「オレンジワイン」についてご存知でしょうか?
その名のとおりオレンジ色のワインであり、新しいタイプのワインとして愛好家の間で注目されています。
この記事では、オレンジワインの概要や人気の理由、製造方法について解説します。目新しいワインをお探しの方に、ぜひおすすめしたいワインです。
目次
最近注目されているオレンジワインとは?
オレンジワインとは、白ブドウを使い、赤ワインの製法で作るワインのこと。
この製法により、オレンジ色に仕上がることが特徴で、黒ブドウを使って白ワインの製法で作るロゼワインとは対極の存在と言えます。
オレンジワインは白桃やアプリコットにたとえられる果実味と、赤ワインの渋みが両方味わえます。
見た目の美しさからも、赤・白・ロゼに続く第4のカテゴリーとして注目されているワインです。
また、製法の関係上、添加物が少ないため、ナチュラル志向のワインを求めている人にぴったりのワインと言えます。
オレンジワインの製造方法
一般的なオレンジワインは、白ブドウを砕き、果汁と果皮・種を一緒に発酵させます。
この発酵方法により、果皮に含まれる色素が果汁に混ざり、オレンジ色になるのです。この製法は、「スキンコンタクト法」と呼ばれています。
オレンジワインが人気を集めている2つの理由
オレンジワインは近年になり急激に人気が高まったワインです。
この人気には、以下の2つの理由があると考えられています。
ナチュラルワインブームに乗った
一つ目の理由として挙げられるのが、近年のナチュラルワインブームです。ナチュラルワインとは、地球環境に配慮した製法や添加物の少ない製法で作られたワインのこと。
「サステナブル」「SDGs」といった環境配慮への意識が高まるなかで、ワインにもナチュラル志向を求める人が増えてきているのです。
一般的に、ワインには酸化防止剤として亜硫酸塩が添加されています。また、ワインの発酵過程で果皮と種子から抽出される「タンニン」も、天然の酸化防止剤として働きます。
赤ワインはタンニンを多く含んでいるおかげで亜硫酸塩の添加量が少なくて済み、長期保存もしやすいのです。
一方、白ワインはタンニンを含んでいないものがほとんど。そのため白ワインの酸化を防ぐには、赤ワインよりも多くの亜硫酸塩を添加する必要があります。
その点、オレンジワインは赤ワインと同じくタンニンを豊富に含むため、酸化防止剤の使用量を抑えられるメリットがあります。
近年、白ワイン生産者が自然派ブームの影響を受けてオレンジワイン製造に切り替え、添加物の使用量を控えたナチュラルワインとしてアピールするようになりました。
それが健康志向の消費者に受け入れられ、幅広く認知されることになったのです。
さまざまな料理とマッチングしやすい
ワインと相性が良いとされるのは、基本的にワイン生産国であるフランスやイタリアの料理です。
一方、独特のうま味と飲みごたえがあるオレンジワインは、今までワインとあまり相性が良くないとされてきた料理にも合わせやすいといわれています。
たとえばスパイスがきいたインド料理、唐辛子を使った韓国料理などともよく合います。
ミルキーで濃厚なチーズとも相性抜群。チーズを食べた時の口に残るねっとり感を、ぬぐい去ってくれます。
料理に合わせやすいことから、各国のソムリエたちがオレンジワインをレストランで提供し始め、一気に認知が広がることになりました。
オレンジワインの歴史を知っておこう
オレンジワインは、東ヨーロッパもしくは西アジアに分類されるジョージアという国で約8,000年前に作られていたワインが起源とされています。
ジョージアでは、卵型の「クヴェヴリ」という大きなかめで、ブドウの果皮と種を一緒に発酵させて白ワインを製造していました。
ジョージアのワインは長らく国内でしか流通せず、世界には知られていませんでした。しかし、1990年代後半に自然派ワインを研究していたイタリアの生産者に注目され、1998年に世界初のオレンジワインが製造されました。
このオレンジワインがイタリアをはじめ世界で評価されたことにより、近年の人気につながっています。
選び方の参考にしたいオレンジワインの産地
オレンジワインは産地によって違った味が楽しめます。
これからオレンジワインにチャレンジしてみたい人は、産地に注目しましょう。以下では、オレンジワインの代表的な産地を紹介します。
ジョージア
ジョージアはオレンジワインのルーツの地。クヴェヴリによる製法は2013年にユネスコの無形文化遺産として指定されました。
ジョージアでは「アンバーワイン」という名称が使用されています。「アンバー」は「琥珀」という意味の単語。その名のとおり、アンバーワインは琥珀色の美しい見た目をしています。
クヴェヴリで作るワインは果皮と果汁を一緒に発酵させる期間が長く、多くのタンニンが抽出されます。そのため、渋みが強い点が特徴です。
イタリア
