同じ仏教の中でも、浄土真宗と他宗派では、葬儀・法事の形式や意味が異なります。
浄土真宗には、亡くなった方は阿弥陀如来の力によって即仏になるという「往生即成仏(おうじょうそくじょうぶつ)」の教えがあり、供養もその考えに基づいて執り行われるからです。
今回の記事では、
- 浄土真宗の香典返し(満中陰志)を贈る時期
- 掛け紙(通称:のし)
- 挨拶状マナー
- おすすめ品
までご紹介します。
目次
【浄土真宗】香典返しは「初七日~1カ月」に贈る
浄土真宗は「他力本願」の教えに基づき「阿弥陀如来の力を信じて念仏を唱えれば誰もが極楽浄土へ往生できる」としています。
葬儀のとらえ方も、「死者の供養」とする他宗派とは異なり、「故人を悼み、阿弥陀如来に感謝し、仏縁を深める場」とする考え方があります。
浄土真宗の教えに沿って葬儀を営む場合、お返しの香典返しの時期など、仏式の一般的な弔事マナーとは違いがあることを踏まえた上で香典をくださった方に対応する必要があります。
浄土真宗の香典返し(満中陰志)は初七日のあと
浄土真宗では、香典返し(関西では満中陰志と呼ぶことが多い)は、初七日(しょなのか)が終わったら贈るとされています。
亡くなった日から1カ月以内を目処に、お返しの品を贈るとよいでしょう。
浄土真宗では、「亡くなった人はすぐに極楽往生する」と考えられているため、「忌中」という概念がありません。
そのため、香典返しは早い段階で贈ることになっているわけです。
一般的な仏式の葬儀の場合
浄土真宗に対し、一般的な香典返しは四十九日法要を終えて「忌明け」を迎えてから贈ります。
これは、仏教の大部分の宗派では「故人は四十九日かけて仏になる」と考えられていることによります。
ちなみに、弔事においては日数を基に供養を行うため、「五七日(いつなのか・いつなぬか)」「四十九日(しじゅうくにち)」などの言葉を聞いたことがある方は多いでしょう。
日数の数え方は、亡くなった日を1日目とします。
<三浦先生からひとこと>
浄土真宗は初七日から1カ月を目途に香典返しを贈るので、一般的な仏式の四十九日後から1カ月だと勘違いしていると、すでに遅いことになります。
自分の宗派について普段あまり気にしていない方も多いと思いますので、注意してください。
浄土真宗では四十九日法要はしない?
「亡くなった人は、すぐに極楽往生する」と説く浄土真宗。
では「四十九日法要(忌明け法要、満中陰法要)はしないでよいのか?」と疑問が沸きますね。
結論からいえば、浄土真宗でも「四十九日法要」は執り行うことが多いようです。
しかし、浄土真宗とほかの宗派では「四十九日」の捉え方が異なります。ほかの宗派では故人が極楽浄土に行けるよう願って法要を行いますが、浄土真宗では故人はもう極楽浄土で生まれ変わっていると考えられているので、遺族の悲しみを癒し、仏様に感謝して仏様の教えに接するという意味合いがあります。
「四十九日までは、亡くなった方の幸せを願う」という日本人の死生観による伝統ともいえるでしょう。
四十九日の数え方
四十九日は、亡くなった日を「1」とし、49日目を「四十九日」とします。
しかし法要を執り行う日程は、必ずしも「49日目」である必要はありません。
平日は参列者が集まりにくいため、前倒しした土日・祝日など、皆が参加しやすい日に営むのが一般的です。
四十九日法要の日程を前倒しにする理由
四十九日法要の日取りをずらす場合は、前倒しにすると説明しました。
その理由は、四十九日に限らず仏事には「先延ばしせず」という考え方があるからです。
ただし一部では、
- 後ろ倒しを良しとする
- 前倒しでも後ろ倒しでもよい
という地域もあるので、迷ったときは年長者に確認するとよいでしょう。
浄土真宗では使わない言葉
浄土真宗は「亡くなった人はすぐに仏となる」という教えがあるため、多宗派とは異なる特色があります。
浄土真宗のことを知らない人から見ると戸惑うことがあるかもしれません。
以下は浄土真宗では使わない言葉なので、挨拶などで使わないよう注意しましょう。
-
「冥福」「冥途」
「冥福を祈る」とは、あの世への旅路(冥途)を終えて故人が無事に成仏することを祈る言葉です。遺族にかけるなら「冥福をお祈り申し上げます」ではなく、「(心より/謹んで)お悔やみ申し上げます」「ご愁傷様です」などを使うとよいでしょう。 - 「霊前」
