「初彼岸」とは、故人が亡くなってから初めて迎えるお彼岸のことを言います。
通常、春と秋のお彼岸には家族そろってお墓参りをしたり、身内で集まって仏壇にお供えをする方も多いでしょう。
一方、初彼岸の場合は故人が亡くなってまだ日が浅いため、親族だけでなく故人と親しかった友人・知人もお墓参りに来てくださったり、仏壇用にとお供え物を郵送で贈ってくださるケースも珍しくありません。
そのため、初彼岸は普段のお彼岸とくらべて何かとマナーが気になる場面が出てくるものです。
今回は初めて初彼岸を迎えられる方のために、年中行事のお彼岸について基礎知識を解説するとともに、お供えをいただいたときの対応マナーやお返しにふさわしい品をご紹介します。
目次
初彼岸とは「四十九日が明けた後に初めて迎えるお彼岸」
故人の「初彼岸」がいつになるのか気になるところですが、「四十九日が明けてから後に初めて迎えるお彼岸」と覚えておきましょう。
つまり、四十九日がまだ済んでいないうちにお彼岸の時期を迎えた場合は、その次のお彼岸が初彼岸となります。
お彼岸の意味・期間
そもそも「彼岸」とは、春彼岸と秋彼岸の総称です。
仏教思想にルーツを持つ言葉で「向こう岸」を意味し、「煩悩を捨て去った悟りの境地」を表します。それに対して「こちら側(煩悩に満ちた人間世界)」を「此岸(しがん)」と言います。
【2024年】春彼岸 | 【2024年】秋彼岸 |
3/20 春分の日(彼岸の中日)を中心とする前後3日をあわせた7日間 | 9/23 秋分の日(彼岸の中日)を中心とする前後3日をあわせた7日間 |
3月17日(日)~3月23日(土) | 9月19日(木)~9月25日(水) |
お彼岸の期間は、仏教の教えや日本古来の風習と融合して「煩悩を慎むべき期間」「先祖を供養するにふさわしい期間」とする考えが広まったようです。
一般的なお彼岸は身内のみで行うこと多い
お彼岸は基本的に身内のみでお墓参りや仏壇・仏具の掃除などを行います。
お彼岸には親族からもお菓子や果物などのお供えが贈られることがありますが、葬儀の香典やお供え物のように「お返ししなければマナー違反」というはっきりした線引きはないと言っていいでしょう。
お彼岸のお供えは「ぼたもち」「おはぎ」のどちら?
どちらもお彼岸の供え物として定番ですが、見た目が似ているので「どう違うのか」と思う人もいるでしょう。
結論から言えば材料自体に違いはなく、季節で呼び方を変えています。
春のお彼岸には春に咲く牡丹の花にちなんだ「ぼたもち」、秋のお彼岸には秋に咲く萩の花にちなんで「おはぎ」と呼ばれるようになったと考えられています。
初彼岸では墓参客やお供え物への配慮も必要
初彼岸も特に盛大に行うべきという決まりはなく、基本的には身内や近い親族でお墓や仏壇にお参りすることが多いようです。
ただし、初彼岸の場合は故人が生前親しくお付き合いしていた方がお墓参りに来てくださったり、自宅の仏壇用にお供え物を贈ってくださることが多いでしょう。
その際には弔事マナーに沿ったおもてなしで、故人を偲んでくださることへの感謝を伝えたいものです。
初彼岸でお供えをいただいたら真心へのお返しを
仏壇にお参りするために故人の自宅を訪問する人は、お供え物を持参されることがほとんどです。
お彼岸のお供え物には基本的にお返しの必要はないものの、お供えをもらいっぱなしではやはり気になりますよね。
そんな時にはいただいた真心への感謝を表すために、心ばかりのお返しの品を贈ることをおすすめします。
「初彼岸のお返し相場」は香典返しと同様でOK
いただくお供え物の相場は3000円~5000円が一般的な目安です。
贈答マナーとして、お返しの金額は香典と同様に「半返し」もしくは「1/3返し」にすれば失礼には当たりません。
つまり1000円~2500円ぐらいの価格帯でお返しの品を考えるとよいでしょう。
ただし、中には高額なお供えをくださる方もいるかもしれません。いただいたお供え物の価格目安は念のためインターネットなどで調べてからお返しを準備したほうが安心です。
お返しの品を贈る時期
お彼岸の場合、特に決まりはありませんが、あまり遅くなりすぎるのも考えものです。
お供えをいただいてから1週間後~1ヶ月後を目処に、先方に届くように手配することをおすすめします。
初彼岸のお返しを選ぶ注意点
弔事にまつわる贈答品なので、香典返しと同様に考えれば問題ないでしょう。具体的には、以下の注意点を品選びの判断基準にしてください。
- 飲食物や日用品などの「消えもの」を選ぶ
- 殺生を連想させる生肉・生魚などは避ける
- 縁起物として慶事に贈られる鰹節・こんぶ・お酒などは避ける
- 派手でないパッケージ・包装にする
これらのポイントに注意すれば、相手に「仏事なのにこんな品物を?」と違和感を与えるようなものを贈ってしまう心配はないでしょう。
初彼岸のお返し用におすすめの品
弔事の返礼品には以下のような品が定番とされています。
- 日本茶・コーヒー・紅茶などの飲み物
- 日持ちするお菓子
