通夜や葬儀で香典をいただいたら、遺族側から香典返しを贈るのがマナーです。
しかし、参列者の中には「香典返しを辞退したい」と考える人も少なからずいらっしゃいます。
遺族としては、先方から香典返しを辞退されたら、
「品物を何も贈らないのは、やはり非常識ではないか…」
「とはいえ、辞退してくだったお気持ちを無視するのも失礼では?」と迷いますよね。
今回の記事では、香典をくださった参列者や弔問客から「香典返しは不要です」と辞退されたときの対応や、お礼状にふさわしい文例などをご紹介します。
目次
香典返しを辞退される理由
香典返しは、四十九日法要を終えて1か月以内に相手に贈るもの。
香典返しを辞退される方には、どんな理由や事情があるのでしょうか。
香典返し辞退の理由1)「遺族の負担を考慮」
香典返しの一般的な相場は、いただいた香典の半額相当の品をお返しする「半返し」、地域によっては「3分の1返し」がマナーとされます。
そのため香典返しは、手間や労力だけでなく金銭的にも、遺族に相応の負担がかかることが予想されます。
葬儀が終わってからも遺族はさまざまな準備や手続きに追われるので、精神的になかなか余裕が持てないこともあるでしょう。
また、働き盛りの大黒柱が亡くなったり、幼い子どもが残されたりした場合は、家族が経済的に大変な状況になることも考えられます。
さらに、香典返しに相手の好みに合う品を考えて選ぶとなると、時間的にも負担は大きくなるかもしれません。
そこで遺族に負担をかけないよう先方が配慮して、香典返しを辞退される場合があるのです。
香典返し辞退の理由2)「勤務先の規程」
公的機関に勤めている方の中には、仕事の性質上、「品物をもらう」ということ全般に、慎重にならざるを得ない立場の方がいます。
民間企業でも、取引業者・関連企業・法人とのクリーンな関係を社是とする会社は、社員や幹部に「一切の贈答品を受け取ってはいけない」という規則を徹底しているケースがあります。
こういう方々は、立場上、香典返しを辞退します。
香典返し辞退の理由3)「香典が少額のため」
よくあるお返し辞退の理由は、「香典が少額である」ことで、「少額の香典にわざわざお返しのための労を取らせるのは申し訳ない」という配慮です。
この場合、本人から「香典の額があまりにも少額なので」というような言葉を添えて辞退されることが多いようです。
半返しの慣習に従えばお返しは大きい金額にならないとはいえ、「少額の香典に対して香典返しをもらうのは気が引ける」と遠慮する人もいます。
さらに、香典返しの品が後日配送される場合、贈り物の金額よりも配送料のほうが高くなる可能性もあるのでなおさらです。
香典返し辞退の理由4)「連名で贈っているため」
故人の友人・同僚・近隣の知り合いなどが数名でお金を出し合ってまとめ、連名の香典を贈る場合にも、「香典返しは不要」と伝えられることが多いようです。
連名の場合は、個人で香典を贈るよりも一人あたりの金額が少額になるケースがほとんどです。
各自が贈る金額が少額だと、「お返しの負担や手間を遺族にかけるのは申し訳ない」という配慮から、香典返しを辞退することはよくあります。
「少額なら香典返し不要」は大変な間違い
「香典が3000円から5000円程度だと、先方が香典返しを辞退したと解釈してよい」という考えの方もいるようですが、これは誤りです。
「香典をいただいたら、どんなに少額でも香典返しをする」のは弔事マナーの基本。
香典をくださった人から「辞退をする」という明確な意思表示がない限り、喪主側が勝手に判断するのは控えましょう。
明らかな辞退の意思を示されていないのであれば、香典額の1/3~半額の品物を用意してください。
1,000~2,000円の予算であれば「お菓子」「お茶」「コーヒー」が贈れます。
