法事の施主が悩んでしまうことといえば、引き出物(引き物)選びでしょう。
年齢や家族構成の違う親族が集まる法事では、全員に満足してもらえる引き出物を選ぶのが難しいものです。
これまでに葬儀や法事で贈った品物について
「あれでよかったかな…?」
と心配に思っている人も、実は多いのではないでしょうか。
この記事では、親族を中心とした法事において、引き出物にふさわしい品物をご紹介します。
押さえておきたい基本的なマナーから詳しく解説しますので、ぜひ参考にしてください。
目次
親族に失礼のないよう押さえたい、法事の引き出物基本マナー
法事には特有のしきたりやマナーが多くあります。
目上の親族には、法事にまつわる用語の使い方や当日の対応について厳しい方もいるでしょう。
誤った対応やマナー違反をしてしまわないよう、「引き出物」にまつわる基本的な知識をぜひ押さえてください。
法事の引き出物とは
「引き出物」とは、法事でいただく御仏前(現金)やお供物に対して、施主がお返しする返礼品のことです。
よく「香典返し」とも呼ばれますが、正確にいうと「香典返し」と「引き出物」は別のもののため理解しておきましょう。
- 香典返し…通夜や葬儀でいただく「香典」へのお返し。四十九日の忌明けを知らせる意味も持つ。
- 法事の引き出物…法事でいただく「御仏前」などへのお返し。法事の列席に対する感謝を込めて贈る。
「こちらは香典返しです。」
と言って渡しても伝わることは多いですが、
「引き出物(引き物)です。」
「返礼品(お返し)です。」
と正確に伝えたほうがよいでしょう。
なお「引き出物」は、関西では「粗供養」、四国などでは「茶の子」と呼ばれることがあります。
引き出物を渡すタイミング
引き出物を渡すタイミングは「法事の当日、会食のあと」が基本です。
会食を終えて列席者をお見送りする際に、感謝の言葉を添えて一人ひとりに手渡しましょう。
人数が多い場合には、事前に会食の席に置いておいても問題ありません。
会食のない法事では、施主の挨拶が済んだあと帰り際に手渡しましょう。
▶挨拶はいつ?当日の進行や引き出物を渡すタイミングを詳しく見る
引き出物を渡す範囲。家族連れには「世帯に1つ」
家族と親族を中心に行う法事では、誰に引き出物を贈り、誰に贈らないのか線引きに迷うこともあるでしょう。
引き出物を渡すかどうかは「御仏前をいただくかどうか」を基準とします。
施主と同居していない親族は、御仏前を包むことがほとんどです。
同居家族以外の親族には、兄弟姉妹や自身の子どもでも引き出物を用意しておきましょう。
夫婦や家族で列席する親族の場合、引き出物は「世帯に1つ」が基本です。
ただし子がすでに独立している場合は、その両親とは別に引き出物を用意してください。
親族に贈る引き出物の予算相場
法事の引き出物の予算は、2,000円〜5,000円程度が相場とされています。
法事の「お返し」は、当日の会食と引き出物をあわせて考えるのが基本です。
会食代と引き出物代の合計が、列席者が持参する御仏前の7〜8割になるように想定して用意しましょう。
3万円超の高額な御仏前をいただいた場合
親族から予想よりも高額の御仏前をいただいたら、追加のお返しは必要でしょうか。
この場合、会食と引き出物でお返しをすませて問題ありません。
両親や兄弟姉妹以外の親戚からもらう御仏前の金額は、1万円~3万円ほどが基本とされています。
しかし中には、会食や遺族の負担をおもんばかり、5万円、10万円といった高額の御仏前を持参する方もいるでしょう。
これに対して相場通りにお返しをすると、施主側の負担が大きいうえ、相手の気持ちも無下にしてしまいます。
心遣いをありがたく受け取り、用意していた引き出物をお渡しすれば問題はありません。
それでは気が引けると思うなら、後日お礼状とともに、相手に気を使わせない金額の「心ばかり」の品を贈るとよいでしょう。
関西では予算内で2つ用意
関西などには、引き出物を2つ以上用意する慣習があります。
この場合、引き出物の予算を増やす必要はありません。
予算に収まる範囲内で、2種類の引き出物を用意してください。
マナーを押さえた引き出物の選び方
法事の引き出物には、厳粛な場にふさわしい好適品があります。
また、当日手渡しするため、列席者の持ち帰りにも配慮が必要です。
品物を選ぶ際は、以下のポイントを押さえましょう。
- 軽くてかさばらないもの
- 日持ちする「消えもの(あとに残らないもの)」
- 落ち着いた色味のパッケージ
「消えもの」とは消費したらなくなる、食品や日用品のことです。
弔事はあとに残さないという考えがあり、昔から形に残らない品が適切とされてきました。
定番の品物には、以下のようなものがあります。
贈ってはいけないタブーに注意!
