自分や相手が喪中の場合には、年賀状などの新年を祝う挨拶は控えるのがマナーです。
そんなときに「毎年恒例で贈っているお年賀の品」を贈ってもいいのかどうか、気になる方もいるでしょう。
いつもお世話になっている方には「今年もよろしくお願いします」という気持ちを込めて、ご挨拶のお年賀品を贈りたいケースもあるはず。
あえて贈らないという選択肢もありますが、相手が仕事関係者だと「自分が喪中であることが先方に伝わり、かえって気を遣わせるのでは」と迷うケースもあるでしょう。
そこで今回は、「喪中にお年賀を贈りたいときのマナー」を解説します。
おすすめの好適品も紹介するので、迷ったときはぜひ参考にしてください。
目次
お年賀を検討する前に知りたい「喪中」とは
年始の挨拶回りに持参する手土産を「お年賀」といいます。
「毎年恒例だから」とお年賀の品を準備する前に、まず相手や自分が「喪中の期間」にあたるのかどうかを確認しましょう。
喪中とは、遺族や親族が亡くなった人を悼む期間のことです。
例えば、あなたや先方の身内が亡くなった日から数えて一年後までは喪中、というように亡くなった日が喪中の起点になります。
昔は喪中には外出を控え、喪に服す習わしがあったようですが、現在はそこまで厳しいルールはなくなってきています。
ただし「喪に服している間は、故人を偲んで祝いごとを避ける」という習慣は今も残っています。
結婚式や宴会などの参加を控えたり、年賀状をやめて喪中はがきを送った人もいるでしょう。
喪中の範囲
喪中の範囲に入るのは、自分(もしくはお相手)から数えて二親等までの血族・姻族が亡くなった場合です。
二親等とは、以下のように兄弟姉妹・祖父母・孫にあたる人を指します。
0等親 | 配偶者(本人と同等に扱われるため親等なし) |
一等親 | 両親、配偶者の両親、子ども |
二等親 | 自分と配偶者の兄弟姉妹、兄弟姉妹の配偶者、孫 |
ただし、喪中の範囲に厳密な決まりはありません。
故人との関係が三親等より離れていても、生前に深い関わりがあった場合は故人を悼んで喪に服する人もいるようです。
喪中の期間
一般的に喪中の期間は一周忌、つまり故人が亡くなった一年後までです。もちろん、これは目安であって、家庭や地域によって期間は異なります。
また「一親等なら1年」「二親等なら半年」など、故人との間柄によっても喪中の期間が変わります。
以下がおおよその期間の目安です。
故人との間柄 | 喪中の期間 |
配偶者・両親・義両親 | 12~13ヵ月 |
子ども | 3~12ヵ月 |
兄弟姉妹 | 3~6ヶ月 |
祖父母 | 3~6ヶ月 |
また、喪中と似ている概念で「忌中」という言葉があります。
忌中は喪中に含まれる、「故人が冥土で旅をする期間」です。
忌中には結婚式や新年の挨拶を控えるのに加え、神社へのお参り(初詣)も避けた方がよいとされています。
忌中の期間は「仏式では四十九日の法要を迎える49日まで」「神式では50日間」というように、地域や宗派によって規定に違いがあります。
なお、キリスト教では仏教や神道と「死」に対する価値観が違うため、喪中・忌中という概念自体が基本的にありません。
ただし、キリスト教には、命日から1カ月もしくは30日までを忌中とする宗派もあります。
喪中にお年賀を贈る方法
お世話になった人へ、新年の挨拶とともに贈るお年賀。
お年賀の「年賀」には「新年を慶ぶ」という意味が込められているため、“お祝いごとを避ける期間”である喪中に贈っていいのか悩むところです。
結論からいうと、喪中でも新年に贈り物をすることはマナー違反にはなりません。
ただし「お年賀」の名目で贈るのは避けたほうがよいでしょう。
お年賀は正月の門松を飾ってある間、つまり「松の内」の間に贈るものと言われています。
「自分が喪中の場合」と「相手が喪中の場合」に分けて、喪中期間のお年賀の扱いについて解説します。
▼お年賀の基礎知識について詳しく解説しています▼
自分が喪中の時のお年賀
自分が喪中の場合は
- 喪が明けるまで贈り物を自重する
もしくは
- お年賀としてではなく、「寒中見舞い」の名目でギフトを贈る
のがベターです。
仏教では輪廻転生の概念があるため、死はネガティブなものとして捉えられていません。
