通夜や葬儀では、参列くださった方から香典を頂戴します。
香典返しとは四十九日法要に、遺族が贈り主に品物を贈る風習のことをいいます。
しかし、近年では人々の冠婚葬祭への意識や考え方も変わりつつあり、香典返しを行わない場合もあります。
香典返しを行う、行わないは、
・香典をくださった方の「遺族への配慮」
・故人の意向
・地域の風習
などが考えられます。
「香典返し贈るべきか迷っている…」とお悩みの方へ、香典返しが不要なケースと理由を解説します。
香典返しが不要なケースとは
香典をくださった方には、四十九日法要が無事に済んだことへの報告を兼ねて、香典返しを贈るのが礼儀です。
礼儀を欠く人と思われないためにも、原則香典返しはするものと理解しておきましょう。
しかし、以下のように相手側の都合で、香典返しをするのが適切ではない場合もあります。
①香典返しを辞退された場合
相手側から香典返し辞退の申し出があるケースです。
- 先方から香典袋に辞退の旨が記載されていた
- 手紙が同封されていた
といった方法で、香典返し辞退を申し出ることが多いようです。
香典返しは配送や品選びなど、時間と労力のかかる作業です。
「遺族の負担を減らしたい」との気遣いから、このような申し出をすることがあります。
②香典が少額だった場合
香典の金額が3,000円程度と少額だった場合は、先方に「香典返し不要」という意図があると考えられます。
しかし、金額がいくらならば「少額」になるのか、その基準はあいまいです。
辞退の意思が、はっきりしない限りは香典返しを検討するのが無難。周りの年長者や詳しい方に、地域の風習をさりげなく聞いた上で対応することをおすすめします。
③香典を施設に寄付
遺言などの形式で、故人が香典を施設に寄付することを希望している場合があります。
その場合、香典を葬儀費用ではなく施設や団体への寄付に充てることになりますので、香典返しは不要です。
香典返しを行わない地域もある
北日本を中心に、香典返しの仕組みがない地域もあります。
その地に引っ越した際に、文化のギャップに驚くこともあるかもしれませんが、礼儀を欠く人との印象を与えないよう地域毎の特性を理解しておきましょう。
北海道や東北
北海道や東北では、「即日返し」という慣習があります。
これは、葬儀当日にお礼の品として参列者全員に品物を渡す方法で、いただいた香典の金額によらず、一律で同じものが配られます。
これが香典返しにあたるので、忌明けに品物を贈る必要はありません。
ただし、葬儀後に香典をいただいた場合など、葬儀当日に品物を渡せなかった方に対しては、四十九日後に香典返しを贈ります。
近年簡素化の傾向も
北日本中心に浸透している即日返しですが、最近では遺族の負担を考慮し、他の地域でも導入され始めています。
そのほかにも、香典返しそのものを受け取らないというケースも増えています。
香典返しを行わないときのマナー
ここまで、香典返しを贈らないケースもあることを紹介しました。しかし、香典返しを贈らないからといって何もしなくて良いわけではありません。
通常のお礼ができないからこそ、守らなくてはいけないマナーがあります。
お礼の気持ちとして挨拶状を送る
香典返しを贈る際には、挨拶状を添えるのが一般的です。
法要が無事済んだことや弔意に対するお礼として行うものですので、香典返しを贈らない場合であっても、挨拶状を送るのがマナーです。
その際、文章には句読点を使用しないのが一般的です。
具体的な内容は香典返しに添えるときと同様で、忌明けの報告や略儀の詫び、お礼の気持ちなどを中心に述べるのが良いでしょう。
また、相手によっては香典返しがないことに対して疑問に感じられることもあるかもしれません。
説明がないことで礼儀に欠ける人物と思われてしまわないためにも、故人の意思に基づき、施設に寄付する旨など、香典返しをしない意向を相手にしっかりと説明し、納得してもらうようにしましょう。
香典返しは基本的には贈るもの
ここまで、香典返しを贈らないケースや地域があることを解説しました。
しかし、香典返しには報告やお礼の意味もあるので、基本的には四十九日後に香典返しを贈るものと理解しておくのが良いでしょう。
ちなみに、香典返しの品選びには、マナーがあります。
「消えもの」と呼ばれる日用品や食べ物を選ぶほか、「生もの」を贈らないのがルールとされています。また、相手の好みやマナーに配慮する必要があります。
多忙の中、それぞれの好みに合う品を選ぶことは現実的に難しいということであれば、カタログギフトを贈る方法があります。
2,000円以下の商品もありますので、少額の香典返しの品選びで悩んだときには、一度検討してみてはいかがでしょう。