ここ数年の間に、おいしいブランド肉をお取り寄せして自宅で楽しむようになった人が多いようです。
肉の中でも特に牛肉は部位によって柔らかさや味わいが大きく異なります。
牛肉の柔らかい部位を知って、ワンランク上のおうちディナーを楽しみましょう!
牛肉の柔らかい部位ランキング
基本的に、柔らかい部位とは「運動量が少なく、脂肪の多い部分の筋肉」と考えるといいでしょう。
また、体の中心部に位置する部位ほど柔らかく、体の外側に近づくにつれて硬くなる傾向にあります(ただし、個体ごとの運動量の差で筋肉の硬さは変わるため、あくまでも目安です)。
肉の柔らかさは、そのまま高級肉としての位置づけにもつながります。
部位ごとの特徴がわかれば、自分好みの肉を見つけやすくなりますよ。
【1位】最も柔らかいとされる「ヒレ」
希少で高級な部位として有名な「ヒレ」は、牛肉の中で最も柔らかいといわれています。
牛の腰部分の内側、内臓のすぐ上に位置する部位です。
脂肪の少ない赤身肉にもかかわらず非常に柔らかな肉質である理由は、ほとんど動かさない筋肉だから。
ステーキはもちろん、ローストビーフや牛ヒレカツにもよく使われる部位で、なめらかな舌触りと、癖のないさっぱりした味わいが楽しめます。
【2位】最高級部位「サーロイン」
高級ステーキの代名詞にもなっている「サーロイン」も、柔らかい部位です。
ヒレと同じく、牛の背中から腰の間の部位(ロイン)の一部で、美しい霜降りが見られるのが特徴。
サシ(脂)には甘みがあり、とろけるようなジューシーな味わいを感じられます。ステーキはもちろん、すき焼きやしゃぶしゃぶにするのもおすすめです。
【3位】高級部位「カイノミ」
牛肉の希少部位の一つ「カイノミ」も柔らかいことで知られています。
あばら骨周辺の部位(中バラ)の一部で、後脚寄りに位置し、ヒレと隣接しています。
珍しい名前の由来は、切り出した肉が貝の身のような形状をしているためです。
カイノミは、赤身と脂身のバランスがよく、バラ肉とヒレ肉それぞれの特徴をあわせ持ったような部位。
脂の甘みを感じられつつも、くどくない上品な味わいを楽しめるでしょう。
カイノミは焼肉用として提供されることの多い希少部位ですが、サイコロステーキにしてもおいしく食べられますよ。
【4位】高級部位「リブロース」
「リブロース」も、ヒレやサーロインと同じ、牛の背中から腰の間の部位(ロイン)からとれます。「リブ」は「あばら」を意味する言葉で、牛の背中側のあばら部の肉です。
肉質はきめ細かく、サシが入りやすい特徴があります。だからこそ、舌触りはとろけるように柔らかいのです。
ステーキ肉として人気ですが、すき焼きやしゃぶしゃぶ、ローストビーフにもよく使われています。
上品でありながらも濃厚なお肉の味わいを存分に楽しみたいときにおすすめです。
【5位】 肩ロース
「肩ロース」は、やや筋があるものの、きめが細かく比較的柔らかい部位です。
肩から背中にかけての大部分を占め、赤身と脂身のバランスがよいのが特徴。
「赤身だけでは物足りない」と感じる人も満足できるでしょう。
サーロインやリブロースよりも安価で購入できる点でも人気があります。
肉を大きく切り出せるため、すき焼きやしゃぶしゃぶにもよく使われます。
肩ロースから切り出せる部位の「ザブトン」は、焼肉用として人気です。「肩ロース芯」はステーキによく使われています。
【6位】ランプ
「ランプ」は、腰からお尻にかけてのモモ肉の一部です。脂は控えめで、柔らかい赤身が特徴です。
かつては煮込み料理用として使われることが多かった部位ですが、近年はヘルシー志向の人を中心に赤身肉が人気を集めている影響で、焼肉としても食べられるようになっています。
肉には適度にサシが入っているため、あっさりとした脂と濃厚な赤身の味の融合が楽しめます。
焼肉だけでなくステーキにするのもおすすめです。
【7位】モモ(ウチモモ)
「モモ」は、後ろ足の付け根あたりの部位です。より体の内側に近い部分が「ウチモモ」、側面にあたる方は「ソトモモ」と分けられています。
ウチモモは、肉質のきめはやや粗いものの、ソトモモよりは柔らかいという特徴があります。
脂肪分が少なく、赤身肉ならではの歯ごたえとあっさりした味わいを楽しめる部位です。
ステーキやすき焼き、しゃぶしゃぶといった定番の肉料理はもちろん、ローストビーフや赤ワイン煮込みなどでもおいしく食べられます。
柔らかい牛肉を選ぶポイント・硬くしないための方法はある?
