お葬式には、町内会・自治会など地域のつながりのある方も参列してくださることがあります。
基本的に、香典をいただいた方にはお返しを辞退されない限り香典返しを贈るのがマナーです。
しかし、町内会から香典をいただいたら香典返しは果たして必要なのか、判断に迷うところではないでしょうか。
結論から言えば、町内会からの香典には香典返しが必要ないとされることが多いようです。
ただし、日頃お付き合いがある地域社会ならではの、気を付けるべきポイントもあります。
そこで、町内会への香典返しが必要な場合と必要でない場合を紹介します。
目次
町内会への香典返しは基本的に不要
香典をいただいた方には、香典返しをするのはマナーです。
しかし町内会・自治会からの香典は基本的に不要です。
その理由を説明します。
納めている町内会費・自治会費から香典が出るから
町内会費・自治会費の中には「慶弔金」が含まれています。
町内会からの香典は、自分たちが納めている慶事金から出されているため、お返しは必要ないという考え方が一般的です。
香典返しをするとかえって先方を困らせることになるのでお返しは必要ありません。
町内会の規則でお返し不要と決められていることも
町内会では「香典返しは必要ない」と規則で決められていることもあるようです。
その場合は、ルールに従い香典返しは不要としましょう。
供花・弔電へのお返しも不要です。
そもそも香典は、故人の霊前に供える線香代として、遺族に贈ったことから始まった風習です。
そして香典返しとは、相手に不幸があったときに同じ金額の香典を届けるといった、相互扶助の精神から始まったとされています。
町内会からの香典にお返しは不要という規則は、このような考えからきています。
町内会に香典返しを贈る地域もある
ただし、町内会にはそれぞれルールがあり、香典返しについての取り決めが存在するケースもあります。
地域ならではの、独自の慣習があることが多いでしょう。
「お礼」という形で町内会・自治会に香典返し分を寄付をするところもあります。
香典返しはいただいた香典への感謝の気持ちを表すものですから、規則で定めるような性質のものではありません。
しかし後々のお付き合いも考えると、町内会の慣習を踏まえた対応をするほうが無難です。
事前に町内会の役員などに香典返しについて確認し、周囲の対応にならってお返しをするかどうか決めることをおすすめします。
町内会へお礼を伝えたいときは
町内会・自治会への香典返しは不要、といっても、
- 日頃から町内会の皆さんにお世話になっている
- 一人暮らしになった両親が、今後お世話になる可能性がある
- 葬儀を手伝っていただいた
など事情があれば、やはり香典返しを渡したほうがいいのか気になりますね。
しかし、無理に香典返しを贈ると気遣いを無下にしたことになるため、かえって失礼にあたります。
「あのお宅が香典返しをしたから我が家もしなくては」といった流れができ、悪い慣習をつくりかねません。
感謝を伝えたいときは、皆で分けられるお菓子を「御礼」としてお渡しするとよいでしょう。
集会所があれば、お茶やコーヒーを差し入れするのもおすすめです。
代表者である自治会長の自宅に持参し、礼状を添えると丁寧な印象を与えます。
町内会への香典返し・お礼の品の贈り方マナー
町内会や自治体への香典返しやお礼の品は、手渡しが基本。町内会長・班長の自宅に持参することが多いようです。
香典返しやお礼の品の贈り方について解説します。
香典返しには掛け紙(のし)を付ける
香典返しは正式な贈答品のため、掛け紙(のし)を付けるのがマナーです。
香典返しは弔事ですので、上の写真の通り「黒白結び切り」「黄白結び切り」 の水引を使います。
関西地方では「黄白結び切り」の水引が使われることが多いようです。
のしの表書きは、「志(こころざし)」を使うのが一般的です。西日本では「満中陰志」とする地域も多いようです。
味があるため、「香典を頂いたことに対する感謝の気持ち」ととらえてよいでしょう。
神式あるいはキリスト教においては「偲び草」と書くこともあります。
水引の下段中央にに喪主の苗字、もしくはフルネームを書き入れます。
お礼の品には表書きに「御礼」と書く
香典返しではなくお礼の品として贈るなら、表書きは「御礼」でよいでしょう。
水引下には、遺族の苗字、もしくはフルネームを書き入れます。
▶掛け紙(のし)の選び方・表書きの書き方を詳しく解説【宗派別】
町内会・自治会への礼状の書き方
香典返しを手渡しする際、礼状は不要とされています。
しかし町内会に香典返し贈る際は、一筆箋などに短いお礼の言葉を添えてもよいでしょう。
弔事の礼状は、句読点をつけません。
「句読点で文章を区切ると弔事が滞りなく行われない」との意味合いから縁起が悪いといわれています。
お礼状は「謹啓」で書き出し、「敬白」で締めるのがルールです。
町内会へ香典返しを贈る際の文例
謹啓
先般(続柄)(俗名:〇〇)永眠の際には
ご丁重なご弔詞をいただきかつ又
ご芳志を賜りまして誠に有難く厚く御礼申し上げます
(戒名)
〇回忌の法要を滞りなく相営むことができました
