昨今は葬儀のあり方が多様化し、「訃報を受けたけれども香典(金銭)を贈れない」というケースが増えています。
訃報は突然で状況もさまざまのため、葬儀の後日に
「香典の代わりに別のものを贈ってもよいのかな?」
「どんなものを贈ればよいかわからない…」
と悩んでしまう方も多いでしょう。
結論からいえば、香典に代えて別のものを贈ることはしばしばあります。
ただし、遺族の負担にならないよう、ケースごとの対処法を押さえることが大切です。
この記事では、香典の代わりに贈るものについてお悩みの方へ、
- 香典を贈れない場合の対処法
- 香典の代わりに適した品物
- 失礼のない贈り方とマナー
を解説します。
目次
香典の代わりに別のものを贈るなら。3つのケースの対処法
訃報を受けて故人に弔意を表す場合、葬儀の後日でも香典(金銭)を包むのが基本です。
しかし、さまざまな理由から香典に代えて「供花(お供え用の花)」や「供物(お供え用の品物)」を贈ることがあります。
香典に代わるものを贈りたい場合、最も大切なのは「遺族の意向」です。
大切な人をなくしたばかりの遺族に負担をかけてしまわないよう、ケースごとの対処法を解説します。
ケース1.家族葬のため香典を辞退された
身近な人々のみで葬儀を行う「家族葬」は年々増加しています。
家族葬で香典を辞退された場合、遺族の気持ちを尊重し、香典は贈らないのがマナーです。
香典辞退の葬儀でも、香典以外の「供花」「供物」は贈ってもよいことがあります。
供花や供物を辞退していることもあるため、以下の方法で必ず遺族の意向を確認しましょう。
【遺族の意向】は訃報の内容を確認
家族葬の場合、訃報のお知らせには香典・供物などの辞退について明記されていることが多いです。
パターンがあるため、内容をよく確認し、正しく理解したうえで弔意の示し方を考えましょう。
<辞退の内容と対処法>
- 「香典を辞退」→供花・供物は贈ってもよい
- 「供花・供物を辞退」→香典は贈ってもよい
- 「ご厚誼(厚志)を辞退」→香典・供花・供物すべて辞退という意味のため注意
とくに明記されていない場合は香典を辞退していないため、後日贈るなら香典がよいでしょう。
贈るタイミングにも配慮を
家族葬を執り行った方に供花や供物を贈る場合には、タイミングにも注意が必要です。
葬儀の後に訃報を受けた場合、すぐに供物や供花を贈ると、遺族はせわしなく感じてしまうかもしれません。
- 葬儀を終えたばかり→初七日を終えたころ(葬儀の約1週間後)に贈る
- 葬儀を終えて1週間以上経ってから知ったら→四十九日の法要に合わせて贈る
など、遺族が心理的にも落ち着いてきて、供物や供花をお供えしやすい法事の時期に贈ると安心です。
ケース2.亡くなって半年以上時間が経ってから知った
喪中はがきや人づてで訃報を知ったケースでは、亡くなってから半年以上経過していることも珍しくありません。
このような時期に香典を贈っては、遺族は半年以上も経ってから香典返しに気をつかうことになります。
お返しのいらない「供花」や「供物」のほうが、遺族の負担になりにくいでしょう。
【遺族の意向】は電話やメールで確認
亡くなってから時間が経っているケースでは、香典に代わるものを贈る前に、必ず遺族へご連絡します。
電話やメールなどで、「弔問のお願い」をするか「〇〇を郵送するので仏壇に供えてほしい」と打診してみましょう。
遺族が受け入れてくれる場合には、弔問するか、供物や供花を郵送します。
辞退すると伝えられた場合には、無理に贈ろうとせず遺族の意向を尊重するのが鉄則です。
▶時期によっては香典を贈るケースも。時間が経ってからのお悔やみについてはこちら。