一方、神道では「死は穢れ」と考えられており、忌中の期間は死という穢れをほかの人に広めないために、外部との接触を避ける習わしがあります。
仏教でも神道の考えのように、死に対してマイナスの印象を抱く人もいるかもしれません。
自分が喪中のときのお年賀は、「今年は贈らない」「代わりに寒中見舞いを贈る」、いずれかの方法を選ぶことをおすすめします。
相手が喪中の時のお年賀
故人が亡くなってから日が浅い場合、遺族や親族が落ち込んでいる可能性があります。
そのため、お祝いの意味合いが強いお年賀ではなく、寒さ厳しい中での相手を気遣う意味で「寒中見舞い」に名目を変えて贈ることをおすすめします。
それでもギフトを贈っていいのか不安な場合は、相手に寒中見舞いを贈りたい旨を事前に伝えておくとよいでしょう。
寒中見舞いとは「寒い冬に送る挨拶状やギフト」
寒中見舞いとは、「寒い冬を無事に乗り切れますように」という気持ちを込めてお世話になった人に贈る挨拶状やギフトのこと。
時候の挨拶や近況報告を兼ねて贈る季節のご挨拶なので、お祝いの意味を持つ「お年賀」とは別物です。
そのため、喪中にお年賀を贈る代わりに寒中見舞いを贈ることがあります。
寒中見舞いを贈る時期は、松の内の期間が過ぎてから、立春の2月3日ごろまでです。
松の内とは、門松などの正月飾りを飾っておく期間のこと。一般的には1月1日から1月7日とされています。
関西地方などでは1月15日までを松の内と定めている地域があります。
相手が関西に住んでいる場合は1月中旬を過ぎてから贈ると安心です。
また、立春の時期も年によって異なるため、寒中見舞いが先方に届くのが2月になりそうな場合は日程を確認しておきましょう。
喪中にお年賀(寒中見舞い)を贈るときの注意点
自分や相手が喪中の際、お年賀の代わりに寒中見舞いを贈るときに気をつけたいマナーを紹介します。相手を気遣い、正しいマナーで新年のご挨拶をしましょう。
手紙を添える場合、お祝いの言葉は使わない
自分や相手が喪中の場合、寒中見舞いに手紙やメッセージカードを添える際は「明けましておめでとうございます」「謹賀新年」といったお祝いの言葉は控えましょう。
喪中は身内を亡くして間もない期間であり、お祝いごとは避けるのが一般的なマナーです。
手紙を添えるなら、新年を祝う華やかな言葉ではなく、時候の挨拶や昨年のお付き合いのお礼などから書き始め、「今年もよろしくお願いいたします」などの言葉で締めくくりましょう。
贈り物には水引なしの無地の「のし」を付ける
喪中の相手に寒中見舞いを贈るときは、「水引なし・無地ののし紙(かけ紙)」を使用するのがマナーです。
通常のお年賀で使われる紅白(赤白)蝶結びの水引や、のし飾りが付いた「のし紙」を付けるのは避けましょう。
慶事に使われる飾りであり、喪中の相手に贈るにはふさわしくありません。
無地ののし紙が用意できないときは「白の奉書紙」「白の短冊」でも代用できます。
ただし短冊は、カジュアルな印象を与えてしまうため、目上の方への贈り物には避けたほうが無難です。
のし紙の表書き
のし紙の表書きは
- 寒中御見舞
- 御挨拶
などと書くのが一般的。
相手が目上の場合は
- 寒中御伺
などの表書きにするとよいでしょう。
自分が喪中のときも無地ののし紙
自分が喪中のときも、のし紙は「水引なし・無地ののし紙」を使います。
表書きの書き方は以下の通りです。
- 寒中御見舞
- 御挨拶
- 寒中御伺
お年賀(寒中見舞い)の贈り物に向かないNGの品
喪中に贈ってはいけないものが明確に決まっている訳ではありませんが、
紅白饅頭といったお祝いの意味合いが強すぎるものや、見た目が華美すぎるものも喪中の贈り物としてふさわしくないため避けましょう。
縁起物をモチーフにしたお菓子もおすすめできません。
- 鯛(めでたいの語呂合わせ)
- ツル・カメ・松(長寿)
- ウサギ(子孫繁栄)
など。
また、お歳暮やお中元と同じように、縁起の悪いものも避けた方が無難です。
- 「縁を切る」意味に取れる包丁やハサミ
- 櫛(く=苦、し=死)のように不吉な言葉を連想させるもの
- 4個入りや9個入りなど、忌み数のギフトセット
喪中に贈る、おすすめのお年賀(寒中見舞い)の品
