クラフトビールにはたくさんの種類があります。いざ購入するとなると、
「いろんな銘柄があって、何を目安に選んだらよいのかわからない……」
と悩んでしまうもの。
そんな人が自信を持ってクラフトビールを選ぶには、まず「ビールの受賞歴」に注目するという手があります。
今回はビール好きなら押さえておきたい、有名なビアコンテストの情報を集めました。
さらに、コンテストで金賞を受賞したクラフトビールや、国内外で受賞歴のある醸造所(ブルワリー)も紹介します。
宅飲み用に美味しいビールを探している方はもちろん、
「プレゼント用に、ハズレのないクラフトビールを選びたい」
というときの参考にもなるので、ぜひチェックしてください。
贈り物に最適! クラフトビールの代表的な賞を紹介
国内外で、さまざまなビールの審査会やグランプリが行われています。評価の基準や審査の内容は機関・団体によって異なります。
世界各国の審査会・グランプリ、それぞれの特徴や、受賞しているクラフトビールの品質を知って、贈り物を選ぶときの参考にしてみてください。
★モンドセレクション
モンドセレクションは1961年にベルギーのブリュッセルに設立された品評機関です。食べ物・飲み物をはじめ、美容製品や健康分野の関連製品などを評価し、優秀品質ラベルを授与しています。
ビール類の品評では、フレーバー技術者・醸造学者・化学技術者といった各分野の国際的スペシャリストが審査員を務めます。
そしてビール製品の見た目・香り・味わい・使用材料などの各評価をもとに、品質を総合的に測定するのです。
- 「最高金賞」……審査員による製品評価の平均得点が90〜100点満点
- 「金賞」……80〜89点
- 「銅賞」……70〜79点
- 「銅賞」……60〜69点
上記の規準で各賞が与えられます。
★ワールド・ビア・アワード(WBA)
「ワールド・ビア・アワード(WBA)」は世界的なビールの審査会。2007年からイギリスのパラグラフ・パブリッシング社が年に1回開催しているものです。
WBAの審査は「Taste」「Design」の2つの分野に分かれます。
「Taste」の審査では、審査員に銘柄を知らせずにテイスティングを行い、3ラウンドを戦います。
1ラウンド通過で「カントリーウィナー」、2ラウンド通過で「ワールドベスト・スタイル」、最終の3ラウンドを通過したビールが「ワールドベスト・ビール」となります。
一方、「Design」の審査では主にデザインを評価し、「ワールドベスト・デザイン」を決めます。
2022年のWBAでは、およそ50か国から、3,000を超える銘柄が出品されました。
その中で日本のビール4銘柄が、Taste審査の2ラウンドを勝ち抜き、「ワールドベスト・スタイル」を獲得しています。
★インターナショナル・ビアカップ(国際ビール大賞)
1996年から日本地ビール協会主催で毎年開催されている「インターナショナル・ビアカップ」。
世界のビール審査会の中でも特に長い歴史を持つ審査会であり、世界五大ビール審査会のひとつです。
日本のビールだけでなく海外のビールも審査しています。
審査方法は、審査員にメーカー名やブランド名を知らせずにテイスティングをした後、ディスカッションを実施するというものです。
その後、基準をクリアしたビールの見た目・味わい・バランスを評価して、100スタイルごとに金賞・銀賞・銅賞を選出します。
★EUROPEAN BEER STAR(ヨーロピアンビアスター)
「EUROPEAN BEER STAR(ヨーロピアンビアスター:EBS)」は、2004年から毎年開催されている、欧州最大のビールコンテストです。
審査対象のビールは、イギリス・ベルギー・ドイツなどの伝統的なヨーロピアンスタイルが中心。
さらに、ニュースタイルIPAやノンアルコール、フリースタイルビール部門も加わり、70以上のカテゴリーで審査が行われます。
コンテストにはおよそ50ヶ国から多種多様なビールが参加し、過去には日本の醸造所が高く評価されたことも。
