この記事では、実家同士でお歳暮やお中元のやりとりをする際のマナーを解説します。
子どもの結婚は当人たち同士だけではなく、それぞれの実家をつなぐ重大なライフイベントです。
今年、子どもが結婚したばかりという人であれば、子どもの旦那さん・奥さんの実家へのお中元・お歳暮について、対応を考えるべきかもしれません。
「そもそも実家同士でお中元・お歳暮を贈り合わないと失礼に当たるの?」
「贈り物の相場は?」
「義実家と実家、どっちから贈るの?」
これらの疑問をこの記事で解消してください。
目次
実家同士でお歳暮を贈り合うのは普通?
子どもが結婚すると、子どもの結婚相手の実家とのお付き合いも始まります。
結婚によって結びついた姻戚同士がお中元・お歳暮のやりとりをすることは世間でよく見られます。
お歳暮をはじめとする季節のやり取りは、人付き合いの潤滑油。
贈り物を通じて親同士が言葉を交わすことは、子ども夫婦も含めた温かい交流のきっかけになるでしょう。
ただし、季節の贈答に関する認識は、地域性や家庭の方針によって異なるので、絶対の正解はありません。
やり取りするのが当然と考えている家庭もあれば、やり取りがわずらわしいと感じる家庭も。
お中元・お歳暮に関する価値観はさまざまであることを心に留めておいたほうが無難です。
特に気をつけなければならないのが、こちら側が「お中元・お歳暮のやりとりは必要ない」と考えているのに、相手の親が「実家同士のお中元・お歳暮のやりとりはきちんとするのが当たり前」と考えているケースです。
あちらの実家から贈り物が届いたのに、こちらから何も贈らなければ、悪い印象につながり家族関係がギクシャクするきっかけになりかねません。
自分たちの考えだけを常識と考えず、子ども夫婦やお互いの実家同士で事前にそれとなく意見を聞いておくといいでしょう。
お歳暮はどちらの実家が先に贈る?
季節のご挨拶として贈り物をやりとりする慣わしは、都市部では昔ほど盛んではなくなってきているようです。
しかし、地方によっては贈答文化がまだまだ根強く残っており、「夫・妻、どちらの家から先に贈るべきか」が暗黙のルールになっていることもあります。
妻の実家から先に夫の実家へ贈るケースが多い
日本では古くから、夫婦関係において嫁側を下手(したて)と考える文化があります。
そのため、お歳暮・お中元は「先に嫁側の実家から婿側の実家に贈り、夫を立てるもの」という考え方が今も存在します。
現代においても、結婚すれば女性が夫側の姓を名乗るケースがほとんど。
たとえ若夫婦が独立して別居していても、親世代の感覚として「女性は結婚すれば夫側の家に入るもの」という人が多数派といえるでしょう。
女性の両親から先にお歳暮・お中元を贈るのは、「嫁入りした娘をどうぞよろしくお願いします」という親心の表れ。
受け取った夫側の実家からも、丁重に気遣いお返しすることで、実家同士のお付き合いが円満に続くという考え方です。
ただし、地域性や家庭による考えの違いもあり、中には「夫側の実家から先に、妻側の実家へ贈る」という地域もあるようです。
贈答にまつわる価値観は時代とともに変わるもの。
これからは「夫・妻それぞれの実家に上下関係はなく、対等」という価値観が広がっていきそうですが、
「地域や世代によっては、今でも伝統的な考え方を受け継いでいるところがある」
と知っておくだけで、不要な行き違いを防げるかもしれません。
できれば姻戚となった先方実家の方針や、その地域の慣習について、子ども夫婦を通じて確認しておくのが無難でしょう。
お歳暮を贈る時期は地域により異なる
実家同士のお中元・お歳暮も、世間一般的な時期である「12月13日頃~20日頃」に贈ります。
ただし、お歳暮の時期には地域によって多少の差があるため、「先方の地域のお歳暮はいつか」を確認しておくことをおすすめします。
特に自分の家のほうから先に贈る場合、先方実家からお返しが贈られてくることも見越し、早めに贈るほうがいいでしょう。
お歳暮の期間中にやり取りが間に合うよう、準備するのがおすすめです。
▼各地のお歳暮の時期について、以下の記事で詳しく解説しています▼
実家同士で贈るお歳暮・お中元の相場
実家同士のお中元・お歳暮のやりとりでは、3,000円~5,000円が相場といわれています。
この一年の間で特にに先方にお世話を掛ける出来事があったなら、1万円ぐらいまでの予算で検討してもいいでしょう。