「亡くなったあとすぐに成仏する」という教えから、「霊前」は使わず「仏前」を使います。
また、以下の忌み言葉は、浄土真宗に限らず、他の宗派でも使わない言葉です。
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不幸の重なりや続くことを連想させる言葉
「重ね重ね」「重ねて」「次々」「また」「続いて」「続く」「再三(さいさん)」「再四(さいし)」「くれぐれも」「追って」など -
不吉な言葉
「消える」「落ちる」「迷う」など -
直接的な言葉
「死亡」→「亡くなる」
「死ぬ」→「ご逝去」
浄土真宗では「戒名」ではなく「法名」を使う
浄土真宗における葬儀の意味は、仏になった故人に思いを馳せるとともに、阿弥陀如来への感謝をささげ、仏縁をを深める場です。
「冥途へ旅立つ」という捉え方もしないので、亡くなったら49日間この世とあの世の間でさまよったり、冥界の王・閻魔様の裁判を受けるといった考えもなく、白装束を着せることもありません。
さらに、誰もが極楽往生すると説いており、故人ともいずれ極楽浄土で再会できると考えられているので、葬儀やお別れの会のことを「告別式」と呼ぶのは、教義からするとふさわしくないことになります。
また、一般的に仏教では「戒名(かいみょう)」が授けられますが、浄土真宗では「法名(ほうみょう)」が授けられます。
葬儀後の喪主の挨拶や、香典返しの品に添えるお礼状の文章の例として、
「父○○戒名〇〇〇〇の告別式に際しわざわざご会葬を賜りましてまことにありがたく厚く御礼申し上げます…」
などの言い回しがよく使われますが、このような一般的な表現を参考にすると、浄土真宗の教えにそぐわない言葉が混じっていることになるので注意してください。
【浄土真宗の香典返し】挨拶状の書き方・例文
香典返しを郵送や宅配便で贈るときは、挨拶状を添えましょう。
挨拶状のポイントは
- 時候の挨拶は必要ない
- 句読点を使わない
- 頭語と結語は必ずしも必要ではない
です。
挨拶状の例文は、以下のような流れのものになります。
謹啓
このたび父〇〇永眠に際してはご丁重なるご弔詞をいただきかつ又ご芳志を賜りまして誠に有難く厚く御礼申し上げます
おかげ様で諸事万端滞りなく相済ませました
お寄せいただきましたご厚情に謝意を表したく心ばかりの品をお届け申し上げます
何卒ご受納くださいますようお願い申し上げます
書面にて失礼ではございますがまずはお礼かたがたご挨拶申し上げます
敬具
〇〇年 〇月 〇日
(喪主名) 〇〇〇〇〇
謹啓
先般父〇〇永眠の際にはご鄭重なるご弔問と御香典を賜り厚くお礼申し上げます
おかげ様で諸事万端滞りなく相済ますことができました
略儀ながら書中をもちまして御礼旁々ご挨拶を申し上げます
お寄せいただきましたご芳意に謝意を表したく心ばかりの品をお届けいたしますので
何卒ご受納くださいますようお願い申しあげます
謹白
〇〇年 〇月 〇日
〇〇〇〇〇
※「○○年」の箇所は、西暦ではなく元号を記入します。
【浄土真宗の香典返し】掛け紙(のし)の選び方
香典返しは弔事なので、「黒白」もしくは「黄白」の水引が書かれた掛け紙を選びましょう。
関西では、黄白の水引を使うことが多いようです。
黒白の掛け紙には、蓮の絵が描かれているものもあり、仏式にのみ使用されます。
浄土真宗では「極楽には蓮の華が咲いている」と説くため、蓮の絵が描かれている掛け紙を選んでも良いでしょう。
表書きは「志」「満中陰志」
浄土真宗では、表書きに「志(こころざし)」と書きます。
「志」はどんな宗派にも使えるので、迷ったときは「志」と覚えておくと良いでしょう。
関西では、黄白の水引に「満中陰志」と書くことが多いようです。
浄土真宗の香典返しにおすすめの品
浄土真宗の宗祖である親鸞聖人は、肉食妻帯をした僧侶として歴史的に有名です。
葬儀における香典返しは、一般的には「消えものを贈るべき」「肉や魚は贈ってはいけない」とされます。
しかし、浄土真宗の場合は香典返しの品にそれほど気を遣わなくても問題はないでしょう。
ここからはギフト専門店「GiftA(ギフタ)」が浄土真宗の香典返しに適した品物を紹介します。
従来の香典返しの定番品は
など、消えてなくなるものです。
また、
もよく選ばれています。また、
- 国産タオル
- 石けん