ビールの審査では、審査員はブラインドテイスティングでビールの味を吟味。そして、高い評価を獲得したビールは、部門ごとに金賞・銀賞・銅賞が授与されます。
▶参考:https://www.european-beer-star.com
★世界に伝えたい日本のビアカルチャー
「世界に伝えたい日本のビアカルチャー」は、日本ビアジャーナリスト協会(JBJA)が主催するイベントです。
第1回の2015年は「世界に伝えたい日本のクラフトビール」との名称でした。
当初は開催場所となった日本外国特派員協会のメンバーと一般のイベント参加者が、選考通過したビールを試飲して投票を行い、日本一のクラフトビールを決めるという形式でした。
第5回の2020年からはビアジャーナリスト約60名が投票を行い、「ビール醸造所部門」「ビールイベント/料飲店部門」などの4部門から優秀賞を決めるようになっています。
さらに、各部門の優秀賞の中で特に票を集めたビールが最優秀賞である「世界に伝えたい日本のビアカルチャー」を授与されます。
▶参考:https://www.fccj.or.jp/index.php
★ジャパン・ビアワングランプリ
「ジャパン・ビアワングランプリ」は、「すみだ Beer Festival 実行委員会(クラフトリカーズ内)」とNPO法人「日本の地ビールを支援する会」が主催する国産クラフトビールの鑑評会です。
2009年から始まったこの鑑評会では、さまざまなクラフトビール専門店のプロがクラフトビールを厳選してノミネートします。
その後、ビール専門家がエントリーされたノミネート・ビールを審査。
さらに参加者が試飲と投票をして「ビアワングランプリ」 を決めるというのがグランプリの流れです。
▶参考:http://beer1grandprix.craftbeersupport.org
★The International Brewing Awards(IBA:別名「ビール界のオスカー」)
世界で最も歴史があり、「ビール界のオスカー」とも称されているのが “The International Brewing Awards” 。
1886年からコンペティションが開催されてきた、由緒ある大会です。
審査かいは2年に一度、イギリス・ロンドンで開催され、審査員全員が現役の醸造家。
世界各国から1000銘柄を超えるビールが集まり、名誉ある賞の獲得を競います。
▶参考:https://www.brewingawards.org
金賞やグランプリ! 受賞歴のある日本のクラフトビールメーカー
審査会で金賞を受賞したものや、コンテストでグランプリを受賞した日本のクラフトビールをピックアップしてみました。
国内外で品質が評価されている製品なので、クラフトビールを購入するならぜひチェックしてみてください。
岩手県「ベアレン醸造所」
「ベアレン醸造所」は、岩手県盛岡市に本社を構えるビール醸造所。
ベアレン醸造所の特徴は、ヨーロッパの伝統的なピルスナースタイルのビールや、レッド麦芽を使用したレッド・ラガーなどのビールを手造りしている点です。
ドイツ南部の街から100年以上前のヴィンテージな設備を買い付けて日本に輸送するなど、徹底したこだわりぶり。
銅製の仕込釜で麦汁を造り、本場ドイツビールのクラシカルな技術と味を受け継いできました。
ベアレン醸造所では以下の経営理念を掲げています。
- うまいビールで、世界中の食卓を幸せにしよう
- 環境に配慮し、永続可能な社会のために貢献しよう。
- 職場の安全を守り、スタッフの夢がかなう会社にしよう。
- すべてに隠し事のない、いつでも胸を張れる仕事をしよう。
定番ビールのひとつである「ベアレン クラシック」は、2015年に「世界に伝えたい日本のクラフトビール」コンテストでグランプリを受賞した銘柄です。
2018年には「世界に伝えたい日本のブルワリー」コンテストで、百年前の味わいを再現したラガービール「百年麦酒」がグランプリを受賞。
ドイツビールの本格的な味わいを求めている人にぜひおすすめしたいクラフトビールです。