相場を超えてあまりにも高価なものを贈るのは、お相手に気を遣わせてしまうため控えてください。
基本的に、お中元・お歳暮のような季節の贈答品は、一度贈ると毎年一定の金額でやりとりを続けるものとされています。
そのため、予算の判断基準を「この金額でこれから毎年贈っても負担にならないか」にするのもひとつの方法です。
実家同士のお歳暮をやめたいときは
お中元・お歳暮のやりとりは、一度贈ると毎年一定金額で続けるのが基本的マナーとされています。
しかし、実家同士の贈り合いを数年続けて、
「形式ばったことはそろそろやめてもいいのでは?」
と感じる人は珍しくないようです。
双方の実家が、
「毎年気を遣わせて申し訳ない」
「負担になるのでもうやめたい」
と思いつつ、お互い口に出せずにいることもあるでしょう。
一般的に、「子どもの結婚後、お中元・お歳暮を親同士が贈り合うのは3年~5年までが目安」という意見がよく聞かれます。
また、伝統的な習わしとして「妻側の実家を下」とする見方があり、「お歳暮は妻の実家から先に贈り、夫側を立てるべきとされてきた」と先にご紹介しました。
この場合、妻側の実家からお歳暮をやめることが言い出しにくくなるため、「お歳暮をやめるときは夫側の実家から提案する」という考え方もあります。
家同士に上下関係があるという価値観は時代にそぐわなくなりつつありますが、このような考え方もあることを知っておくと参考になるかもしれません。
お相手を尊重する姿勢を十分に示した上で、お歳暮について、
「いつも申し訳なく思っております。これからも長いお付き合いが続くので、堅苦しいことはやめておきましょう」
と、遠慮する形で丁寧に提案するなら、決して礼を欠くことにはならないでしょう。
ただし、こちらからお中元・お歳暮をやめる提案をしても、先方の気が済まないこともあります。
また、「やめたいと言い出してお相手に気を悪くされたらどうしよう……」という心配もありますよね。
角の立たないスムーズな断り方【子ども夫婦を介して相手実家に伝える】
実家同士のお歳暮をやめたいとき、直接的な言葉でお断りしてしまうと、先方の実家に「何かあったのだろうか」と心配を掛けてしまうかもしれません。
この場合は、子ども夫婦にクッションとして両家の間に入ってもらうと、話がまとまりやすくなるでしょう。
子ども夫婦も交えて話し合い、適切な伝え方をよく吟味した上で、実子から自分の親に対して、以下のような内容をやわらかい言葉で伝えてもらうのがいいでしょう。
『いつもご丁寧にお気遣いいただきありがとうございます。今まで十分よくしていただきましたので、今後は形式ばったやり取りはお互いになしということでお願いいたします』
とのお申し出があった」
あるいは、実家の両親の代理として、子どもから先方の義両親へ、以下のように伝える方法もあります。
“大変申し訳ありませんが、来年のご挨拶は失礼させていただきたい”と実家の母が申しておりました」
このような言葉で、子ども夫婦を介してお相手の実家へ事情を説明したり、相談を持ちかけてもらうと角が立ちにくくなりそうです。
新婚夫婦の意思で「実家同士で贈答のやり取りはしない」と最初に決めてしまう手も
上記の他にも、間に立つ新婚夫婦の意向として、結婚当初に「実家同士でお歳暮・お中元の贈り合いはしないことにする」と決めてしまう方法もあります。
この場合、若夫婦が話し合って決めたことを、息子・娘それぞれから自分の親へ伝えます。
片方の実家が意見を押し通したり、新婚夫婦が片方の親の意見だけに従う、という形になってしまうと、後々になって気まずい雰囲気になりかねません。
そのような事態を避けるため、最初の段階であくまでも新婚夫婦が話し合い、主導して決めることがポイントです。
角の立たないスムーズな断り方【電話・手紙などで直接伝える】
お歳暮をやめることを直接伝えるタイミングは、先方から届いたお中元・お歳暮について、お礼の連絡をするときが自然でしょう。
やめる提案をするときの伝え方の配慮として、以下のポイントが挙げられます。
- 先方の気遣いといただいた品への感謝を述べる
- やわらかい言葉で辞退の意向を伝える
- 今後も良いお付き合いを変わらずお願いしたい旨を述べる
具体的には、以下のようにやんわりした表現で、さりげなく伝えるのが無難です。
お歳暮をいただき、手紙やはがきでお礼状をしたためる場合は、贈り物への感謝を先に述べてから、