など「悲しみを拭い去る」「悲しみを洗い流す」とされている品もふさわしいでしょう。近年では人々の嗜好の変化もあいまって、定番の他にも選択肢が広がっています。
人気の「香典返し用カタログギフト」はすでに定番
弔事用のカタログギフトを香典返しに贈る人も増えてきています。
カタログギフトは、
- 先方が好きな品を選べる
- 喪主側が品選びに迷う必要がない
- 贈った金額がわからない
などのメリットがあるため、合理的なお返しの品として人気が高まっているのです。
グルメ・雑貨・家電・温泉旅行など掲載商品は幅広いため、「どうせ贈るなら先方に必ず喜んでいただけるものを」と考える方におすすめです。
他の宗教では「肉や魚は贈ってはいけない」とされていますが、浄土真宗ではさほど気にしないことも多いため、グルメカタログギフトという選択肢もあります。
3000円程度の少額の香典返しにも、食べ物なら「ほしいものがない」となりにくいためおすすめです。
まとめ買いにお得「最新版の割引カタログ」
ネット通販では、最新版のカタログを卸値価格で販売する「割引カタログギフト」が販売されています。
例えば、
などがあります。
香典返しは決して失礼があってはならないため、信頼できるECサイトで購入することをおすすめします。
ギフト専門店「GiftA(ギフタ)」では、流通を工夫して安く仕入れることで、カタログギフト最新版を卸値で直販しています。
カタログギフトの中身が気になる方は、パソコンやスマホで電子カタログを見ることも可能。
無料のカタログサンプルを取り寄せて、実物を確認することもできます。
挨拶状に法名を入れることも可能
香典返しを郵送する際には、挨拶状を添えるのがマナーです。
「GiftA(ギフタ)」では、カタログギフトをご購入いただいた方に
- 定型文の挨拶状
- 定型文例から編集できる挨拶状
- 80字まで自由に作成できる挨拶状
の3種をご用意しています。
- 「香典返しにふさわしい文面がわからない」という方は「1」の定型文
- 法名(浄土真宗における戒名)を入れたい場合などは、編集可能「2」または、自由作成「3」
と、お選びいただくことができます。
のし・挨拶状も無料
多くのギフト専門店では、掛け紙(のし紙)や包装紙の無料サービスを行っているショップが多くあります。
「GiftA(ギフタ)」もその一つ。包装の種類やお名前は、注文画面にて自由に選択可能。パソコンやスマホ画面にて「包装の仕上がり」を確認できるので安心です。
浄土真宗の六曜に対する考え方
一般的な仏教の葬儀では縁起を気にして「友引を避けるべき(故人が友人を引っ張っていかないように)」とされることがしばしばありますが、浄土真宗では友引などの六曜を考慮する必要はないとされます。
亡くなれば必ず極楽へ行って仏になることが約束されているので、遺された人は「故人が成仏しますように」と祈る必要はなく、「葬儀供養は死者を成仏させるために行うもの」「死は穢れたもの」という従来の仏教や神道の考えとは一線を画しているからです。
納棺の際も、死出の旅路に備える白い死装束を着せるのではなく、本人が生前気に入っていた服を着せて見送ることが多いようです。
昔のことわざで「門徒もの知らず」という言葉がありますが、他宗派から「浄土真宗の門徒は仏教の作法を知らない」と言われたことに由来するという説や、もともとは「門徒物忌み知らず」だったという説もあります。
それほど浄土真宗では旧来の迷信にこだわったり縁起をかついだりすることを良しとせず、仏の教えだけを信じて合理的に物事を進める気風を持つと言えそうです。
故人を想う真ごころがこもっていれば、弔事においても細かい形式や作法をそれほど心配しなくても問題になることはないでしょう。
浄土真宗の香典返し【まとめ】
浄土真宗は一般的な仏式よりも早い段階で香典返しを贈ります。
その理由は、「帰依した人は亡くなったらすぐに仏になる」という教えによるもので、香典返しは初七日が終わってから1ヶ月以内を目途に贈るのがマナーとされています。
浄土真宗は大小合わせて10以上の宗派に分かれています。
その中でも特に大規模な浄土真宗本願寺派(西本願寺)と真宗大谷派(東本願寺)とをくらべても、それぞれの弔事マナーがあります。
葬儀や香典返しを準備する際は、お世話になっているお寺の方や葬儀社スタッフなどに細かいしきたりを確認しておくことをおすすめします。