昨今は2,000円台のカタログギフトも販売されています。ネット通販なら、大手メーカーの最新カタログが割引価格で販売されていることもありますので、少額の香典返しに検討してみてはいかがでしょうか。
香典返しを辞退されたらお礼状のみでOK
参列者が香典返しを辞退されるのは遺族への心遣いです。
喪主側はありがたく受け止め、香典返しはしなくても一切問題はありません。
ただし、四十九日の忌明けには必ず挨拶状(お礼状)を送りましょう。
立場上の制約で辞退された方もお礼状のみで問題なし
何らかの立場上の懸念から香典返しを辞退された方には、たとえ少額でも何かを贈ると迷惑がかかってしまうかもしれません。
やはり挨拶状を送って感謝の気持ちを表すのが最善の対応でしょう。
電話で感謝を伝えるのもよいですが、やはり一番丁寧な対応は手紙を書くことです。メールは軽すぎて失礼にあたりますので、出来るだけ避けましょう。
▼会社名義で香典をいただいたら。香典返しの対応についてご紹介しています▼
香典返しを辞退された人へのお礼状はこう書く【文例】
香典返しを辞退された人たちには、忌明けに必ず挨拶状を送るのがマナーです。香典返しとまでは言えない少額の贈り物をする場合も、それに添えて手紙をお届けしましょう。
正式な挨拶状は「奉書紙(ほうしょし)」という上質な和紙に書くのが本来の形式です。しかし、その代用品として白無地の縦書きの便箋に書いても問題はありません。
また、正式な挨拶文には「句読点を付けない」のが伝統的なマナーです。
当然手書きの方が丁寧であることは間違いありません。しかし葬儀の後はなにかと大変な時期なので、挨拶状を書くこと自体が負担になる場合もあります。
その場合は印刷でも決して問題ありません。感謝の気持ちが伝わればよいのです。
辞退された方への挨拶状の書き方
香典返しを辞退された人たちへ必ず出すべき挨拶状について、書き方の参考と気をつけるべきマナーをご紹介しましょう。
「拝啓」とまずしたため、次の行は「先般 故 〇〇儀(故人の名前)」から始めます。それ以下は、お葬式に参列してくださったことや、香典をいただいたことに対する感謝の気持ちを書きます。
次に、四十九日までの法要を滞りなく終えることができた旨を報告します。
そして、直接会って感謝の気持ちを伝えるべきであるところを、略式でお礼状を使ってお知らせすることの非礼をお詫びし、いただいた香典をどう使ったかの報告も書き添えます。
【挨拶状の文例】
先般 故〇〇〇〇儀 葬儀に際しましてご多忙中にもかかわらずご会葬を賜りかつご丁重なるご厚志を賜り誠にありがたく厚くお礼申し上げます
おかげをもちましてこの度四十九日の法要を滞りなく営むことができました
本来であれば拝眉の上お礼申し上げるべきところ 略儀ながら書中をもってお礼のご挨拶とさせていただきます
なお 返礼不要とのお心遣いまことに有難く 心より感謝申し上げます
お言葉に甘え 家族と相談の上 故人の好物であった〇〇を霊前に供えさせていただきましたことをここにご報告申し上げます
〇〇〇〇(喪主の氏名)
お礼状に書く内容のポイント
香典返しを辞退してもらったことへのお礼は必ず書きましょう。
このくだりでは「家族と相談したうえで、〇〇様の温かいお言葉に甘えさせていただくことにしました」などと認めるのが品があってよいでしょう。
締めくくりの部分では、「今後とも変わらぬご支援のほど何卒 宜しくお願い申し上げます」などと認めます。
行を変えて「敬具」とし、その次の行に書いた日付を入れ、さらにその次の行の右側に住所と喪主の名前と「親族一同」を、それぞれ行を変えて認めます。
奉書紙に認めた手紙は奉書封筒に入れ、便箋に認めた手紙は地味な色目の便箋に入れて先方に送ります。
表面の中央に「挨拶状」と墨で認めて、裏側には喪主の住所と名前を認めておきましょう。
挨拶状を贈るタイミング
