年末に、今年お世話になった人へ贈る「お歳暮」。
そもそもお歳暮とは何に由来する慣習なのか、詳しく知っている人は少ないかもしれません。
初めてお歳暮を贈る人は、時期や相場、誰に贈るのかなど、わからないことも多いでしょう。
この記事では、お歳暮の基本的な知識やマナーについて、詳しく解説します。
お中元との違いや、「のし」の書き方などの贈答マナー、喜ばれる品物の選び方も紹介しますので、ぜひ疑問を解決してください。
目次
お歳暮の基本知識
お歳暮の起源や時期、相場について解説します。
お歳暮とは何かをあらためて知れば、どのような意味で贈るのか、なぜその時期なのかなどが理解しやすいでしょう。
大人が押さえるべき知識として、ぜひ確認してみてください。
お歳暮とは?
お歳暮とは、今年1年お世話になった人に対して「感謝の気持ち」と「年末の挨拶」を伝える贈り物のことです。
本来、「歳暮」は「年末」の時期を意味する言葉です。
昔から年末には、1年間の感謝を込めて手土産を持って挨拶回りをする慣習があり、「歳暮回り」と呼ばれていました。
次第に、先方へ持参する手土産そのものを「お歳暮」と呼ぶようになったといわれています。
お歳暮の起源は?
お歳暮は、中国の道教に由来する行事と、日本の「御霊祭(みたままつり)」が結びついて生まれた慣習といわれています。
中国には、旧暦の1月、7月、10月に神様の誕生日を祝う行事があります。
それぞれ「上元」「中元」「下元」と呼ばれ、人々はお供え物をしてお祝いをするのが慣例とされてきました。
一方日本の「御霊祭」は、正月に先祖の霊をお迎えする行事です。
かつては親族たちが「本家」に集い、ご先祖様へのお供え物として「神酒」や日持ちのする食材を持参するのが慣例でした。
お歳暮は、こうした中国と日本のしきたりが結びついて生まれたといわれています。
江戸時代には、武家社会の儀礼や商人たちの商慣習として、上役や取引先に対して年末に贈り物をする慣習が根付いていきました。
明治以降になると、徐々に上司や親戚にも贈り物をするようになり、今日では「お歳暮」として広く全国に定着しています。
お歳暮を贈る時期はいつ?
お歳暮を贈る時期は、大きく分けると東日本・西日本で異なります。
東日本では、11月下旬から12月20日前後にお歳暮を贈るのが基本です。
一方西日本では、12月13日から12月20日前後に贈ります。
ただし地域ごとの細かな違いもあり、たとえば沖縄では12月25日ごろまでに贈れば問題ありません。
初めてお歳暮を贈るときには、相手の住んでいる地域の慣習を確認しましょう。
お歳暮の値段相場はどのくらい?
お歳暮の相場は、3,000円〜5,000円程度とされています。
ただしお歳暮は日ごろの感謝を相手に伝えるために贈るもの。
返礼品などとは違い、金額についてあまり厳密に考える必要はありません。
相手に気を使わせてしまうような、高価すぎる品物を避ければ問題はないでしょう。
お歳暮とお中元の違いは何?
「お歳暮」も「お中元」も、お世話になっている方へ感謝を伝える贈り物という点では同じです。
違いは時期で、お歳暮は年末ごろ、お中元は夏に贈ります。
お中元のルーツは「お盆」と、中国の行事「中元」です。
「お盆」は7世紀ごろに中国から日本に伝わった「盂蘭盆会(うらぼんえ)」を由来とする行事。
盂蘭盆会が「お盆」として日本に広まる中で、旧暦7月の「中元」と結びつき、お盆の時期に贈り物をする慣習が定着していきました。
お中元とお歳暮では、人気の品物に差があります。
お中元に好まれるのはそうめんやゼリー、アイスなど、暑い時期に喜ばれる品物です。
一方お歳暮では、体の温まる鍋やすき焼き肉、親族みんなで分けやすい焼き菓子セットなどが人気を集めています。
お歳暮を贈るときのマナー
お歳暮を贈る際には、贈答マナーをきちんと押さえることが大切です。