法事では仏教にのっとり、タブーとされる品物があります。
以下の品物は引き出物に選ばないよう注意してください。
- 四つ足生臭もの …肉や魚の生もの
- 慶事に使われるもの …かつおぶし 昆布 酒など
- おめでたいモチーフ …鶴亀 松竹梅 ひょうたん ふくろう うさぎ など
親族に「気がきいてる」と思ってもらえる引き出物
故人を偲んで足を運んでくれる親族には、無難なものより、もらって「うれしい」と思ってもらえる品を贈りたいものです。
全員に満足してもらえる引き出物は、親族の年齢や家族構成、ライフスタイルによっても異なります。
親族に贈るのにふさわしい引き出物を、法事のシチュエーション別にご紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
高齢の方中心の法事
80代以上など高齢の方が多く列席する法事では、「噛みやすさ」「飲み込みやすさ」を重視した品物選びが重要です。
お菓子なら
などが好適といえるでしょう。
「堅焼きのせんべい」「もち」「最中」「寒天ゼリー」といった品は、高齢の方には食べにくいため注意してください。
お菓子以外では、普段から口にする飲み物や食品を贈るのもよい選択です。
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年齢層が幅広い法事
法事では、小学生以下の子どもから80代の年配層まで、幅広い世代が集まることも珍しくありません。
年齢層や家族構成に幅がある場合、引き出物は以下のような品を選ぶとよいでしょう。
- 家族で分けやすく、単身でも持て余さない「個包装で日持ちする品」
- 忙しい世代も、高齢の方も使いやすい「調理が不要・または簡単な食品」
- 必要なものを各家庭で選べる「カタログギフト」
お菓子や飲み物はもちろん、レトルトやフリーズドライの食品なども好適です。
まずは子育て世代に喜ばれそうな品を考え、その中から、高齢の方や単身の方へ配慮のある品を選ぶと失敗しにくいですよ。
遠方から泊りがけで来る人が多い法事
法事には、さまざまな地域から里帰りして来る人が多いものです。
遠方の方は、新幹線や飛行機に乗って泊りがけで来ることもあるでしょう。
泊りがけの人が多い場合、引き出物の品はとにかく荷物にしまいやすいものが便利です。
「個包装のコーヒー」や「入浴剤」「カタログギフト」など箱から出しても割れたり、つぶれたりしない、薄型の品物を選ぶとよいでしょう。
暑さ・寒さが厳しい季節の法事
法事の行われる季節を意識して、引き出物を選ぶのもよい方法です。
暑さ・寒さが厳しい時期にも食べやすい品や、体を癒すような品を贈れば、列席者への心遣いを伝えられるでしょう。
夏には、食欲がわかなくても食べやすい「ゼリー」や「そうめん」「梅干し」など。
冬には、体の温まる「スープ・温麺」や「ぜんざい」「入浴剤」などが好適です。
列席者のアレルギーや体調に配慮が必要な場合
親族にアレルギーや体調面について配慮の必要な人がいる場合、食品ギフトは避けたほうが安心です。
日用品から選ぶなら、肌への影響が考えられる入浴剤などより、「タオル」を選ぶとよいでしょう。
今治タオルや泉州タオルなど、上質で肌ざわりがよく、丈夫な国産タオルが好適です。
さらに安全な手段をとるなら、さまざまな品を網羅した「総合カタログギフト」を贈る選択肢もあります。
タオルとカタログギフトをセットにするのもよいアイディアです。
列席者の年齢・家族構成や予算などを考慮して、より適切な品を検討してみてください。
故人の好きだった品を贈るのもよい選択
故人の好きだった品を引き出物にするのもよい選択です。
気に入っていたお菓子や飲み物を贈れば、故人をよく知る親族たちと思い出を共有できるでしょう。
引き出物をきっかけに、
「このお菓子好きだったよね」
「お茶はいつもこれだったね」
などと、懐かしい話をしてみてはいかがでしょうか。
【1,000円~5,000円】親戚に贈る法事の引き出物にふさわしい品
法事の引き出物の相場は「2,000円〜5,000円」程度。