ケース3.関係性によって供花や供物のほうが望ましいケース
喪中はがきや人づてで訃報を知った場合、香典を贈ることがためらわれるケースもあります。
以下のような関係性の場合、香典を贈るとかえって遺族に手間や心労をかけてしまうことが考えられるでしょう。
- 遺族と面識がない
- 故人と面識がない(友達の親や配偶者が亡くなったときなど)
遺族に気を使わせてしまう間柄なら、お返しのいらない「供花」や「供物」を贈るのが無難です。
【遺族の意向】は電話やメールで確認
半年以上経ってしまったケースと同じく、電話やメールで遺族の意向を確認しましょう。
「弔問」または「供物の郵送」について打診し、もしも辞退された場合は無理に贈ってはいけません。
電話口などで丁寧に弔意を示すにとどめましょう。
【相場】香典に代わる品は遺族に気をつかわせない金額で
香典に代わるものを後日贈る場合の予算は、一般的な香典とは異なります。
香典(金銭)の相場は、友人や同僚で5,000円〜1万円程度。
後日弔問・郵送する際の供物は、「3,000円〜5,000円」程度と、香典の相場よりやや予算を押さえるとよいでしょう。
香典の相場と同等の供花や供物を贈ると、遺族にお返しの気をつかわせるかもしれません。
遺族に心労をかけないよう配慮することが何よりも大切です。
【仏式】香典の代わりにふさわしい品物と注意点
香典に代えて贈るものは、仏壇などへのお供えに適したものがよいとされています。
故人に供えるものは宗教によって大きな違いがあるもの。
まずは日本で広く広まっている仏式のお供えにふさわしいものを解説します。
仏教式のお供えは五供(ごく)が基本
仏式のお供えは「五供(ごく)」が基本といわれます。
五供とは以下の5つのことで、仏壇へのお供えに欠かせないものです。
<五供とその意味>
- 香(線香)…仏さまは香りをいただくといわれ、仏前に供えることが供養とされる
- 花(供花)…花や香りを仏さまに楽しんでいただく
- 灯燭(とうしょく/ローソク)…仏さまの心を照らし、手を合わせるひとの迷いをなくす
- 水(飲み物)…仏さまののどをうるおす
- 飲食(おんじき/食べもの)…家族が同じものを食べることで、仏さまとつながる
タブーは四つ足生臭もの・おめでたいもの
弔事の供物には、タブーの品もあります。
以下の品を誤って贈ってしまわないよう、よく注意しましょう。
<香典の代わりにタブーの品>
- 四つ足生臭もの…肉や魚などの生もの
- 五辛…「にんにく・ねぎ・にら・あさつき・らっきょう」においと辛みが強いもの
- 慶事を連想させるもの…お酒、かつお節、昆布など、慶事に贈られるもの
- おめでたいモチーフ…紅白・鶴亀・松竹梅・うさぎ・ふくろう・おしどり など
※宗派ごとにも違いがあるため、神式・キリスト教式はこちらも参考にしてください。
香典の代わりにふさわしい品物5選
五供を基準に、香典の代わりにふさわしい品物をご紹介します。
選び方や注意点も解説しますので、ぜひ参考にしてください。
線香・ローソク
線香とローソクは、どちらも仏式のお供えには欠かせないものです。
日常的に消費するため、使っていただきやすい品物といえるでしょう。
日々使うものですが、香典の代わりに贈るなら「贈答用」の高級品を選びます。
伽羅(きゃら)や白檀(びゃくだん)が香る品や木箱入りの品など、格調高いものがふさわしいでしょう。
線香やローソクの煙には、体調面や安全面で気をつかう家庭も多いため、煙にも配慮した品を贈るとより安心です。
供花
葬儀の後日に贈られる供花は「後飾り」と呼ばれ、仏式では四十九日まで飾ります。
自宅に贈るため、場所をとらず飾りやすいコンパクトなアレンジメントを選びましょう。