「なお、誠に勝手ではございますが、本年をもちまして例年のご挨拶は失礼させていただきたく存じます」
このような表現で、辞退の意向を書き添えることも可能です。
あくまでも、いただいた贈り物についてはありがたく思っていることを先に述べた上で、
「親戚づきあいの関わりを断つつもりではなく、諸事情で贈り物を用意できない」
「先方に負担をお掛けすることを申し訳なく思う」
という流れで説明すると、悪印象を持たれずに意思を伝えられるでしょう。
その他の贈り物や挨拶状に替える方法も
お歳暮・お中元は、基本的に毎年一定の金額で贈り続けるのがマナーとされています。
しかし、型どおりのやり取りを続けるのが負担に思われるなら、季節の贈答としてではなく、おすそ分けなどちょっとした機会に贈り物をするのもいいでしょう。
「今年は地元の名産品が豊作だったので」などの一言を添えれば、お歳暮などの形にこだわらなくても、先方の実家を気に掛けていることが伝わるはずです。
また、「品物の代わりに季節の挨拶状を送る」というのもひとつです。
いずれにしても、無理をしないことと、お相手の実家に心配を掛けないことが大切。
「両家のお付き合いを大切に思っていること」「今後も末長いお付き合いを願うからこそ、お互いに無理のないようにしたいこと」が伝わるよう、柔軟に対応しましょう。
実家同士のお歳暮に! おすすめギフトを紹介
お歳暮・お中元の品選びは、こちらの金銭的な負担にならず、相手に気を遣わせないことがポイントです。
季節の贈答品の定番といえばお菓子やグルメなどの食べ物。
ただし、食べ物を贈る場合は、先方のご両親が健康上の理由で控えているものがないか、注意してください。
せっかくなら、お相手に気兼ねなく召し上がっていただけるものや、使い勝手のいいものを贈りたいですよね。
年齢を重ねるほどに、量よりも質を重視する人は増えていきます。
実家で暮らしているのが年配の両親のみ、あるいは片親のみなら、お歳暮の品は「いいものを少し」の方針が好まれる傾向にあります。
贈り物選びに迷う方のために、ここからはギフト専門店「GiftA(ギフタ)」で人気のおすすめお歳暮ギフトをご紹介します。
定番のお菓子は高級感とセンスを感じさせるものを
お菓子は贈答品の大定番。
中高年の方には、お茶と一緒にいただける和菓子が喜ばれる傾向にあります。
お菓子をお歳暮にするときは賞味期限が長めのものを選びましょう。
特に、あちこちからお中元・お歳暮をたくさん受け取るご家庭だと要注意。
賞味期限の短い食べ物を贈ると、「うっかりしていて食べそびれてしまった」ということもあり得ます。
また、賞味期限が短いものを贈ると「早く食べなくては」と急がせてしまうため、少なくとも1カ月以上は日持ちするものが安心でしょう。
国産の高級ブランドタオル
タオルはお中元・お歳暮の定番。
「いくらあっても邪魔にならない」と歓迎する声が多い一方で、「ありきたり」と思う人がいるのも事実です。
喜んでいただくタオルギフトを選ぶために、ワンランク上の品質にこだわりましょう。
たとえば、日本の地場ブランドであり高級タオルとして有名な「今治タオル」「泉州タオル」は進物用として大人気。世界からも絶賛されている最高品質を誇り、吸水性の高さとやわらかな肌触りが特徴です。
自宅用に贅沢なタオルを買う人はあまりいないため、初めて使うと「高級なタオルはこんなに心地いいものなんだ」と感動する人もいるようです。
改まった贈り物には、オーガニックコットン100%素材で、しっかりした箱入りのものがふさわしいでしょう。
お酒好きのご家族にはクラフトビール・ワイン・日本酒など
お相手のご両親がお酒好きなら、職人がつくるこだわりのお酒を贈ってはいかがでしょうか。
お歳暮の時期は、高級感ある日本酒やワインのギフトがおすすめ。
また、近年注目度が高まっているのが「クラフトビール」のギフトセットです。
クラフトビールとは、小規模の醸造所で造られる希少性の高いビールのこと。フルーティーな香りのもの、コクが強く苦味があるものなど、その醸造所ごとのこだわりと特徴が楽しめます。
クラフトビールは一般的な市販のビールよりも味わいが深いため、夏場だけでなく冬場にも鍋料理などと合わせて楽しんでいただけます。
いつもよりワンランク上の調味料
先方の実家のご両親がお料理好きな方なら、お歳暮にぜひおすすめしたいのが上質な調味料です。