場合により1000円台の品を贈ることもあります。
法事にふさわしく、親戚に満足してもらいやすい品を予算別に解説しますので、ぜひ参考にしてください。
【~2,000円までの低価格】信頼のメーカーを押さえて
会食の金額によっては、引き出物は2,000円以内になることがあります。
また、予算内で引き出物を2品用意する場合、一品あたりの金額は1,000円~2,000円程度になるでしょう。
2,000円以内で品物を選ぶ際は、「量より質」が大切です。
少量でも、信頼できるメーカーの品物を用意しましょう。
人気店のコーヒーギフトや便利なフリーズドライみそ汁、上質な国産タオルなどは、少量でも十分満足してもらえる品物です。
【2,000円~3,000円】有名ブランドの贈答品
御仏前の金額が1万円の場合、引き出物の金額は2,000円〜3,000円程度が一般的です。
百貨店ブランドとして知られる有名店の贈答品がよく選ばれます。
老舗の和菓子やブランドスイーツのセットはもちろん、麺や惣菜といったグルメギフトも人気です。
▶【予算3,000円】法事にふさわしい品のある贈答用ギフトを見る
【3,000円~5,000円】老舗の詰め合せや高級グルメ
夫婦連名での御仏前は、2万円以上になることも多いでしょう。
引き出物は世帯に1つのため、およそ3,000円〜5,000円程度が相場になります。
スイーツなら老舗専門店や高級ブランドの、贅沢な詰合せギフトを選べる価格帯です。
満足度の高いグルメギフトも充実しています。
- レストランやホテル監修の高級グルメ
- 上質な梅干しや海苔、乾物
- グルメに特化したカタログギフト
などは、舌の肥えた親戚にも気に入ってもらいやすいでしょう。
5,000円超ならカタログギフトがおすすめ

引き出物の予算が5,000円を超える場合、「カタログギフト」がおすすめです。
親族の中で御仏前を多めに贈る慣習がある場合は、引き出物も高めになります。
予算5,000円超で特定の品を選ぶと、量が多くなりがちです。
- 重量があり、かさばりやすい
- 気に入ってもらえなかったときに持て余してしまう
といったデメリットがあるため、慎重な品物選びが必要になるでしょう。
その点、薄くてかさばらず、自分で好きな品を選べるカタログギフトなら、失敗することが少なくなります。
ただし、カタログギフトならなんでもよいというわけではありません。
多くの心遣いをくださる親族に、満足してもらえるカタログギフトの選び方を紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
「和」と高級感を意識して「無難」回避

「和」をコンセプトにした高級路線のカタログギフトは、法事に好適です。
表紙も和風で落ち着いた印象のため、年配の方が多く列席する法事でも贈りやすいでしょう。
「無難」ではない、こだわりの詰まったカタログギフトを以下からぜひご参照ください。
グルメカタログギフトはマンネリ感のない贈り物

カタログギフトは弔事の贈り物の定番のため、以前に法事で贈ったというケースもよくあります。
「前と被るのもよくないか…。」
と思っている方は、「グルメカタログギフト」を検討してみてはいかがでしょうか。
お肉やフルーツといった生鮮食品はもちろん、高級惣菜やごはんのお供、スイーツまで幅広い「グルメ」を網羅しています。
普段は手に入りにくい全国のグルメを多数見比べられるため、マンネリ感のない、目新しい贈り物になるでしょう。
お菓子やドリンクとセットにするのもひとつの手
カタログギフトだけでは寂しい、味気ないと思ったら、品物とセットにして贈るのもよいアイディアです。
ちょっとしたお菓子やコーヒーでも「今日はありがとう。一息ついて休んでくださいね」という気持ちは十分に伝わります。
カタログギフトとセットにしてもかさばらない、人気のギフトをご紹介します。
▶【予算1,000円前後】法事にふさわしいお菓子ギフトを見る
法事の掛け紙・挨拶状のマナーをチェック
法事において、「掛け紙(通称:のし)」や「挨拶状(お礼状)」のマナーはとても重要です。