配送時のマナーやのし・送り状の書き方、自宅に訪問する際のふるまいまで、詳しく解説します。
相手に丁寧な印象を持ってもらうために、ぜひ参考にしてください。
1.お歳暮を送る際のマナー
お歳暮は、相手の自宅へ配送することの多い贈答品です。
品物を配送で届ける場合、必ず「送り状」も送付しましょう。
品物に添えて一緒に届けるか、品物よりも先に発送するのがマナーです。
送り状には、年末の挨拶や日ごろお世話になっているお礼、お歳暮を贈る旨を丁寧に記しましょう。
カジュアルな言葉で書くのではなく、正式な挨拶状のマナーに即して書くのが適切です。
以下に、正式な送り状の書き方を紹介します。
2.送り状の書き方
送り状のような正式な挨拶状は、手書きで記すのが丁寧です。
基本的には、縦書きにしましょう。
内容は、以下の構成を参考にしてください。
【頭語】
手紙の一番初めに記す言葉。拝啓、謹啓、拝呈などが一般的です。
【時候の挨拶】
頭語に続いて、以下のような季節に適した時候の挨拶の言葉を書きます。
「師走の候 〇〇様におかれましてはいかがお過ごしでしょうか」
【主旨(感謝の言葉とお歳暮を届ける旨)】
日ごろの感謝とお歳暮を送付する旨を書きましょう。
送り状を先に贈る場合、品物がいつ頃届くかも記載します。
【結びの挨拶】
手紙の後に書く、締めの言葉です。
時候の挨拶と同じく、季節に合わせて選びます。
また、今後のお付き合いについてのお願いを添えることも多いです。
「今後ともどうぞ変わらぬご厚誼を賜りますようお願い申し上げます。」
【結語】
手紙の最後に書く言葉で、頭語に対応する結語が決まっています。
間違ったり、書き忘れたりしないよう注意しましょう。
▼頭語と結語の対応表
頭語 | 結語 |
拝啓 | 敬具 |
謹啓 | 謹言 |
拝呈 | 敬白 |
3.お歳暮を持参する際のマナー
お歳暮は、相手に直接手渡すほうがより丁寧とされています。
相手の自宅を訪ねてお歳暮を手渡す場合、訪問マナーをしっかり守ることが大切です。
訪問時間は、できるだけ相手の希望に合わせましょう。
相手から希望がなくとも、一般的に忙しい早朝・食事時・夕方以降の遅い時間以外は避けたほうが無難です。
遅刻はもちろんNG。約束の時間に5分以上遅れてしまうなら、必ず一報を入れましょう。
反対に、約束より早すぎるのもマナー違反です。
早く着きそうなら近くで時間を調整し、時間通りの訪問を心がけてください。
服装は、スーツや礼服である必要はないものの、だらしなく見えない清潔感のある服装を選びます。
コートなどは、インターホンを押す前に脱いでおきましょう。
お歳暮を渡すのは、玄関先で挨拶をするタイミング。
長居せずに帰るのがマナーです。
ただし家の中に招かれた場合、かたくなに固辞するのも失礼にあたるので、お邪魔しましょう。
室内に通されたら、
「今年も大変お世話になりありがとうございました。」
「心ばかりの品ですがどうぞお納めください」
といった挨拶とともにお歳暮を手渡します。
「甘いものがお好きだと伺ったので」など、品物についての言葉を添えると好印象です。
4.のしの書き方
お歳暮には、のし紙を掛けるのがマナーです。
のし紙にはさまざまな種類があるため、選び方を確認しておきましょう。
水引は、紅白の「蝶結び」が一般的です。
「蝶結び」は「花結び」「一般お祝い用」ともいわれます。
水引きの上部には「御歳暮」と表書きをしましょう。
水引の下部には、贈り主の名前を、フルネームで記します。
連名なら、右から左へ、目上の人から順番に書くのがマナーです。
3人まではのし紙に直接名入れしますが、4人以上になる場合は代表者名を記しましょう。
会社から贈る場合、企業名ではなく代表者名を入れます。
企業名を明記しておきたいときは、代表者名の右上に小さく添え書きしてください。
お歳暮はどんな人に贈るもの?
