喪主になれば弔電を受け取ることもあるでしょう。
しかし、弔電を受け取ってもどうお返ししたらいいのかわからない、どうお礼をすればいいのだろうか、という人も多いはずです。
加えて香典もいただいたら、ますます迷います。
今回は、弔電をいただいた時のお返しのマナーを、香典返しのマナーと一緒に見ていきましょう。
弔電の意味とお礼を伝えるべき時期
弔電とはそもそもどういったものなのか?弔電と一緒に香典をいただいたときは香典返しも必要なのか?
弔電と香典返しの疑問についてお答えいたします。
弔電とは喪主に当てたお悔やみの言葉
弔電とは、葬式に参列したいけれど、どうしても都合が合わず参列できなかった方が喪主宛てに出す、お悔やみの電報です。
弔電は告別式や通夜が行われる場所で、読み上げられます。
基本的にはお悔みの言葉が書き連ねてありますが、励ましの言葉を喪主ではなく遺族宛てにに出すこともあります。
弔電のお礼は1週間以内に返す
弔電を受け取ったら、いつまでにお礼を返せばよいのでしょうか?
特に決まったルールはありませんが、早いに越したことはありません。
弔電は、葬式が終わったらすぐにお返しをするべきです。
しかし、葬式を済ませたあとの疲労感や、身内が亡くなったことへの悲しみがあるため「すぐに返す気持ちになれない」ということも当然あるでしょう。
立ち直りの時間は必要だとは思いますが、遅くても葬式が済んで1週間以内には返すのがマナーです。
香典・香典返しとは?
弔電と一緒に、香典をいただく場合があります。
その際は香典返しを贈ることも必要です。香典と香典返しの詳細についてご紹介します。
香典とは、葬式の際に参列者が喪主にお渡しするお金のことです。
香典をお渡しする理由は、故人や喪主に関係がある方たちが、葬式や法事の費用にあてていただくために集める援助金とされています。
香典を現金で贈る以外にも、葬式に必要な道具やお花をお渡しする形で援助を行う場合もあります。
続いて香典返しについて。
こちらは香典へのお返しの品物です。香典返しは、四十九日の法要後、忌が明けてからお返しするのが基本です。
香典返しは、ただお返しという意味ではありません。「法要が無事に終わり、おかげさまで故人が成仏しました」という意味を込めて贈ります。
香典返しは香典をいただいた全員にお返しするのがマナーです。一緒にお礼状も添える必要があります。
弔電と香典を一緒にもらったら?
弔電をいただいた際、参列者を通して弔電の主から香典もいただくパターンがあります。
この場合、お返しはどのような形で返せばよいのでしょうか?
弔電と香典の両方をいただいたら、弔電のお礼を伝えるタイミングで香典返しも一緒に贈ってよいという考え方があります。
弔電へのお礼は直接伝える?手紙でもOK?
弔電をいただいたら、お礼の仕方は直接会って伝えるべきか、あるいは手紙でもいいのでしょうか?
また、どうしても手紙を書く時間がない人はどうすれば良いのでしょうか?
弔電へのお礼を直接伝えられない場合は、ある一言が必要です。
ここから、弔電をいただいた場合のお礼のおすすめの方法をご紹介します。
お礼は直接訪問よりも手紙を出すのが一般的
弔電をいただいたら、どのような形で感謝の気持ちを伝えるのが良いのでしょうか?
本来は、いただいた弔電へのお礼は、相手方に直接訪問して伝えるのが良いとされますが、最近ではお礼状で感謝の気持ちを伝えることが一般的です。
ただし、お仕事関係の方から弔電をいただいた場合は、今後のお付き合いのことも考えて、直接お会いして弔電のお礼を伝えることをおすすめします。
また、文章は直筆で書いたほうが礼儀正しい印象を与えます。しかし、どうしても書く時間がない、書き方が思いつかないという人は、印刷されたお礼状でもかまいません。
葬式を済ませた近日中に、弔電の贈り主とお会いする機会があれば、直接お礼を伝えましょう。その際は、もちろんお礼状を書かなくても大丈夫です。
電話・メール・SNSで弔電のお礼を伝えるケースも
最近では、弔電へのお礼を手紙や直接訪問で伝える以外に、電話やメール、もしくはSNSで気軽に返す人も増えているようです。
その際は、文章の始めに「略儀でありますが」と、必ず一言添えましょう。
ただし、基本的にはお礼状もしくは直接、それが難しければせめて電話でお礼を伝えたほうが無難です。
弔電を贈ってくださった相手は、喪主の元気な声を聞けることを心待ちにしています。
そんな相手にメールやSNSだけの返答では感情が伝わりにくく、味気ないと思われるかもしれません。
弔電の相手を安心させるためにも、なるべく丁寧な返事を心がけましょう。
略儀ということを忘れずにお詫びを
弔電へのお礼をお礼状や電話などで伝える際に忘れてはいけないことが、「略儀であることのお詫び」です。
弔電へのお礼はお礼状か電話で伝えるのが一般的、とお伝えしましたが、本来なら直会ってお礼を伝えるのが礼儀であることに変わりはありません。
贈り主がわざわざ時間を割いて弔電を送ってくださっていることを心に留め、お礼状や電話で弔電のお礼を伝える際は、必ず「略儀になってしまいましたが」と一言添えてください。
弔電と香典を一緒にいただいたら?