岩手県「いわて蔵ビール」
1995年に設立された「いわて蔵ビール」は、岩手県で大正7年に創業した蔵元「世嬉の一(せきのいち)酒造」のビールブランドです。
醸造所が掲げるミッションは、ビールを通して岩手のすばらしさを届けること。
定番ビールのほか、牡蠣の身と殻を使った黒ビールやオーガニックビール(自然発酵)など、ユニークなビールを揃えています。
上品な香りが堪能できる「ヴァイツェン」は、1997年に日本で初めてモンドセレクション金賞を受賞した南ドイツ風のビール。
2014年には、平泉中尊寺の世界文化遺産登録を祝って造られた「金色堂ゴールデンエール」がインターナショナルビアコンペティションで金賞を受賞しました。
そのほかにも、ジャパンビアカップやワールドビアカップなどでの受賞歴もあります。
茨城県「常陸野ネストビール」
「常陸野ネストビール」は、創業1823年(文政6年)の長い歴史を誇る茨城県那珂市の蔵元「木内酒造」が製造するビールブランド。
現在では30か国以上にファンを持つ世界的なブランドに成長しました。
常陸野ネストビールのシリーズは1996年の発売以来、日本のみならず海外でもさまざまなコンテストのグランプリに選ばれています。
2017年には、インターナショナルビアカップのエスプレッソスタウトバレルエディションにて「常陸野ネストラガー」が金賞を受賞しました。
2022年10月の「Asia Beer Championship 2022」では、日本産の柚子を使った「常陸野ネストビール ゆずラガー」がCHAIRMAN’S SELECTIONに選ばれています。
オレンジピールや金子ゴールデン麦芽などを使用した柑橘系のビールを得意とするブルワリーなので、フルーティーな味わいのビールが好きな人にぴったりです。
埼玉県「COEDO」
「COEDO」ブランドの母体は、1970年代から有機農業に取組んできた埼玉県川越市の株式会社・協同商事。
この会社のビール事業部門・コエドブルワリーが造るクラフトビール銘柄です。
COEDOのブランド名は、川越市の別名“小江戸”にちなんで名付けられました。
薩摩芋から造った紅赤色のビールなど、日本・小江戸ならではの風情あるビールを開発しているのが特徴です。
日本的な「繊細な感性」は世界各国でも評価されており、これまで数々の世界的なコンテストで賞を獲得してきた実績を誇ります。
2015年には、ヨーロッパ最大のビールコンテスト「ヨーロピアンビアアスター」(European Beer Star Award)にて、COEDOの「漆黒-Shikkoku-」がジャーマンスタイル・シュヴァルツビール部門の金メダルを獲得。
2017年にはMeininger International Craft Beer Awardで、爽快感あふれる口当たりのピルスナービール「瑠璃」が金賞を受賞しました。
日本情緒あふれる細やかな味わいを堪能できる同ブランドは、ビールが好きな女性へのプレゼントとしてもおすすめです。
長野県「ヤッホーブルーイング」
「ヤッホーブルーイング」は、1997年に星野リゾートの代表・星野佳路氏が創業した長野県軽井沢町のクラフトビールメーカーです。
モルト(麦芽)はイギリスを含むヨーロッパから輸入。
ホップはアメリカ・ドイツ・ニュージーランドなどの国から取り寄せ、こだわりの「エールビール」を造っています。
ビール好きに広く知られている代表的な銘柄が、アメリカンペールエールスタイルの「よなよなエール」。
ベルジャンホワイトスタイルの「水曜日のネコ」も、ヤッホーブルーイングの看板商品として注目されています。
「よなよなエール」は、モンドセレクションにて3年連続で最高金賞を受賞したほか、インターナショナル・ビア・コンペティションで8年連続金賞を受賞するほどの人気ぶり。
とはいえ、プレゼント用に購入するなら「よなよなエール一種類だけだと少し物足りない」と感じる人もいるかもしれません。
