5月の第2日曜日といえば「母の日」。
お母さんに日頃の感謝を伝える日として、定着していますが、
「そもそも母の日っていつ始まったの?」「日本だけの文化なの?それとも海外にもあるの?」
と疑問に思ったことはありませんか?
この記事では、母の日の由来や日本と海外の違い、そして各国のユニークな祝い方をご紹介します。
今年は、母の日を新しい視点で楽しんでみませんか?
「母の日」は日本だけのものじゃない
実は「母の日」は日本だけのイベントではなく、世界中で広く親しまれています。
文化や宗教が異なっていても、母親に感謝を伝えるというテーマは多くの国で共通しているようです。
日本では母の日といえばカーネーションが定番ですが、なぜなのでしょうか?
世界中で祝われる母の日のルーツや、日本との違いを一緒に探ってみましょう。
「母の日」のはじまりはアメリカから
「母の日」の起源は、20世紀初頭のアメリカ、ウェストバージニア州で社会活動家として活躍したアン・ジャービスという女性にあります。
彼女は、乳児死亡率の低減や公衆衛生の改善、病気に苦しむ人々への募金活動を目的とした「母親の日ワーククラブ」を設立しました。
また、「母の友情の日」と題した平和活動も行い、南北戦争で負傷した兵士の看護にも尽力したことで知られています。
当時、女性が社会的に弱い立場にあった中、彼女の活動は大きな意義を持つものでした。
1908年、アンの死を悼んだ娘のアンナ・ジャービスが、母の功績を称え、ウェストバージニア州の教会で最初の「母の日」を開催しすると、多くの人々の共感を呼び、広がりを見せました。
そして1914年、ウッドロウ・ウィルソン大統領が5月の第2日曜日を「母の日」として正式な国の祝日と定めたのです。
アンナが母の好きだったカーネーションを捧げたことがきっかけで、カーネーションが母の日の象徴となりました。
「母の日」は日本ではこう広まった
日本で「母の日」が広まり始めたのは、大正時代のことです。
当時、キリスト教関係者の影響を受けて、感謝を伝える文化が少しずつ浸透していきました。
その後、1931年に大日本連合婦人会が設立され、皇太后の誕生日である3月6日を「母の日」とする試みがありましたが、広く定着するには至りませんでした。
転機が訪れたのは1937年、森永製菓が「森永母の日大会」を開催したことです。
このイベントをきっかけに新聞や雑誌を通じて「母の日」の認知が広がり、多くの人々に親しまれるようになりました。
そして、戦後の1947年、アメリカの影響を受けて5月の第2日曜日が「母の日」として正式に統一され、現在のような形で定着したのです。
海外の「母の日」をのぞき見!
国によって「母の日」の時期やお祝いのスタイルはさまざまで、日本とは異なるユニークで興味深い習慣もたくさんあります。
ここからは、各国の「母の日」事情を詳しくご紹介します。
日本との違いや、その国ならではの特徴にもぜひ注目してみてください。
アメリカ
アメリカの母の日は、5月の第2日曜日です。アメリカでは、母の日は比較的ビッグイベント。
母親だけでなく妻やすべての母親である女性に敬意を表する日でもあり、家族でなくても「Happy Mother’s Day!」と声を掛け合うこともあるようです。
当日は、母親と一緒に時間を過ごすことがポイント。
家族でブランチやピクニックに出かけたり、豪華なブランチクルーズを楽しんだりするなど、リラックスした時間をプレゼントします。
また、花やカードを贈るのが定番で、とくにカードは欠かせないアイテム。
離れて暮らす家族は、カードを送ったり、電話で感謝の気持ちを伝えたりして、母親への思いやりを大切にしています。
花では、カーネーションが人気の花の一つで、亡くなった母親には白、健在の母親には赤のカーネーションを贈る習慣が一般的です。
イギリス
イギリスの母の日は、イースターの3週間前の日曜日。
かつては「マザーリングサンデー」と呼ばれ、イースターの一環として母教会を訪れる日でした。