お歳暮は、「日ごろからお世話になっている人」に贈ります。
「この関係性なら必ず贈る」といった厳密な決まりは、実はありません。
一般的には、上司やかつての恩師、習い事の先生、両親など「目上の人」に贈ることが多いです。
最近では従来の考えにとらわれず、遠方の友人や仲のよい同僚に贈る人も増えてきました。
気をつけたいのは、一度お歳暮を贈ったら毎年贈り続けることです。
お歳暮を一度だけ贈り、翌年以降贈らないのはマナー違反とされています。
初めてお歳暮を贈るときは、今後何年もやりとりを続けられるかを考えましょう。
「今年大変お世話になった方へお礼がしたい」というときは、お歳暮ではなくお礼の品として贈ります。
のし紙の表書きを「御礼」とし、お歳暮と重なる11月下旬〜12月20日ごろを避けて贈ると安心です。
また会社に対してお歳暮を贈る場合にも、注意が必要です。
お歳暮などの贈答品は、コンプライアンスの観点から、受け取れない会社が増えています。
初めてお歳暮を贈る取引先には、「先方の社内規定でお歳暮を受け取れるかどうか」を確認してから贈りましょう。
贈り物の品を選ぶ3つのポイント
せっかくお歳暮を贈るなら、相手に喜んでもらいたいもの。
「うれしい」と思ってもらえるお歳暮選びには、3つのポイントがあります。
悩んでしまいがちな品物選びですが、ポイントを押さえてスムーズに決めましょう。
1.家族構成を考えて選ぶ
ポイントの1つ目は、相手の家族構成に合わせて選ぶことです。
量が多すぎて持て余したり、反対に家族の人数に対して少なすぎたりしないよう配慮しましょう。
2人暮らしの夫婦なら、量よりも上質さを重視して選びます。
普段よりワンランク上のグルメギフトや、有名ブランドの高級スイーツ、手に入りにくいお酒などがおすすめです。
子どものいる家庭や、2世帯が同居している家族には、ボリューム感のある品物がよいでしょう。
みんなで分けやすい焼き菓子のセットや、食事にもおつまみにも活躍するハムの詰め合わせなどがぴったりです。
2.季節ものを選ぶ
2つ目は、季節感のある品物を選ぶことです。
冬ならではの食品や、年末・お正月を意識した品物には特別感があります。
冬が旬の「かに」や高級感抜群の「和牛」セットなどは、見た目にも華やかで、新年のお祝い事にはぴったり。
お歳暮には定番かつ大人気の品物といえるでしょう。
家族や親戚みんなで囲めて、体も温まる「鍋」ギフトもおすすめです。
すき焼きはもちろん、石狩鍋や水炊きといったご当地グルメや、ふぐ・鯛などを使用した高級海鮮鍋など、幅広い種類から選べます。
相手の好みに合わせて選んでみてはいかがでしょうか。
3.地元の特産品を選ぶ
自分が住んでいる地域の特産品を贈るのも、よいアイディアです。
とくに、遠方に住んでいる人へのお歳暮にぴったりではないでしょうか。
普段なかなか購入できない地域の特産品は、目新しく新鮮で、喜んでもらいやすいでしょう。
いつもお世話になっている相手に、自分の地元のよさを知ってもらう機会にもなります。
ただし特産品といっても、何でもよいわけではありません。
きちんと贈答品としての品がある品物を選びましょう。
- 受賞歴のあるお酒やグルメ
- 地域で愛され続けている銘菓
- 「ふるさと納税」の返礼品に選ばれている特産品
などから選ぶのがおすすめです。
よくあるご質問【Q&A】
お歳暮を贈る際によくあるお悩みに、Q&A方式でお答えします。
「ご不幸のあった方にお歳暮を贈っても大丈夫?」
「贈る時期が遅れてしまいそうだけどどうすれば…」
など、いざとなると迷ってしまう疑問を解消しておきましょう。
Q.自身・相手先が喪中である場合はどうする?
喪中の時期にお歳暮を贈ることは、マナー違反ではありません。
自身が喪中でも、相手が喪中でも、お歳暮を贈るのを控える必要はないため安心してください。
ただし、心情に配慮することは大切です。
四十九日を迎えていないなど、ご不幸があってから日が浅い場合には贈らないほうがよいでしょう。
喪中でお歳暮を贈りにくい場合には、時期をずらして「寒中見舞い」として贈るとよいでしょう。
寒中見舞いは、「松の内」が過ぎてから立春(2月4日ごろ)までに贈る贈答品です。
松の内の期間は、地域によって異なるため注意しましょう。
関東など:1月1日~1月7日
関西:1月1日~1月15日
Q.お歳暮を贈る時期を過ぎてしまった場合は?
喪中に限らず、お歳暮の時期に間に合わないケースはしばしばあります。
時期を過ぎてしまったら、お歳暮ではなく別の贈り物とするのが適切です。
松の内の期間なら「お年賀」として贈ります。
このときのし紙の表書きは、「御年賀」としてください。
松の内を過ぎてしまったら「寒中見舞い」として贈りましょう。
のし紙の表書きは「寒中御見舞」が一般的です。
また、「今年はお歳暮の時期に贈れない」とあらかじめわかっている場合は、相手に一報を入れておきましょう。
毎年やりとりをしているのに、何の知らせもなしにお歳暮を贈らないと、相手にいらぬ心配を掛けてしまうかもしれません。
遅れてしまう理由と、いつごろお年賀や寒中見舞いを贈るのかを伝えておくと丁寧です。
▼【のし画像あり】お歳暮が遅れてしまったときの対応を詳しく見る
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まとめ
お歳暮とはどのような贈答品なのか、基本知識やマナー、品物の選び方について解説してきました。
お歳暮は、一般的には12月(20日ごろまで)に贈る贈答品です。
※地域によって異なります。
予算は3,000円〜5,000円ほど。
相手の家族構成や季節感を意識した品物を選びましょう。
迷ったときは、「カタログギフト」を検討してみるのもおすすめです。
のしや送り状の書き方といったマナーを守れば、相手に失礼なく、よい印象で贈れます。
お歳暮の知識やマナーを押さえ、日ごろからお世話になっている方へ丁寧に感謝を伝えましょう。