イタリアでは、白ワインの産地であるフリウリ・ヴェネツィア・ジュリア州を中心にオレンジワインが製造されています。オレンジワインの産地としての歴史は長くありませんが、近年のブームにより一気に生産が盛んになりました。
イタリア産のブドウ品種を使用しており、酸味が強い仕上がりになるのが特徴です。
日本
近年は、日本でもナチュラルワインブームの流れを受けてオレンジワインの生産を始めるワイナリーが増えてきました。
日本固有品種の甲州を使用しているオレンジワインが一般的です。甲州は生食用としても流通している甘みの強いブドウ品種であり、オレンジワインにすることでコクが生まれます。
オレンジワインによく使われる白ブドウの品種
オレンジワインはどんな白ブドウでも製造できます。以下では、特にオレンジワインに使用されることが多い白ブドウの品種を紹介します。
ヴィオニエ
ヴィオニエは、フランスの北ローヌ地方が原産の白ブドウ品種です。
芳香性が強く、アロマティック品種(際立った香りを持つブドウ品種)に分類されており、厚みのあるリッチなワインに仕上がる点が特徴。生姜や白コショウを思わせるスパイシーな感覚が後味として残ります。
ゲヴュルツトラミネール
ゲヴュルツトラミネールは、フランス・アルザス地方を主要な産地とする白ブドウ品種です。
ライチ、バラ、トロピカルフルーツのような香りが特徴。ワインにするとフルーツのような香りが強まるほか、もともと少ない酸味がさらに弱まる点が特徴です。
ルカツィテリ
ルカツィテリは、ジョージアのオレンジワインに使われる品種です。気温が高い環境でも酸が維持されるため、酸味の強いワインができあがります。一方、香りは控えめです。
オレンジワインにすることで、アプリコットや黄桃を思わせる風味と酸味の調和がとれた仕上がりになります。
ピノ・グリ
ピノ・グリは、フランス・ブルゴーニュ地方原産の白ブドウ品種です。ドイツ南部が原産という説もあります。
ピノ・ノワールが突然変異を起こして果皮の色がピンク色になった品種であり、鮮やかな色調のオレンジワインができあがります。
適度な酸味とコクのバランスがとれた味わいが特徴です。
和食との相性・温度などオレンジワインの楽しみ方
オレンジワインは、温度によっては渋みが際立ってしまうことがあります。白ワインよりも少し高めで、赤ワインよりは低めの温度で飲むのがベストです。
甘口・ライトボディの場合は10~12℃、辛口・フルボディの場合は12~16℃で飲むのがおすすめ。なるべくこの温度で飲むことを意識してみましょう。
上記のとおり、料理とのマッチングの守備範囲が広いため、さまざまな料理と合わせて楽しめます。特に、スパイスやハーブの強い料理との相性は抜群です。
また、和食と合わせるのもおすすめです。日本で作られたオレンジワインであれば、いっそう和食との相性が良好です。
日本のオレンジワインをお探しなら…『SADOYA』がおすすめ
近年は、フランスやイタリアのワインだけではなく、「日本ワイン」も注目されています。
「日本ワイン」とは、日本で栽培されたブドウを100%使用して日本国内で醸造された、正真正銘の日本産ワインです。
日本は気候の問題から「ブドウ栽培に適していない」と言われていましたが、国内のワイナリーは着々と栽培技術・醸造技術を向上させてきました。
近年は国際的なコンクールで日本ワインが賞を受賞しており、世界が認めるワインブランドとして地位を確立しつつあります。
オレンジワインを作っている日本のワイナリーも少なくありません。
今回、GiftA(ギフタ)がご紹介するのが、山梨・甲府のワイナリー『SADOYA』のオレンジワインです。
『SADOYA』は大正6年に創業した老舗ワイナリーであり、日本ではいち早く自社でのブドウ栽培を手掛けています。
戦火で醸造場が全焼する災難に見舞われましたが翌年には再起し、好天で生まれたブドウから極上のワインを作り出しました。
それ以降も「食卓のなかにあるワイン」にこだわり、質の高い日本ワインを作り続けています。
『SADOYA』の「甲州醸し 2021 SMOKE」は、山梨県産甲州ブドウの果皮・果汁を一緒に発酵させることで、厚みと広がりのある味わいに仕上げています。「SMOKE」という名前は、燻したような独特の香りと味わいから名付けられています。
日本人の口に合うオレンジワインや和食のパートナーになるオレンジワインをお探しであれば、ぜひ『SADOYA』のワインをお試しください。
まとめ
赤ワイン・白ワイン・ロゼワインは飲んだことがあっても、オレンジワインに関してはまだ未体験の人が多いかもしれません。
これからは、「第4のワイン」としてスタンダードになっていくことが予想されます。
添加物が少ないことから、ナチュラルなワインを探している人には特におすすめです。また、和食に合わせても違和感がないため、食卓で楽しむワインとしてもぜひ試してみてください。