出稼ぎに出た子どもたちが故郷の母教会を訪ねるため、奉公先から郷土菓子のシムネルケーキやラッパスイセンを手土産に持ち帰る習慣があったそうです。
この風習が時代とともに発展し、現在の「母の日」へと変化していきました。
現代のイギリスでは、花やカードを贈るのが定番です。
また、イギリスらしいお祝いのスタイルとして「ブレックファスト・イン・ベッド」があります。
朝食をベッドまで運び、ゆっくりとくつろげる時間をお母さんにプレゼントするのだとか。
日本のお母さんにとっては、少し羨ましく感じる習慣かもしれませんね。
フランス
フランスでは、「母の日」は5月の最終日曜日に祝われます。
この日は家族が集まり、花や贈り物とともに感謝の気持ちを伝える特別な日です。
シャクヤク、バラ、チューリップなど色とりどりの花を贈るのが一般的で、家族でごちそうを囲むのも恒例のスタイルです。
「お母さんの休日」として、夫や子どもたちが中心となり、家事や育児を担当します。
朝食をベッドまで運ぶ心温まる演出や、夫が子どもたちを連れ出して母親が一人の時間を楽しめるようにする配慮も。
さらに、外食に出かけたり、夕食を準備したりと、母親をもてなすための工夫が詰まっています。
また、妻だけでなく、自分の母親への感謝も忘れません。
電話をかけたり、プレゼントを贈ったりして、感謝の気持ちを伝えます。フランスの母の日のプレゼントには定番品がなく、お母さんが本当に喜ぶものを選ぶようです。
イタリア
イタリアで「母の日」が祝われるのは5月の第2日曜日ですが、日本ほど大々的なイベントにはなりません。
これは、日常的に母親への感謝を伝える文化が根付いているためです。
一般的な贈り物は、カードや花で、とくにアザレアの鉢植えが人気です。
アザレアは広場で販売されることが多く、売上の一部はがん研究のために寄付されるなど、社会貢献につながる取り組みも行われています。
こうした意味のあるプレゼントを通じて、母親への感謝だけでなく、社会全体への思いやりも表現されています。
オーストラリア
オーストラリアの母の日は、5月の第2日曜日。
特徴的なのはカーネーションではなく、菊の花が贈られることです。
日本人からするとちょっと驚きですよね。
オーストラリアは南半球に位置しているため、母の日の時期は秋にあたります。
この季節に開花する白い菊は「クリサンセマム」と呼ばれ、花の名前に含まれる「mum」(お母さん)という言葉が母の日にぴったりなのです。
当日は、家族でレストランに行って食事を楽しむことが一般的。
自宅でランチやディナーを楽しんだり、BBQを開催するのも人気の過ごし方です。
感謝の気持ちを込めてプレゼントやメッセージカードを渡すのが定番で、チョコレート、マッサージチケット、ジュエリーなどのギフトも好まれています。
韓国
韓国では、母の日として特定の日を設けていませんが、5月8日が「両親の日」として祝われます。
この日は、カーネーションを贈ることが一般的で、母親にはもちろん、父親にも感謝の気持ちを込めて贈られます。
その他のプレゼントとしては、両親が喜ぶ趣味や健康グッズ、食事などが選ばれることが多く、ホールケーキも定番のギフトです。
また、現金を贈ることも一般的で、これは実用的かつ現実的な贈り物として多くの家庭で見られます。
タイ
タイでは、母の日はシリキット前国王妃の誕生日である8月12日に祝われます。
この日は国全体が母親と王妃への感謝と敬意を示す大切な日です。
シリキット前国王妃が金曜日に誕生したことから、金曜日を象徴する水色がタイの母の日のシンボルカラー。
そのため、この日は街中に王妃の写真や水色の旗が掲げられ、多くの国民が水色の服を着用して祝賀ムードを盛り上げます。
贈り物としては、ジャスミンの花が定番で、ジャスミンで作った花輪が親しまれています。
タイの母の日は家族の絆だけでなく、国を挙げての祝祭としても大切にされているのが特徴です。
ベトナム
ベトナムには「母の日」という特定の日はありません。
3月8日の「国際女性デー」と10月20日の「ベトナム女性の日」が、母を含むすべての女性を祝う特別な日とされています。
