出産は喜ばしいことですが、思わぬ身内の不幸と重なってしまうことがあります。どちらを優先したらいいのか、いざとなると悩みますよね。
慶事と弔事が重なった場合の基本は弔事を優先するとされています。その理由として、お祝い事は後日改めて行うこともできますが、お葬式はその機会を逃せば次がないからです。
自分、あるいは贈る相手が喪中の場合、それぞれのパターンを想定して、どうすればよいのか注意点をまとめてみました。
出産祝いの前に喪中の期間を確認しよう
喪中とはいつからいつからまでなのでしょう。また、避けるべきお祝いにはどのようなものがあるのでしょう。
喪中とは近親者を悼む一定の期間
喪中とは近親者が亡くなった際に喪に服す期間を指します。この間、遠方への外出などを自粛し、死者をしのびます。
この風習は儒教の教えに由来するものだと言われています。日本でも一般的に家族や親族などが亡くなると喪に服します。
似たようなものに「忌中」があります。喪中と忌中は観念的な違いで、忌中は殺生をしてはならないとされている期間で、祝いの場に持ち込むべきはないという考えです。
忌中とは故人が亡くなって四十九日まで
2つの大きな違いは期間です。喪中も忌中も、近親者の死に対して身を慎むことは同じですが、お祝い事などを控える期間が異なります。
昔は故人との関係によって、それぞれの立場で細かく期間が決まっていましたが、今は忌中は四十九日まで、喪中はごく親しい関係者で1年間という考えが一般的です。
お正月のお祝いや慶事は避ける
忌中や喪中には慶事への出席は避けるべきとされています。そのため結婚式や祝賀会などへの参加は控えることがマナーです。自分が忌服中であることを伝えて丁重に断るようにします。
結婚披露宴に招待されている場合は忌明けの法要が終わるまでは遠慮すべきというのが一般的な考え方です。
しかし父母や子のように同居している家族が亡くなった場合以外には本人の気持ちで慶事に出席することも増えています。
ただし、中には先方が気にするケースもあるので一応断りを入れるほうが安心です。亡くなった人との関係や年齢、地域によって考え方も様々なのでケースバイケースで対応することが大切です。
慶事以外にも、死とのかかわりを避けるために神社への参拝や氏神の祭事への参加、初詣も控えるべきとされています。
忌中や喪中の場合には、新年の正月飾りやお節料理などの用意もせず、新年のあいさつも控えます。
これも最近では考え方が家庭によって様々で、故人をしのぶためにお正月に集まって食事だけをしたり、正月飾りも工夫して飾ったりする家庭もあります。
喪中とは1周忌までの1年間
父母や配偶者など近しい人が亡くなり喪に服すのは1周忌が終わるまでの1年間です。それまでは慶事は控えるべきと昔から考えられてきました。
ただし現在は何もかも控えるというわけではないようです。四十九日までは忙しく、お祝い事を控えるのはもちろんのこと参加する余裕もありませんが、四十九日以降は一周忌までの期間中でも相手との関係性や内容によってお祝い事に参加するケースもあります。
出産祝い、自分が喪中でも贈っていい?
自分が喪中の場合、友人に出産祝いを贈っても良いのでしょうか。また、自分が喪中に出産した場合は内祝いをどのようにしたらいいのでしょう。
祝いたい気持ちがあればOK
出産は新たな生命が誕生する、おめでたい出来事です。子どもを産んだ相手が喪中で無ければ、自分が喪中であっても出産祝いを贈ることは問題ないとする見方が一般的です。
贈るものについても特に気にせず、普段通りの出産祝いを用意して大丈夫です。赤ちゃんの洋服やお母さんと赤ちゃんが使えるスキンケア用品、ノンカフェインの飲み物といったものはよく出産祝いとして選ばれます。
時期としては、相手の都合の良い時期に贈っていいのですが、相手も気にするようであれば四十九日が過ぎてから贈ることが望ましいです。身内が亡くなった場合、特に近しい人だと四十九日までは忙しですから無理する必要はありません。
お祝いを贈るタイミングとして、遅くなる場合には喪中であったことを添えると、相手に気持ちが伝わりやすいです。
熨斗(のし)を付けるのは避けた方が良い
出産祝いでも喪中の場合には熨斗(のし)に「御祝」と書くことは望ましくありません。そこで熨斗はつけずにメッセージカードで喪中であることを考慮した旨を伝えるようにしましょう。
相手が喪中でも出産祝いを贈っていい?
相手が喪中でも出産祝いは贈っても良いと考えられます。しかし、いくつか配慮すべき点があります。
四十九日を過ぎてから贈る
今はほとんどの人が四十九日まで喪に服し、それ以降は普段通りに過ごします。 そのため出産のお祝いも四十九日以降であれば贈っても特に問題ありません。
出産祝いで大切なのは赤ちゃんの誕生をお祝いしたい気持ちです。とはいえ、なにかと忙しい四十九日までは出産祝いを贈るのに適した時期でも避けるほうが相手も気持ちよく受け取ることができます。
四十九日を過ぎて贈ると出産祝いのタイミングとして遅くなってしまう場合には、一筆添えて四十九日を過ぎて贈った旨を伝えましょう。
香典と一緒に贈るのはNG
出産祝いでお金を包む場合、香典と一緒に出産祝いを贈るのは厳禁です。 受け取り手もやはり香典とまとめられると良い気持ちはしません。タイミング的に、出産祝いと香典を一緒に渡すようになる場合、できれば別々に日を分けて渡すことが望ましいです。
もしも、同じタイミングになる場合には、それぞれ別に包むようにしたり、出産祝いはギフトカードや品物にしたりして、はっきりと分けることが大切です。
喪中に出産祝いを贈る時の注意
贈っても良いか相手に確認を
相手が喪中で出産祝いを贈る場合、きちんと相手に贈っていいか確認するようにしましょう。四十九日が終わっても親族が亡くなった後は忙しいこともあります。
お祝いを頂いたらお返しをしなければと焦らせてしまわないよう、相手の都合のいいタイミングで贈るためにも確認をするようにしましょう。人によって忌中や喪中への考えは様々なので、念のため確認しておくほうが安心です。
相手に失礼にならない品物を選ぶ
相手が喪中であったとしても、基本的に出産祝いとして贈り物をすれば問題ありません。ただし香典返しを連想させてしまうようなものや「切る」イメージのある刃物は避けるようにしましょう。産後のお母さんは、授乳で思うように睡眠時間も取れず大変です。
家族が亡くなって精神的にも肉体的にもかなり疲れてしまっている中での育児はとてもハードです。
そこで赤ちゃんのもの以外にお母さん用に、マッサージができるボディクリームやノンカフェインのお茶などを贈ると喜ばれます。もちろん赤ちゃんのものをリクエストされたら贈っても全く問題ありません。
まとめ
相手が喪中であっても出産祝いを贈ることは問題ありません。しかし相手の気持ちを考えて四十九日以降に贈ることが望ましいでしょう。すぐに贈るのではなく、事前に贈っていいか確認をしてから贈るようにしましょう。
出産祝いとして贈るものは一般的な出産祝いの品と同じで大丈夫です。ただし、香典返しを連想させるようなものは避けましょう。
お祝いが四十九日との兼ね合いで遅くなったり、お祝いの熨斗を付けずに贈ったりという配慮をすることになるので、一筆添えると相手に気持ちが伝わりやすいでしょう。