- カタログギフト
上記のほか、故人の好きだった食べ物を贈るのも人柄が偲ばれ、親しい人に喜んでもらえるでしょう。
弔事用カタログギフトは先方の好みが分からない時に便利
近年、弔事の贈答品としてカタログギフトの人気が高まっています。
カタログに掲載されているギフト商品の中から先方に好きなものを選んでもらえるので、ありきたりでないお返しができるでしょう。
また、先方に贈った金額がわかりにくい体裁になっているので、はっきりと価格帯が分かる品物を贈るのがためらわれるときにも重宝します。
インターネットのカタログギフト専門店で購入すれば、流通コストの削減により、店頭販売されているのと同じカタログギフトが卸値で購入できるケースがあります。
ギフト専門店「GiftA(ギフタ)」でも、卸値価格のお値打ちのカタログギフトを取り扱っています。
割引価格でワンランク上の商品をお届けできるので、贈る側にも受け取る側にも満足できる贈答品となるでしょう。
初彼岸のお返しには「グルメ系カタログギフト」も人気
彼岸の返礼品に、人気急上昇中なのが「弔事用グルメ系カタログギフト」です。
彼岸や法要でいただくお供え物のお返しは「同じ弔事でも、香典返しほどマナーに厳格である必要がない」というのが理由の一つ。
また食べ物に特化したカタログギフトは、お相手にとって「要らない」と思う品がなく、好きなものを選べるというメリットもあります。
昨今では人気を反映してか、さまざまな趣向を凝らしたグルメカタログが販売されています。
贈られた側にとってもグルメ系カタログギフトは満足度の高いお返しとなるでしょう。
カタログギフトはネット上で気軽に注文して先方の自宅へ直送することも可能ですので、ぜひご検討ください。
弔事用ののし紙(掛け紙)の書き方
お供えへのお返しはのし紙(掛け紙)を付けると丁寧です。感謝の気持ちを表す贈り物として、きちんとのし紙をつけることをおすすめします。
- のし紙の水引は弔事用の黒白(西日本など地域により黄白)
- 表書き(贈り物の名目)は「粗供養」「志」「初彼岸供養」など
- 水引の下の「名入れ」部分には贈り主の苗字(フルネームも可)を書き入れる
これらに注意して贈り物にのし紙を付けてください。
また、お返しののし紙の付け方は「内のし」(品物にのし紙を掛けた上から包装紙で包む)で控えめな印象にするのが一般的です。
▼お返しを郵送する際の注意点について詳しく解説しています。
お礼状も添えるとより丁寧
お返しの品にはお礼状を添えることをおすすめします。
いただいたお供えへの感謝のしるしなのに、モノだけを送り付けてはあまりいい印象を与えない可能性があります。
手書きの手紙が一番丁寧ですが、ギフトショップでメッセージカードのサービスがあれば利用するとスムーズです。弔事のお礼にふさわしい文例を用意しているショップなら、失礼のないお返しがすぐに準備できます。
初彼岸の法要を行う場合はお寺に依頼
お彼岸の期間中、多くのお寺では「彼岸会(ひがんえ)」の法要を執り行い、読経をあげるなどの供養を行います。
年中行事としてのお寺の彼岸会は、お寺の信徒が先祖供養のために参加することが多いようです。
一方、親族が亡くなって初彼岸を迎える家が、供養のために菩提寺に個別で彼岸法要を依頼することもあります。自宅に祭壇を用意して僧侶をお招きするケースもあるようです。
個人で彼岸法要を依頼する場合は、お礼としてお寺にお布施を渡すのが一般的です。お布施の金額は地域の習慣などで差があり一概には言えませんが、目安として3万円~5万円程度であることが多いようです。僧侶を自宅に招いた場合はさらにお車代を別途包んで渡すこともあります。
また、お寺に参るにせよ自宅で彼岸法要を行うにせよ、正式な喪服を着用するほどあらたまる必要はないものの、仏事の際のマナーとして華美でない服装を心がけましょう。
参列者に渡すお返しの品を準備
彼岸法要を自宅で行うと、故人の友人・知人がお供えを持参して参列されることがあるでしょう。
参列者があらかじめ分かっているなら、帰り際にお返しの品を渡せるように前もって準備しておいてもいいですし、後日郵送で届けても問題はありません。お供え物の金額を確認してそれに見合うお返しを贈りたい場合は、後日あらためて配送するほうが確実です。
当日にお返しを持って帰ってもらう場合は一律の品物を準備してもいいでしょう。ただし、持ち帰るときのことを考えて、軽いもの・かさばらないもの選んだほうが行き届いた心配りと言えます。
いずれも、弔事用ののし紙(掛け紙)は忘れずに付けるよう手配しましょう。
まとめ
初彼岸は四十九日ほど大きな節目ではないものの、亡くなった人の供養をする時期であるため、丁寧にお墓参りをしたり、普通のお彼岸よりも豪華なお供え物をしたいと考える人は多いようです。
故人の思い出を大切にしてくださるそんな方々には、心のこもった返礼品でお応えしたいですよね。基本的には香典返しなどの弔事マナーと共通するところが多いので、今回ご紹介した情報をお返しの品選びの参考にお役立てください。