挨拶状を送るタイミングは、故人の四十九日の法要を過ぎてからです。
それは、もともと香典返しが四十九日の法要を滞りなくて忌明けを迎えたことを先方に報告する意味合いを持つからです。
この四十九日の法要の前後は大抵忙しく、法要を終えてすぐにお礼状を出すのは大変かもしれませんが、遅くとも四十九日を過ぎてから1ヶ月以内には出し終えるのがマナーと心得ましょう。
それ以上遅くなると相手の心象が悪くなったり、ルーズだと思われてしまい、故人の名誉さえも傷つけてしまいかねませんので注意が必要です。
高額の香典には「お歳暮」「お中元」を贈る手もある
親族の中には高額な香典をくださったにも関わらず、香典辞退を申し出る方もいらっしゃいます。
そんなとき「半返しまでいかなくとも、1/3~1/4程度の品をお返したほうがよいのでは?」と迷いますよね。
でもここでお返しを贈ってしまうと、かえって失礼にあたります。
香典辞退は「今後の生活に、少しでも足しにしてもらえれば…」という相手の心遣いからくるもの。
相手の配慮を無下にし、セオリー通りの香典返しを行うのはおすすめできません。
お中元やお歳暮など季節の挨拶にことづけて、お礼の気持ちを込めていることがわかる贈り物をするのもよいでしょう。
その折に簡単なお礼状を添えると自然に感謝の気持ちを伝えられます。
お歳暮・お中元に人気「グルメ系カタログギフト」
もしあなたが
「5~10万以上の香典をくださった相手に、お礼状だけ送るのは気が引ける…」
「どうしてもお返ししたい」
と思ったら、お歳暮やお中元を贈って感謝の気持ちを伝えるのも一つの方法です。
昨今ではお相手に好きなものを選んで頂ける、グルメ系カタログギフトが人気を集めています。
記事最後に人気のおすすめ5選を紹介しています。こちらもご参考ください。
本当に「香典返し辞退」?最終確認も忘れずに
香典を贈る側が「辞退する」という意思をはっきり伝えなければ、遺族側は判断することができません。以下、一般的な伝え方を紹介します。
口頭で伝えられる
一部地域では葬儀当日にその場で香典返しを渡す「即日返し」という慣習があります。昨今では全国的にも広まってきました。
即日返しでは、香典返しを辞退したい参列者は葬儀場の受付で辞退の旨を直接伝えます。
即日返し以外なら、香典返しは通常、四十九日の忌明けが過ぎてから贈ります。
参列者が葬儀当日、口頭で香典返しの辞退を伝えると「受付係が喪主に伝えるのを忘れていた」といったことも起こり得ます。そういったトラブルを防ぐため、基本的に辞退の意思は口頭ではなく、香典袋などに書いてくださるケースがほとんどでしょう。
文章での意思表示
香典をいただいら、香典袋・中袋にも留意し、「香典は不要」の旨が記載されていないか必ず確認しましょう。
【香典袋に書く場合の文例】
香典袋の住所氏名から見て左脇に、簡潔に記入しています。
あらかじめ、住所氏名の記入欄が左脇にある場合は、右脇のケースもあります。
【一筆箋で伝えられる場合】
香典袋に一筆箋が入っています。
【郵送する香典に手紙を添えられている場合】
さまざまな事情で葬儀に参列できず、香典を現金書留で郵送してくださった場合、お悔やみ状(手紙)が同封されていることがほとんどです。
香典辞退なら、そのお悔やみ状に辞退の意思が書き添えられています。
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まとめ
香典返しを辞退される理由や、辞退されたときの対応方法、辞退する側のマナーなどを解説しました。
香典返し不要と伝えられた場合は、必ず挨拶状を送りましょう。挨拶状を送るタイミングは故人の四十九日の法要を終えて「忌明け」を迎えてからです。
また、香典返しとまではいかないちょっとした少額の贈り物で感謝の気持ちを表すという方法もあります。マナーとして覚えておきたいですね。