弔電と一緒に香典をいただいた際は、香典返しはどう返せばよいのでしょうか?
返すタイミングと香典返しの相場、ふさわしい品物を見ていきましょう。
香典返しは弔電のお礼と同じタイミングで贈る
香典返しは基本的に四十九日後の忌明けに贈ります。
しかし、弔電のお礼は1週間中に返さなければならないので、この時ばかりは香典返しも1週間以内に返してもかまわないとされています。
香典返しの相場は?
香典返しは、半返し(香典に包んでいただいた金額の半分)、または1/3の金額で返すのが一般的な相場です。
いただいた金額よりも、高い金額で返してはいけません。
基本的には半返しで贈れば問題ありません。
ですが、相手の包んでくれた金額が大きい場合は、無理をせずに1/3の金額で返しても問題ないとされています。
香典返しのおすすめの品物
香典返しにおすすめの品物として、代表的なものを以下に挙げます。
- タオル
- 賞味期限の長いお菓子
- お茶
- 石鹸
- カタログギフト
賞味期限の長いお菓子やタオルは、いくらあっても困らないのでお返しの品物には最適です。
石鹸は、お葬式の悲しみを「洗い流す」という意味があるので、香典返しにふさわしいとされます。
反対に、香典返しで贈ってはいけないとされる品物を挙げます。
- 縁切りを意味する刃物や白地のハンカチ
- お祝いごとの印象が強いお酒
- 生肉や生魚
以上が、弔事で贈るのに不向きとされる品物です。
刃物は「縁を切る」につながるため、ハンカチは漢字で手巾と書くので「手切れ」を連想させるため、弔事でも慶事でも贈り物として避けたほうが無難です。
お酒は仏式の葬式ではNGとされる返礼品です。理由は2つあります。
1つ目は、お酒は神式の儀式で「お神酒」として使用されるため、お酒=神式のイメージが強いからです。
2つ目は、お酒はお祝い事の引き出物として用いられることがあるため、弔事では失礼に当たるとされています。
生肉と生魚がタブーとされるのは仏教の教えに基づいており、「四つ足生臭もの」は殺生に通じるので弔事の際は避けるべきとされています。
ただし、現代では生の食品ではなく加工食品は問題ないという考え方が広がっています。
もし相手の好みがわからず、何を贈っていいかわからないときは、カタログギフトを香典返しとして贈り、相手の好きなものを選んでいただくと良いでしょう。
弔電へのお礼状を送る場合
弔電へのお礼状を送る場合のマナーや、ハガキ選びを見ていきましょう。
お礼状はシンプルデザインのハガキに書くこと
弔電のお礼状は、シンプルな白地のハガキに書きましょう。
弔事のお礼状のため、デザインやカラフルな色が入っている手紙はふさわしくありません。
どれだけ相手とフランクな関係であっても、シンプルなハガキを選ぶべきです。
また、シンプルな封筒といっても、茶封筒など色が入ったものは避けてください。
弔事には、白無地の封筒のみを使用するということを覚えておきましょう。
弔電のお礼状を書く時のマナー
弔電のお礼状は慶事の際に書く手紙とは内容も雰囲気も異なり、マナーに気を付けなればなりません。
基本的に、弔事で文章を書く際には5つのポイントがあります。
- 頭語は入れない
- 季節の挨拶も入れない
- 句点、句読点はつけない
- 忌み言葉を避けること
- 略儀にしたことへのお詫び
頭語とは拝啓や敬具などのことです。
また、季節の挨拶も弔事ではしません。これらは慶事の手紙や個人的な手紙に入れるものであり、弔事の手紙には必要ないからです。
句点と句読点を付けるのも良くないとされています。
これは、位の高い人が目下の者でも文章を読みすいように句読点を付けたのが、文章に句読点をつけるようになった始まりだとされているためです。
つまり、弔電をいただいた相手、ましてや目上の方に文章が読みやすいようにと配慮することは特に失礼に当たる、というわけです。
この慣習に基づき、弔事のお礼状には句読点をつけません。
日常では句読点が当たり前に使われますが、弔事のように正式なお手紙を書くときはそのマナーに従いましょう。
また、縁起の悪い忌み言葉も避けてください。
忌み言葉はいくつかあり、「無くす・切る・おしまい・別れる」などの、死や別れをイメージさせるネガティブな表現です。
最後に、弔電へのお礼を訪問ではなくお礼状で伝えたこと(略儀)をお詫びする言葉を添えましょう。
連名の弔電でも、一人ひとりに返すこと
弔電は個人から送られてくるものだけではなく、仕事関係の方たちから連名で送られてくる事もあります。
この場合、どうお礼をしたら良いのか迷ってしまうかもしれません。
連名で弔電をいただいた場合は、名を連ねてくださった一人ひとりに対して、弔電へのお礼状を書きます。
有志一同を一つにまとめて代表者だけにお礼状を出すのはおすすめできません。
連名で出すという事は、名を連ねている人一人ひとりが代表者という意味にとらえましょう。
まとめ
自分の家からお葬式を出すことになると、弔電をいただく機会もあるはずです。
その際に備えてマナーを覚えておくようにしましょう。
また弔電をいただいたら、その心遣いへの感謝を伝えるため、なるべくお礼状を出す必要があります。
時間がない場合は、電話でもかまいませんが、その際は、略儀であるお詫びを必ず添えてください。