天然素材と伝統的な製法にこだわった高級調味料ギフトは、ご家庭ですぐに活用してもらいやすいでしょう。
自分で高価な調味料を買う人はそれほど多くないもの。
天然素材を使い丁寧につくられた調味料ギフトをもらうと、
「気になってはいたけど買えなかった。レパートリーが増えてうれしい」
と喜ぶ人が多いようです。
醤油・味噌・出汁など、基本の和食に使うものだと出番が多いはず。
洋食が多いご家庭なら、オリーブオイルやハーブソルトなど、海外の高級素材のギフトセットもおすすめです。
有名カフェのコーヒー・紅茶・ジュース
コーヒー・紅茶・ドリンク類もお歳暮の定番ギフト。
定番品ほど、マンネリを感じさせないチョイスが大切です。
実家同士のお歳暮として贈るなら、高級感のあるホテルメイドのものや、老舗のソフトドリンクを検討してみましょう。
「先方のご両親がコーヒーに凝っている」という場合は、高級なコーヒー豆を贈るのもよさそうです。
高級な果物を絞ったジュースも、密封されていれば日保ちするため、ギフトとして最適です。
先方の親御さんの体を気づかう意味で、野菜ジュースなどを贈ってはいかがでしょうか。
上質素材を使ったご飯のお供やお惣菜
地元に名産品や有名な老舗があるなら、それを先方の実家に贈るのもいいでしょう。
中高年に人気のあるご飯のお供として、以下のような品がおすすめです。
- 高級な梅干し・佃煮・しぐれ煮
- 豪華な魚介類を惜しみなく使ったお茶漬け
- 老舗料亭のお惣菜 など
近年のお中元・お歳暮では、肩ひじ張らず手軽に食べられるもので、なおかつ高級感もある食品ギフトの人気が高まっています。
「高級お茶漬け」などはその代表格といえます。
親族が集まる席で大活躍! お肉グルメ・お鍋セット
お歳暮の予算が1万円ほどあるなら、豪華なグルメギフトも選択肢に入ってきます。
お歳暮・お中元は、年末年始・お盆の時期にも重なるため、家族・親戚が集まる機会が増えるでしょう。
そんなときに食卓がにぎわうグルメギフトを贈れば、すぐに役立ててもらえるはず。
要冷蔵・要冷凍の食品を贈るときの注意点として、先方が保管場所に困らないよう配慮するのがおすすめです。
子ども夫婦を通じて事前にそれとなく聞いておくか、要冷蔵・要冷凍の食品を贈りたい旨を先に先方に連絡しておくのもいいでしょう。
入浴剤・洗剤などの日用消耗品
入浴剤・洗剤・せっけんなどもお中元・お歳暮の定番。実用性が高いため、
季節のご挨拶として実家同士の贈答に使うなら、スーパーで市販されているものよりも高級感のあるものを選んでみてはいかがでしょうか。
お歳暮の時期は、身体を芯から温める入浴剤が喜ばれるでしょう。
洗剤や石鹸は、ナチュラル素材でできた、人にも環境にも優しいものが注目おすすめ。「お義母さんが水仕事で手が荒れやすく困っている」というときは、ぜひ検討してみてください。
おしゃれなパッケージものならギフトらしい特別感を演出できるでしょう。
お歳暮選びに迷ったらカタログギフト
実家同士のお中元・お歳暮のやりとりでギフト選びに迷った時は、カタログギフトがおすすめ。お相手に欲しいものを選んでいただけるのが大きなメリットです。
「カタログギフトといえば結婚式の引き出物」というイメージを持つ人が多いようですが、近年は「グルメ特化型」など、専門性のあるカタログギフトが人気を集めています。
高級ブランド和牛を中心に取り揃えたシリーズや、ご当地グルメを集めたもの、グルメ雑誌とコラボしたカタログなど、個性あるラインアップが登場しているので、チェックしてみましょう。
「贈る前に中身を確認したい」というときは、ギフトショップECサイトの商品説明ページ内に設置してあるデジタルカタログから閲覧可能です。
実家同士の良好な関係にお歳暮を活用
子どもが結婚した場合は、お相手の実家にお中元・お歳暮を贈ることを相談し、適切な対応をしましょう。
年二回のご挨拶のやり取りが、親同士のより良い関係性を築くきっかけになりそうです。
お歳暮はあくまで日頃のお付き合いへの感謝を伝えるためのもの、無理のない価格に抑えて問題ありません。
お歳暮やお中元のような季節の贈答は、一度贈れば毎年恒例とするのが基本マナー。
そのため、両家のお付き合いが今後も無理なく続けられることを踏まえて予算を決めましょう。
お歳暮には、定番人気の食品・お酒・日用品のほか、グルメカタログギフトもおすすめです。
少量でも質のいいものにこだわることで、お相手に喜ばれるお歳暮となるでしょう。