喪中に贈っても違和感のない、お年賀代わりの寒中見舞いにおすすめの品物を紹介します。
「相手を気遣うようなギフトを贈りたい」という人はぜひ参考にしてみてください。
※記事内でご紹介する各商品は、随時完売・即日出荷対応不可に変更になる可能性があります。
※12/31~1/3は集配時間の短縮により、「午前9時」までのご注文で即日出荷、午前9時以降のご注文は翌日出荷とさせていただきます。
※年末年始は配送の混雑・メーカー休業などにより、輸送遅延の可能性がございます。悪しからずご了承いただきますようお願い申し上げます。
和菓子
和菓子は、高級感がありながらも落ち着いたデザインのパッケージが多いため、喪中の方に贈るギフトに向いています。
優しい甘さで、沈んだ気分が安らぐかもしれません。
和菓子を選ぶなら、鮮やかな色目のものを避け、羊羹・豆菓子・カステラなど、お茶とともにホッと一息ついてもらえるようなものにしましょう。
また、家族と分け合えるような個包装タイプや、開封後に食べ切りやすいもの、日持ちしやすいものを選ぶのがおすすめです。
入浴剤
上質な入浴剤もリラックスにつながるためおすすめです。
身体の芯から温まるため、寒中見舞いのギフトとしてもふさわしいでしょう。
例えば、名湯を再現した入浴剤や、冷え・むくみ解消やデトックス効果が期待できる入浴剤などのギフトセットもあります。
自然素材を使ったナチュラル感のある入浴剤なら、年齢層を問わず使っていただけるでしょう。
いたわりの気持ちを込めて、温もりのひとときを贈ることができます。
洋菓子
喪中の相手は、喪中見舞いなどでさまざまな食べ物を贈られている可能性があります。
クッキーやフィナンシェなどの焼き菓子なら日持ちの長いものが多く、贈る側も贈られる側も安心です。
相手がお酒好きなら、洋酒入りのブラウニーやマドレーヌを、子どもがいる家庭ならバラエティセットなど、相手の好みや家族構成に合った焼き菓子をチョイスしましょう。
コーヒー・紅茶・ジュース
毎日飲むコーヒー・紅茶は、あとに残らない「消え物」であり、お年賀や寒中見舞いとして定番の品です。
おしゃれなティーバッグの詰め合わせや、コーヒーとクッキーのセットも気が利いていておすすめです。
喪中の方に対して「一息ついてもらいたい」というねぎらいの気持ちが伝わるでしょう。
海苔
風味豊かな海苔は、お米と相性抜群。上質な海苔があるだけでいつもの食卓が豊かになります。
乾き物である海苔は日持ちするため、受け取った方が「喪中見舞いでのいただきものが多い」という場合も保管に困りません。
ギフト用に海苔を選ぶなら、自宅用にいつも購入しているものより高級なものがおすすめ。
例えば、あごだし・ごま油・梅味などの味付け海苔がセットになったものなら、食べ比べできます。
「ゆっくりと食を味わってほしい」といういたわりの気持ちを込めて贈りたいときにおすすめです。
▼こちらもおすすめ
※記事内でご紹介する各商品は、随時完売・即日出荷対応不可に変更になる可能性があります。
※12/31~1/3は集配時間の短縮により、「午前9時」までのご注文で即日出荷、午前9時以降のご注文は翌日出荷とさせていただきます。
※年末年始は配送の混雑・メーカー休業などにより、輸送遅延の可能性がございます。悪しからずご了承いただきますようお願い申し上げます。
喪中の贈り物マナーに則してお年賀を
喪中とは、亡くなった人を偲ぶ期間です。
そんなときに、おめでたい意味があるお年賀を贈るのは避けた方が無難です。
自分が喪中の身でも、仕事相手などにお年賀を贈るのが毎年恒例になっているケースもあるでしょう。
そんなときはお年賀の代わりに、松の内を過ぎた日から立春までの間に「寒中見舞い」の名目で贈る方法があります。
喪中の方に贈るギフトを選ぶときは、相手の状況や気持ちを配慮することが大切。
「お年賀」の名目で贈ったり、お祝いの意味合いが強いものや縁起が悪いとされているものを贈るのは避けましょう。
喪中の贈り物には、寒い冬に体が温まるものや、相手の気持ちがホッと安らぐような品物がおすすめです。
季節の挨拶の意味はもちろん、普段の親交への感謝も込めて、状況に合わせた心遣いの感じられるギフトを贈りましょう。