間違いがあっては相手に大変失礼にあたるだけでなく、故人を偲ぶ場面に水を差してしまいます。
列席してくださる親族への感謝を丁重に示すためにも、しっかりと押さえておきましょう。
掛け紙の表書きは「志」
家族と親族を中心とした法事であっても、引き出物には必ず掛け紙をつけましょう。
選び方は以下の通りです。
- 水引は黒白の結び切り(関西などでは「黄白」の結び切り)
- 表書きは「志」
- 名入れは施主の苗字またはフルネーム
なお、神式・キリスト教式では違いがあるため、詳しくはこちらの記事をご確認ください。
郵送するなら挨拶状(お礼状)を添えて

欠席者などに引き出物を郵送する場合、挨拶状(お礼状)を添えるのがマナーです。
当日に手渡しする場合は、一人ひとりにお礼を伝えられるなら挨拶状は不要とされています。
手渡しの場合に挨拶状を添えるのがマナー違反というわけではないため、気持ちを丁重に伝えたいなら添えてもかまいません。
マナーに即した挨拶状の書き方はこちらの記事をご参照ください。
【お悩み解消】法事にまつわる疑問Q&A
法事と親族にまつわる疑問について、詳しく解説します。
細かなことですが、いざとなると悩んでしまう施主が多いため、ぜひ事前に押さえましょう。
法事において親戚はどこまで、何回忌まで呼ぶ?
A.二親等までの親族とその家族を、三回忌まで呼ぶのが基本です。
法事において「誰を呼ぶのか」「何回忌まで呼ぶのか」というお悩みはよく聞かれます。
法事に呼ぶ範囲は、血縁者とその配偶者、子どもが基本。
血縁といっても広いですが、一般的には「親」「子」「兄弟姉妹」とその配偶者、子どもまでとされるようです。
もちろん故人と親しい方なら血縁が遠くても、血縁のない友人でも呼ぶケースはあるため、関係性も考慮しましょう。
法事に親族や友人・知人を招くのは「三回忌」までとするのが一般的です。
三回忌を一つの節目として、七回忌以降は家族のみで営んでもよいでしょう。
欠席した親戚から御仏前をもらった。引き出物は代理人に預けていい?
A.葬儀では、香典を預かってきた人に香典返しを手渡すのが一般的です。法事でも同様に対応を。
法事に列席した人が、欠席者の代理として御仏前を預かってくることがあります。
「伯父は欠席したものの、その子(いとこ)が伯父の分も御仏前を持参した」
といったケースです。
葬儀ではこうしたとき、香典を持参した人に香典返しを預ける慣習があります。
法事でも、代理の方が了承してくれるなら、引き出物を預けても問題はないでしょう。
四十九日の引き出物と葬儀の香典返し、一緒に渡していい?
A.基本的にはマナー違反です。目的の違う品物のため分けて贈るべきでしょう。
香典返しは、基本的に「四十九日法要の終わったあと」に贈ります。
理由は、香典返しが「四十九日の法要を終え、無事に忌明けを迎えました」という報告をかねて贈られる品だからです。
親族に堅苦しい対応は不要では?という考えもあるかもしれませんが、二つ贈答品を渡すと当日の荷物が増えてしまいます。
相手に配慮する意味でも、香典返しは後日贈ったほうが無難でしょう。
引き出物の手配はギフト専門店が安心
法事の引き出物を手配するなら、ネット通販のギフト専門店が便利で安心です。
お店に出向かずとも、自宅にいながら品物を吟味できるため、忙しい施主の負担を軽減できます。
贈答用にふさわしい品物がそろうことはもちろん、包装や掛け紙(のし)を安心して任せられることもメリットです。
ギフト専門店ギフタでは、引き出物の掛け紙、挨拶状を無料でご用意。
スマートフォンひとつで、表書きや挨拶状の文面を編集することが可能です。
そのほかにも、以下のようなサービスがあります。
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- 13時までの注文で即日出荷可能商品あり
- 無料の手提げ(紙袋)をつけられる商品も
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親族みんなに満足してもらえる、引き出物にふさわしい品物をぜひチェックしてください。