供養のしるしまでに心ばかりの品をお届けいたしますので
お納めくださいますようお願い申し上げます
書面にて失礼ではございますが
まずはお礼かたがたご挨拶申しあげます
謹白
令和〇年〇月〇日
施主〇〇〇〇
【香典返し不要】お礼状のみ贈るときの文例
謹啓
この度(続柄)(俗名:〇〇)永眠の際には
お心のこもったご弔詞並びにご芳志を賜りまして
ありがたく厚く御礼申し上げます
おかげ様で〇月〇日に法要を営むことができました
なお 返礼不要とのお心遣いまことに有難く心より感謝申し上げます
お言葉に甘え 故人の好物であった〇〇を霊前に供えさせていただきました
お目にかかり親しくお礼申し上げるべきところ
書面にて失礼ではございますが
まずはお礼かたがたご挨拶申し上げます
謹白
令和〇年〇月〇日
施主〇〇〇〇
お礼の品を贈るときの礼状 文例
謹啓
この度(続柄)(俗名:〇〇)永眠の際には
お心のこもったご弔詞並びにご芳志を賜りまして
ありがたく厚く御礼申し上げます
つきましては供養のしるしまでに
心ばかりの品をお届けいたしました
どうぞお納めくださいませ
お一人おひとりに親しくお礼申し上げるべきところ
書面にて失礼ではございますが
まずはお礼かたがたご挨拶申し上げます
謹白
令和〇年〇月〇日
施主〇〇〇〇
町内会・自治会への香典返し・お礼におすすめの品
町内会からの香典にに香典返しを贈る際は、失礼のない贈り方や品選びが大切です。
たとえば町内会だと、代表して町内会長が香典返しを受け取ることになるでしょう。
町内会では年齢層の高い方が役員を務めているケースが多いため、マナーに関して厳格な考えを持っていることもあり、香典返しにふさわしくないものを贈ってしまうと「失礼だ」と思われてしまう可能性があります。
一般的に香典返しの品は、消え物が良いとされています。
不祝儀にまつわる贈り物なのでいつまでも手元に残るものは縁起が良くないとされ、食品でも生活用品でも使ってなくなる物が適しています。
皆で分けられるお茶やコーヒーなどの飲み物
町内会の皆さんへの香典返しには、すぐに分けやすいお茶やコーヒーがおすすめです。
お茶やコーヒーは消費期限が長いのでゆっくりと飲めますし、後に残らない消耗品でもあります。
また、お茶と一口に言っても、緑茶・ルイボスティー・紅茶・ハーブティーなど様々な種類があります。
色々な種類のお茶が入ったセットはギフトとしての見栄えもいいので、香典返しにお渡しする品として適しています。
町内会へのお礼・挨拶回りにおすすめの品
町内会にお礼・挨拶回りをする場合は、葬儀終了後、できるだけ早い段階で、喪主がご近所を始め各関係者に挨拶に行くことが望ましいでしょう。
1週間以内を目安に、葬儀でお世話になった町内会役員や近隣住民、お寺、故人の勤務先などを足を運びましょう。
訪問が難しければ電話でお礼を伝えることも可能です。
普段の付き合いが薄いところであっても、葬儀前後で間接的にご迷惑をかけている可能性もあります。可能であればご近所にご挨拶に行くようにしましょう。
中には、このタイミングで香典返しを渡す地域もありますが、香典返しとは別に挨拶回りの品を持参する例も多いようです。
その場合は、お菓子を持参するのが無難です。
近年では家族葬で葬儀を執り行うことも多く、ご近所などへの挨拶回りをしないケースもあります。
以前のように町内会に葬儀を手伝ってもらう機会がなくなったためです。
しかし、今後の良好なご近所付き合いのためにも、町内会で今までどうしていたかなどを確認しながら、挨拶回りの可否を判断するのが良いでしょう。
香典を寄付する選択肢も
町内会への香典返しが不要になるケースとして、「いただいた香典を町内会やその他の福祉団体などへ寄付する」という場合があります。
故人が遺言で寄付を希望した場合はその思いを尊重し、いただいた香典をお世話になったお礼という形で寄付することもあります。
香典を寄付するならお礼状で説明を
町内会からの香典に対して香典返しをせずに、香典を他団体への寄付に回す場合、お返しの品の代わりに町内会の代表者にあてて礼状を贈るのがマナーです。
いただいた香典への感謝の気持ちをお礼状で伝えるとともに、本来なら贈るべき香典返しをせずに寄付に回したことを説明するのは、これからもよい関係を保つ上で大切なことです。
お礼状の内容は、まず香典をいただいたことや葬儀に参列していただいたことへの感謝を述べ、寄付先の団体の概要と、団体と故人との関わりについて説明すると良いでしょう。
お礼の手紙は町内会の代表者に直接お渡しすると、より丁寧な印象になるのでおすすめです。
まとめ
町内会は、回覧板での連絡はもちろん、ごみの収集、防犯・防災などの面で、何かとお付き合いがあるものです。
これからのことも考えて失礼のない対応を心がけましょう。
町内会への香典返しは、町内会ごとのルールによって違います。「香典返しをしない」と定められているケースもあるので、町内会のルールが分からない場合は町内会長などに確認しましょう。
お返しが必要な場合は失礼のない物を贈り、お返しが必要ない場合もそのままにせず、お礼の手紙を贈るようにしましょう。