これらの日には、女性に感謝を伝え、敬意を表すために贈り物を贈ったり、イベントが行われます。
とくに10月20日の「ベトナム女性の日」は、大規模に祝われる重要な日です。
男性から女性に赤いバラの花束やギフトを贈るのが定番。
また、レストランでの食事も人気で、家族や職場で女性をもてなす場面が多く見られます。
会社では、女性社員への感謝の気持ちを表すために、男性社員がケーキや花を準備したり、プレゼントを贈ったりするのが一般的です。
ネパール
ネパールの母の日は、毎年4月下旬から5月上旬の間、ネパールの伝統的な暦であるビクラム歴の最初の月の新月の日に祝われます。
この日はネパール語で「母の顔を見る日」と呼ばれ、母親への感謝と愛を表す大切な時間となっています。
既婚女性たちは、手作りの料理を用意し、故郷の母親に会いに行くのが習慣です。
また、甘いお菓子や卵、果物などの贈り物を持参して、母親に感謝の気持ちを伝えます。
ネパールの母の日は、家族が集まって母親に感謝の気持ちを伝える温かい行事で、素朴で心温まる祝い方が魅力です。
フィンランド
フィンランドの母の日は、5月の第2日曜日です。
プレゼントにはミニバラが人気ですが、子どもたちはヴァルコヴォッコという白い花を摘んで母親に贈ります。
ヴァルコヴォッコはちょうど母の日の時期に咲き誇るため、季節を感じる贈り物として昔から親しまれています。
また、子どもたちが心を込めたメッセージカードを手作りし、母親に贈るのが定番です。
母の日の朝には、夫と子どもが協力して朝食を用意し、ベッドまで運んであげるという微笑ましい習慣もあります。
ルーマニア
ルーマニアでは、2009年に母の日が5月の第1日曜日に定められました。
しかし、長年3月8日の国際女性デーに女性全体を称える習慣が根付いていたため、現在でも3月8日の方がより盛大に祝われているようです。
この日は母親だけでなく、さまざまな年代の女性に花やプレゼントが贈られます。
とくに人気がある贈り物は、春の訪れを感じさせる花で、多くの女性が花を受け取るのが一般的です。
世界の母の日|当店の海外出身スタッフに聞いてみた!
当店の海外出身のスタッフに、故郷の母の日事情について聞いてみました。
当事者が語るリアルな情報をお届けします。
ブラジル
Q.「母の日はいつ?」
Q.「感謝の気持ちを伝える相手は?」
Q.「定番のプレゼントは?」
他には、チョコレートや香水、アクセサリーなど母親が欲しがっているものや、手作りのプレゼントを贈ります。
金銭的に余裕があれば高価なものを贈るし、学生などで余裕がなければ『ありがとう』と気持ちを伝えるだけでもOKです。」
Q.「当日の過ごし方は?」
ブラジルでは、母の日の数日前から母の日の広告やイベントが増えて、国全体が母の日ムードになるそうですよ。
家族が一堂に会してお祝いするのは、本当に素敵なことですね。お母さんの喜びが目に浮かぶようです。
台湾
Q.「母の日はいつ?」
Q.「感謝の気持ちを伝える相手は?」
学生は女性の先生に感謝の気持ちを伝えることも多いです。」
Q.「定番のプレゼントは?」
お金を贈るのも一般的で、母の日向けデザインの赤い封筒に現金を入れて贈ります。
手書きのカードを贈るのは毎年の定番です。サプライズで日本製のバッグをプレゼントしたら、とっても喜んでもらえました!」
Q.「当日の過ごし方は?」
お金を贈るのは日本にはあまり見られない習慣ですね。
おばあちゃんをはじめ、家族みんなでお祝いするのは本当に素敵なことです。
ちなみに、台湾の父の日は「パパ」にちなんで8月8日だそうですよ。
海外のアイデアをプラスして、母の日をもっと素敵な日に
母の日の起源や日本での歴史、そして海外のさまざまな母の日事情をご紹介しました。
日本とは異なるお祝いスタイルに驚いた方も多いのではないでしょうか。
お母さんへの感謝の気持ちを伝える方法に決まりはありません。
今年は、海外のユニークなアイデアを取り入れて、いつもとは少し違う心に残る母の日を演出してみてもいいですね。