝の気持ち」を記したうえで、辞退の旨と、今後のお付き合いのお願いを書きましょう。
お礼状のみ返すのが心苦しい場合は、品物とともに送付してもかまいません。
【ワンポイント!挨拶状とお礼状の違いって?】
挨拶状とお礼状の内容は、大まかには変わりません。
ただし書き方のマナーとして「お礼状には安否をたずねる一文を入れない」とする説があります。
相手が元気にしているのは、贈り物が届いていることから明らかであるため、
「お元気でお過ごしでしょうか?」
といった文言はそぐわないとする考えです。
「お元気でお過ごしとのことと存じます」などの言い回しなら適切です。
諸説ありますが、お礼状が形式的になりすぎないよう、参考にしてみてください。
お中元・お歳暮のやめ方|挨拶状の例文3選
お中元・お歳暮を断る挨拶状・お礼状は、以下のような構成で書くのが一般的です。
- 頭語:「拝啓」など、手紙の書き出し
- 挨拶:時候の挨拶・近況をたずねる(または気づかう)言葉
- 主旨:お世話になっていることへの感謝
- お中元・お歳暮の廃止、辞退について
- 末文:今後のよいお付き合いや、相手の健康・幸せを願う言葉
- 結語:「敬具」など手紙の結びの言葉
- 署名:日付と氏名
例文も用意しましたので、参考にしてください。
ビジネス関係の相手宛の例文
謹啓
盛夏の候 貴社益々ご清栄のこととお慶び申し上げます
平素は格別のお引き立てを賜り 誠にありがとうございます
この度弊社では お取引先様に対するお中元・お歳暮の贈答を廃止することとなりました
つきましては 誠に恐縮ではございますが弊社からお中元・お歳暮お贈りすることは差し控えさせていただきます
お取引先様におかれましても 弊社へのお心遣いはご無用に願いたく 何卒ご理解賜りますよう よろしくお願い申し上げます
今後とも変わらぬご指導ご鞭撻のほど よろしくお願い申し上げます
末筆ながら貴社の益々のご繁栄と皆様のご健勝をお祈りいたします
謹白
自分が高齢になった場合の例文
拝啓
寒さの厳しい日が続いておりますが 〇〇様 ご家族の皆様には お元気でお過ごしのことと存じます
今年も大変お世話になり 誠にありがとうございました
さて 毎年心ばかりながらご挨拶を続けてまいりましたが
年齢を重ねる中で 従来のようなご交流が難しくなってまいりました
誠に勝手ではございますが 今後は季節のご挨拶を控えさせていただきたく ご理解いただけますと幸いです
〇〇様におかれましても 今後はどうかお心遣いをなさいませんよう お願い申し上げます
本年も残りわずかとなりましたが お体を大切にお過ごしください
今後とも変わらないお付き合いのほど どうぞよろしくお願い申し上げます
敬具
その他個人宛の例文
【自分が贈るお歳暮に添える挨拶状】
拝啓
初冬の候 ○○様にはますますご健勝のこととお喜び申し上げます
本年もひとかたならぬご厚情を賜り 心より御礼申し上げます
(日頃の感謝のしるしとして 心ばかりのお品をお贈りいたしましたのでご笑納ください)
さて 私事ながら このたび〇年勤めました株式会社○○を退職いたしました。
つきましては これを機に長らく続けてまいりました季節のご挨拶を控えさせていただきたく存じます
誠に勝手ではございますが 何卒ご理解賜りますようお願い申し上げます
○○様におかれましても どうか今後はお気遣いなさらぬようお願い申し上げます
本年も残りわずかとなりましたが お体を大切にお過ごしください
引き続きご交誼を賜りますよう どうぞよろしくお願い申し上げます
敬具
※品物を贈らない場合()内は不要です。
※青字の部分は、以下のように理由に応じて変更しましょう。
- さて 私事ではございますが このたび結婚を機に新たな生活を始めることとなり 転居いたしました
- 近年はご無沙汰してしまっており 従来のようなご挨拶が叶わぬことが多くなってまいりました
- さて 私事ではございますが このたび他県への転勤が決まり 新たな環境での生活を始めることとなりました
【いただいたお歳暮へのお礼状】
拝啓
歳末の候(盛夏の候) ○○様におかれましては ますますご清祥のこととお慶び申し上げます
このたびはご丁寧なお歳暮(お中元)のお品をいただき ありがとうございました
ご無沙汰してしまっているにもかかわらず 毎年格別のお心遣い痛み入ります
誠に恐縮ではございますが 今後はお気持ちだけいただきますので
どうか季節のご挨拶のお心遣いをなさいませんよう お願い申し上げます
末筆ながら○○様ご家族様のご多幸とご健勝を心よりお祈り申し上げます
敬具
お中元・お歳暮に関するQ&A
Qお中元とお歳暮、どちらかだけを継続してもよいの?
A.お中元とお歳暮、どちらか片方だけを続けたいなら、お歳暮にしましょう。
お中元は「上半期のお礼」を伝える品、お歳暮は「今年1年の感謝」を伝える品です。
1年間のしめくくりにあたるお歳暮の方が重視され、相場も若干高めになっています。
やり取りを段階的に減らしていきたいなら、お中元からやめるのが適切です。
Q.「いただきっぱなし」のお中元・お歳暮を断るには?
A.「お礼状」でお断りを申し入れましょう。
前提としてお中元・お歳暮の「お返し」は基本的に不要とされています。
部下やかつての教え子などから、お歳暮を「いただきっぱなし」になっていても、マナー違反ではありません。
今後は辞退したいという場合には、「お礼状」でその旨を伝えましょう。
まとめ
お中元・お歳暮をやめるなら、できるだけ円満なタイミングを見極めましょう。
唐突になくしてしまうと相手に心配をかけるため、贈り物を段階的に減らしていくか、電話や挨拶状・お礼状で申し出ます。
申し出をする際に大切なのは、日ごろの感謝と、今後もよいお付き合いをお願いしたい旨もきちんと伝えることです。
ぜひ電話の会話例や挨拶状の例文を参考に、お付き合いのある方々と、今後も良好な関係を続けてください。