花の種類は菊などの和花に限らず、洋蘭やカーネーションなどの洋花を選んでもかまいません。
ただし仏教では、とげや毒のある花、香りの強すぎる花はよくないとされるため避けましょう。
花粉が落ちやすい百合のような花も控えたほうが無難です。
色については、厳密なマナーはないものの、四十九日までは落ち着いた白系でまとめるとよいでしょう。
飲み物
お茶やコーヒーなど、飲み物を供物として贈るのもよい選択です。
故人の好きだったメーカーの品を贈ればよりありし日の姿が偲ばれるでしょう。
供物には、大きなボトル入りより、お供えしやすく、おさがりで分けやすい小分けの品物が適しています。
など、仏壇に供えやすい品を選びましょう。
【注意!浄土真宗では「水」を供えない】
浄土真宗には「往生即成仏」の思想があり、亡くなった方はすぐに極楽浄土に行くと考えられています。
極楽浄土には八功徳水(はっくどくすい)という清らかな水が流れていて、水に困ることはありません。
そのため「水」や「お茶」を供えないのが、浄土真宗の考えです。
浄土真宗の方には飲み物以外を贈ったほうが無難でしょう。
果物
季節感があり、そのまま仏前に供えやすい果物は、供物の定番といえるでしょう。
果物を贈る際は、常温で日持ちし、傷みにくい種類を選ぶのが鉄則です。
しばらくお供えするため、完熟したものより、未熟で長くお供えできるものを選びましょう。
仏教では「丸型」は縁起がよいとされるため、りんごや梨、メロン、オレンジなど丸くて日持ちのする果物が人気です。
迷う場合は百貨店や大型スーパーで予算を伝え、「お供え用フルーツの盛り合わせ」を注文してもよいでしょう。
お菓子
好き嫌いの分かれにくいお菓子は、供物として定番中の定番です。
場所をとらないため、四十九日を終えてお供えのスペースを確保していないご家庭にも、安心して贈れます。
供物のお菓子を選ぶ際のポイントは以下の通りです。
- 日持ちする
- 個包装で切り分ける必要がない
- パッケージが華やかすぎない
- 仏壇に供えやすいサイズ感
弔事には和菓子のイメージがありますが、昨今は洋菓子も人気です。
1か月以上日持ちする、個包装のお菓子を選びましょう。
などが最適です。
【神道・キリスト教式】香典の代わりに適した品物と注意点
日本では広く仏教式の葬儀が行われますが、神式、キリスト教式の葬儀を行う家庭も数多くあります。
神式やキリスト教式では、「お供えもの」への考えが仏式とは異なるため注意が必要です。
仏式の供物には適していても、神式・キリスト教式ではふさわしくない品物もあります。
詳しく解説しますので参考にしてください。
神式は「線香」ではなく「お菓子・果物」を
仏式の葬儀や法要に欠かせない「線香」ですが、神式の行事では使われません。
神道のご家庭に線香を贈ると、使い道がなく持て余してしまうでしょう。
また「花」は、受け取っていただけるケースが多いですが、厳密には神式では用いません。
神式でのお供えは神饌(しんせん)と呼ばれ「酒・米・野菜・果物・魚」などの品を供えます。
仏教ではタブーの「お酒」や「魚介類」なども、神饌としては一般的です。
ただしお酒や生ものは、遺族が苦手だったり、日持ちしなかったりするため、簡単には贈りにくい品物です。
香典に代えるものは「お菓子」や「果物」が安心でしょう。
キリスト教式では主に「花」を贈る
キリスト教の葬儀には「お供えもの」という概念がありません。
葬儀などでは、列席者から主に生花が贈られます。
香典に変えて花を贈るのなら、白基調の「バスケットフラワー(花籠)」がよいでしょう。
大ぶりな和菊などは避け、洋花を選びます。