そんなときは、複数の銘柄を詰め合わせにしたクラフトビール飲み比べセットがおすすめです。
ギフト専門サイト・GiftA(ギフタ)が取扱うヤッホーブルーイング飲み比べセットは、同ブルワリーの代表的な人気銘柄をカバー。
人気銘柄の「よなよなエール」「水曜日のネコ」をはじめ、苦みとコクが特徴の「インドの青鬼」や、コーヒーを連想させる香りの黒ビール「東京ブラック」などを楽しめます。
遊び心あふれるユニークなパッケージが、ワクワク感を誘ってくれるでしょう。
長野県「OH!LA!HO BEER」
「オラホ=私たち」という方言にちなんで名付けられた「OH!LA!HO BEER」は、1996年に設立された長野県東御市のクラフトビール醸造所。
ユニークなクラフトビールづくりを追求している同社のコンセプトは「グラスの中の幸せ」です。
東御市の気候は、雨が少なく日照時間が長いのが特徴。さらに水はけのよい土壌に恵まれており、ホップ栽培に適した条件が揃っています。
「OH!LA!HO BEER」はその環境を生かし、ホップの自社栽培にも意欲的に取組んできました。
通常の2倍以上のホップを使用した「キャプテンクロウ エクストラペールエール」は、「ワールド・ビア・アワード2017」のBitter 4%–5%部門にて、世界一を受賞した実績があります。
また「ジャパン・グレートビアアワード 2019」のアメリカンスタイルペールエール部門では銀賞を受賞。
そのほか「インターナショナル・ビアカップ2020」で銀賞を獲得した、ロースト麦芽の高級感あふれる風味の「アンバーエール」など、受賞歴のある実力派ビールを展開しています。
ビール好きの人へのプレゼントに受賞歴のあるビールの飲み比べセットを贈れば、銘柄ごとの違いを楽しんでもらえるでしょう。
ペアリングにはローストビーフや生ハム、スペアリブなどの肉料理と合うビールが多いので、お肉とビールでホームパーティをするときの差し入れにもぴったりです。
三重県「伊勢角屋麦酒」
1997年に三重県伊勢市で誕生した「伊勢角屋麦酒」。
1575年創業とされる名物餅の茶店「二軒茶屋餅角屋」をルーツとするクラフトビールメーカーです。
出荷基準として「国際大会で入賞できるレベルであること」を掲げ、世界が認めるビール造りに励んできました。
伊勢角屋麦酒の定番ビール「ペールエール」は、ビール界のオスカーと呼ばれる「The International Brewing Award」にて2017年・2019年と2回の金賞を受賞。
これは国内初の快挙であり、日本のクラフトビール業界に大きな刺激を与えるとともに、世界に「メイドインジャパンのクラフトビール」の存在感を示しました。
三重県の天然酵母から造ったホワイトエール「ヒメホワイト」も、「アジア・ビアカップ 2016」「The International Beer Cup 2020」で金賞を受賞した人気商品です。
同ブルワリーでは、香ばしい黒ビールから柔らかい味わいの白ビールまで、幅広いビールをラインナップしています。
プレゼントしたい方の好みやイメージに合わせてビールを選びやすいでしょう。
金賞を受賞したクラフトビールを贈って喜んでもらおう
日本には、国内外のコンテストで金賞やグランプリを受賞した、高い実力を誇るクラフトビール醸造所がたくさんあります。
醸造所によってビール職人のこだわりや味わいの個性が感じられるのがクラフトビールの大きな魅力。
贈る相手の好みにマッチした「お気に入りの1本」が、きっと見つかるでしょう。
プレゼント用のビールに「自分の地元にある醸造所のクラフトビール」を贈るという手も話題づくりになるのでおすすめ。
本格派ビールが好きな相手に贈るなら「ヨーロピアンスタイルの醸造法で造られたクラフトビール」を選ぶと喜んでもらえそうです。
金賞受賞実績のあるビール銘柄を飲み比べセットにしたギフトなら、普通のビールセットよりもさらに特別感を感じてもらえるはず。
ビールギフトを探している方は、受賞歴のあるブルワリーやビール銘柄をぜひチェックしてみてくださいね。