葬儀でいただいた香典に対し、感謝の気持ちを込めて贈る香典返し。
香典返しの金額相場は「いただいた香典の半額」もしくは「3分の1」にするのが一般的なマナーです。
「半返し」という言葉を聞いたことがある人も多いでしょう。
しかし、場合によっては「全返し」として、いただいた香典金額と同等のお返しをする場合もあります。
今回の記事ではどんなときに香典の全返しをするのか解説しますので、ぜひ参考にしてください。
香典の全返しをするのはどんなとき?
香典の全返しを行うとすれば、以下のケースが考えられます。
以下に当てはまらない場合、全返しをすると先方に違和感を与える可能性があるのでやめておいたほうが無難です。
やむを得ず香典をいただいた場合
香典を受け付けていない、辞退したにもかかわらずいただいてしまった場合は、全返ししてもかまいません。
全返しすることで、気遣いの必要がないという意思を伝えられるからです。
関係によって全返しが良い場合
あまり深い付き合いをしたくない方から香典をいただいて対応に困る場合、全返しにするのがよいでしょう。
全返しをすることで「気遣いはいらない」という意思表示になります。
反対に、これからも仲良くしたい人に間違って全返しすると、「縁を切りたいのではないか」と思われるので注意してください。
全返しを行う習わしのある地域
地域によっては香典を全返しする風習のところもあります。
この場合は、全返ししないと逆に良くない印象を与えるので、事前にその地域の慣習を調べて、必ず全返しにしましょう。
また、香典をいただいた相手の地域に全返しする習慣があると分かっている場合は全返しにしておいたほうが無難です。
香典返しの一般的な渡し方
参考までに、香典返しの一般的な贈り方をご紹介します。
間違った贈り方をすると相手に失礼にあたることがあるので気をつけましょう。
香典返しを渡すタイミング
香典返しは、四十九日法要が終わってすぐ、忌明けの報告を兼ねて贈るのが一般的です。
先方が近所の方なら遺族が香典返しの品を直接持参し、先方からの心遣いへの感謝と忌明けの報告を述べるのが丁寧なやり方です。
相手が遠方に住んでいる場合は郵送でもかまいません。郵送の場合、できれば相手が受け取りやすい到着日時を指定したほうが親切です。
到着日時を指定するために相手の都合を先に聞くのは失礼にはなりません。
後日贈るなら挨拶状を添える
香典返しを郵送や宅配便などで贈るときには感謝の言葉をしたためた挨拶状を必ず添えるのがマナーです。
品物だけを送り付けるのは失礼に当たります。
挨拶状の内容として、故人が直接お世話になった方に感謝を述べるのはもちろんですが、遺族が葬儀で仕事を欠勤してご迷惑をかけた場合は職場の方々にもお詫びと感謝の言葉を忘れず伝えましょう。
配送時の注意
香典返しを郵送・宅配で贈る際には挨拶状だけでなく、品物に付けるのし紙(掛け紙)にも気をつける必要があります。
のし紙は「内掛け(内のし)」にします。
内掛けとは品物が入った箱にのし紙を掛けてから包装紙で包むことをいい、配送中にのし紙が破れてしまうのを防ぐためです。
近年広まっている即日返し
最近では葬儀の当日に香典返しの品を渡す「即日返し」の方法も広まってきています。
香典返しを当日渡す場合は、受付で香典をいただいたらすぐその場で香典返しをお渡しするか、もしくは参列者の帰り際のタイミングで渡すのがよいでしょう。
葬儀当日に香典返しをすれば送料が不要になるため、遺族側にとっても都合が良く、時代の流れに合った合理的な方法といえるでしょう。
香典返しにふさわしい品物
香典返しで贈る品物は、「消えもの」と呼ばれる消耗品が良いとされています。
香典返しの品は「不幸が後に残らないように」という願いを込め、食べてなくなる物や日常生活で使ってなくなるものを贈るのが一般的です。
反対に、いつまでも手元に残るものを贈るのは良くないとされています。
食品の中では、例えば夏場ならゼリーやそうめんなど、季節に合った食べやすいものがおすすめです。
ゼリーやそうめんは年齢を問わず多くの人に好まれる傾向にあります。
その他、日本茶も香典返しの定番の品です。
お茶は賞味期限が長いのでゆっくりと飲むことができ、もらった人が自分のペースで消費できるところも好まれる理由のひとつです。
その他、日用品なら、「悲しみを洗い流す」と言われる洗剤や石鹸なども香典返しにふさわしい品です。
香典返し用カタログギフトが一般的に
香典返しの定番がありきたりに感じられる場合は、香典返し用のカタログギフトを贈るのがおすすめです。
先方がカタログから好きな品を選んで受け取るのが大きなメリットです。
カタログギフトは金額コースが細かく分かれているため、いただいた香典と釣り合うお返しがすぐに選べます。
香典返しの品選びには時間も手間もかかるため、ネット通販のカタログギフトに挨拶状を添えて直送すれば、遺族の労力を大幅に軽減してくれるでしょう。
「どんな品物が掲載されているか確認してから贈りたい」という場合は、まず無料サンプルを請求してみることをおすすめします。
まとめ
香典の全返しは、相手との関係性において可能な場合があること、また地域によって全返しの風習があることをご紹介しました。
一般的なマナーとしては、いただいた香典の半返しから3分の1が相場とされているので、ご自分の状況や地域の慣習に合わせて贈ることをおすすめします。