仏式の供花に添える「名札」は使わないため注意してください。
仏式の「四十九日」に相当する追悼ミサ以降に贈るなら、スペースをとらないお菓子などにしてもよいでしょう。
【画像で解説】掛け紙(通称のし紙)・挨拶状マナー
供物を贈る場合には「掛け紙(通称のし紙)」を掛けるのが基本です。
自宅に直接郵送する場合には、丁寧な「挨拶状」を添えましょう。
掛け紙と挨拶状には、どちらも宗教ごとの違いがあるため、きちんと押さえる必要があります。
画像付きで解説しますので、参考にしてください。
掛け紙の選び方・書き方
掛け紙(通称のし紙)の選び方や表書きの書き方は、宗教ごとに異なります。
表書きは、宗教だけでなく時期によっても変わるため注意が必要です。
仏式
仏式の掛け紙の基本は以下の通りです。
- 水引:関東では黒白、関西などでは黄白の結び切り
- 表書き:四十九日前は「御霊前」、四十九日後は「御仏前」が基本。
- 水引の下に贈り主の名前を書く
時期を問わない表書きとしては「御供」もあります。
迷う場合には「御供」としましょう。
また、白地に「蓮の花」が書かれた掛け紙を用いても問題ありません。
神式
神式の掛け紙は、以下の体裁が基本です。
- 水引は黒白または黄白の結び切り
- 表書きは 「御供(おそなえ)」「奉献」「奉納」 など
なお、白地に「蓮の花」が描かれた掛け紙は仏式用です。
神式では選ばないよう注意してください。
キリスト教式
基本的には花を贈りますが、追悼ミサに持参するなど品物を贈りたい場合は、無地の短冊に以下の表書きをします。
- カトリック…「御弥撒(おんみさ)」
- プロテスタント…「御忌慰(おんきい)」
宗派によって異なるため注意しましょう。
挨拶状の書き方
供物や供花を郵送する場合は、必ず挨拶状をつけましょう。
弔事の挨拶状の書き方は宗教・宗派によって異なりますが、すべての宗教に共通して以下のマナーがあります。
- 時候の挨拶は不要
- 「死」「苦」などの忌み言葉は使わない
- 「再度」「重ね重ね」「ますます」といった重ね言葉は使わない
- 句読点を使用しない
- 追伸を使わない
また神式・キリスト教式では「往生」「供養」といった仏教特有の言葉を使わないよう注意しましょう。
書き方や文例については、こちらの記事(仏式)で詳しく説明していますので参考にしてください。
お返しの辞退を明記してもOK
基本的に供花・供物にお返しは不要ですが、明確に辞退の意思を伝えたいときは、その旨を記してもかまいません。
挨拶状の文末に以下のように書きましょう。
- 「お返しのお心遣いは遠慮いたします」
- 「誠に勝手ながら、お返しの儀はご辞退申し上げます」
予算を多少上回る品を贈りたい、といった場合にも活用してください。
香典に代わる品は選び方やマナーが大切。ギフト専門店なら安心
家族葬で香典を辞退されたり、訃報を受けるのが遅くなったりした場合には、香典の代わりに供花や供物を贈ることがあります。
香典に代わるものを贈る際は、遺族の意向を確認するのが何よりも大切です。
そのうえで、宗教に合ったふさわしい品物を選び、マナーを守って贈りましょう。
供花や供物を郵送するなら、弔事の贈りものの扱いに長けたフラワーショップや、ギフト専門店に依頼をするのが安心です。
ギフト専門店GiftA(ギフタ)では、供物に適した品物を多数ご用意しています。
適切な掛け紙、挨拶状を選べるため、遺族に失礼なく故人への弔意を示せるでしょう。
掛け紙・挨拶状は無料、送料無料の品物も多数ご用意しています。
マナーや品物についてわからないことがあれば、メールにてお気軽にお問合せください。
ギフト専任の担当者が、丁寧に対応いたします。