お肉屋さんやスーパーで牛肉を買うなら、できるだけ柔らかい肉を選びたいですよね。
また、どんなに柔らかい部位を手に入れても、調理のコツを知らないとせっかくのお肉が硬くなってしまうことも……。
おうちで牛肉の柔らかさを存分に楽しむために、選び方と料理のポイントを知っておきましょう。
選ぶときは「繊維の幅」に注目しよう
柔らかい牛肉を選びたいなら、まず目を付けるべきなのが肉の繊維幅です。できるだけ幅が狭いものをチェックしてから購入することをおすすめします。
繊維の幅は、広くなればなるほど肉質が硬くなる傾向にあります。反対に、繊維の幅がきめ細かいもの・霜降りが美しい牛肉ほど、柔らかくなります。
もし、繊維の詰まった肉を購入してしまった場合は、繊維をあらかじめ包丁で断ち切っておくと、焼いたときに硬くなりにくいでしょう。
調理する前に常温に戻しておく
牛肉を柔らかく調理したいときは、お肉を先に常温に戻しておくことも忘れないようにしましょう。
冷蔵庫から出したばかりの冷たいお肉は、すぐに調理するには向いていません。その理由は加熱に時間がかかるからです。
お肉を冷たいまま焼くと、表面は焼けていても中が冷たい「生焼け」状態が起きてしまいます。
中まで火を通そうと長時間加熱すると、肉汁が流失してパサパサの食感になってしまうのです。
そのため、お肉を調理する30分〜1時間前には冷蔵庫から取り出して、常温に戻しておくことが大切です。
部位によって違う、牛肉の柔らかさを保つ焼き方
柔らかい牛肉ならどんな焼き方をしても大丈夫というわけではありません。
「赤身」と「脂身」でそれぞれ焼き方を変えるのが、肉の柔らかさをそのまま楽しむポイントです。
赤身の多い部位
ヒレ・カイノミ・ランプ・モモなど「赤身が多い部位」は、あまり時間をかけずに焼くのがおすすめです。
赤身肉の主成分であるタンパク質は、65℃を超えると急激に縮んで硬くなってしまう性質があります。
そのため、軽く火を通す感覚でサッと焼くのが鉄則。
ステーキや焼肉の場合はレアもしくはミディアムレア程度の焼き具合にすると、柔らかさが失われません。
中まで火を通したい場合は、一度フライパンから下ろし、アルミホイルに包んで余熱で加熱するようにしましょう。
脂肪が多い部位
サーロイン・リブロース・肩ロースなどの「脂身が多い部位」はじっくりと焼いていきます。
赤身よりも脂身の方が火の通りが遅いため、やや時間をかけて焼いても硬くなりにくいのです。
余分な脂を落とすように焼くことで、脂身のおいしさをさらに引き出すことにもつながります。
柔らかい牛肉の部位を知っておいしく食べよう
牛肉の部位は、あまり運動せず、体の中心に近いところに位置するものほど柔らかい傾向にあります。
最も柔らかい牛肉の部位は、赤身メインの「ヒレ」です。次に柔らかい「サーロイン」は、ジューシーな脂の旨味を堪能したいときにぴったり。
デパートのほか、産直お取り寄せなど、牛肉の高級で柔らかい部位はたくさん流通しています。
その中でも特に専門店のプロが目利きしたお肉なら、品質が高くギフト用に贈っても喜ばれるでしょう。
柔らかい牛肉の部位をじっくり楽しむために、今回お伝えした情報をぜひ役立ててくださいね。