治療中にお見舞いをいただいたときの対応で迷う、「本人の回復まで時間がかかりそうな場合」や、「回復しないまま亡くなってしまったとき」にどうすべきか、お返しマナーを解説します。
一般的に、お見舞いのお返しは回復後に贈るもの。
しかし、病状によって贈るタイミングなどに迷うこともあるでしょう。
「回復までまだ時間がかかりそうだけど、お返しはいつごろ贈るべき?」
「お返しにふさわしいものは?」
「のしや挨拶状の決まりがよく分からない……」
そんな疑問にお答えします。それぞれのケースで詳しく見ていきましょう。
お見舞いのお返し:回復まで時間がかかりそうなとき
本来、いただいたお見舞いへのお返しは、病気が回復した報告を兼ねて贈るもの。
贈るタイミングは、退院後や病気の回復後、10日~1カ月程度を目安にするのが一般的です。
しかし、入院が長引きそうなケースや、自宅療養が長く続く場合もあるでしょう。
「退院後か回復後、どちらでお返しするべき?」
「回復まで時間がかかりそうだから、先にお返しを贈ったほうがいい?」
と、判断に迷いますよね。
まずは「全快まで時間がかかりそうなとき」の対応方法を確認しておきましょう。
お返しを贈るタイミング
療養が長引いてしばらく退院のメドが立たない場合は、完治を待ってから贈っても問題ありません。
お見舞いをいただいたら「早くお返しをしなくては」と焦るかもしれませんが、療養の途中なら無理せず回復を待ちましょう。
ただし、「お返しだけでも先にして感謝を示したい」と思う方は、回復前にお返しを贈っても問題ありません。
その場合、お見舞いをいただいてから1ヶ月以内を目安にお返しするのがおすすめです。
また、「退院したものの通院で治療を継続する」「一時退院した」という場合には、退院をひとつの区切りとし、退院報告とともにお返しをするのもひとつでしょう。
いずれの場合も、容体の経過報告とともに、お相手からの心づかいへの感謝を伝えます。
予算相場
一般的なお返しの相場は、いただいたお見舞い金額の3分の1~半額程度。
お見舞いに品物をいただいたときは、おおよその値段を調べてから予算を考えましょう。
ただし、高額のお見舞いをいただいた場合にはこの限りではありません。
たとえば、近しい親戚や目上の方から支援の意味を込めて高額のお見舞いが贈られることもあります。
いただいた金額の3分の1でもお返しが高額になりすぎなら、相場より控えめの予算にしても問題ありません。
金額よりも感謝の心を丁寧に伝えることを心がけましょう。
また、職場の人から連名でお見舞いをいただいた場合には、一人当たりのお見舞い金額を計算し、その金額の3分の1~半額程度の品をそれぞれに贈ります。
もしくは個包装のお菓子セットなど、まとめてお返しを贈るのも一つの方法です。
のし紙
お見舞いへのお返しを贈る際には、のし紙を掛けるのが正式なマナー。
のし紙の表書き(贈り物の名目)は回復具合で使い分けるのが一般的です。
回復まで時間がかかる場合は「御見舞御礼」「退院内祝」「快気内祝」など、完治まで待ってから贈る場合は「快気祝」「全快祝」と記載しましょう。
いずれの場合も「二度と繰り返さない」という意味を込めて、のし紙の水引は紅白の結び切り(ま結び)を使います。
のし下には、本人(療養している人)の名前を入れます。
基本的には姓のみで問題ありません。
ただ、先方が同姓の方である場合や、同姓の親戚に贈る場合は、フルネームにするなど工夫しましょう。
お礼状・挨拶状
お見舞いのお返しは、直接相手に渡すのが最も丁寧な印象を与えます。
しかし、なかなか病状が回復せず体調が落ち着かない場合もあるでしょう。
そんなときは無理をせず郵送で贈っても問題ありません。
お返し品を郵送する際は、必ずお礼状や挨拶状を添えるのがマナーです。
お礼状では、お見舞いに対するお礼に加えて回復具合も報告するのがおすすめです。
完治してから贈る場合はお見舞いのお礼と共に回復した旨を書き添えます。
文例
拝啓
雪解けの季節となりましたが●●様におかれましてはいかがお過ごしでしょうか
この度の入院の折にはお忙しい中お越しいただき、温かい励ましの言葉とお見舞いの品をありがとうございました
おかげさまで●月●日に退院し、しばらくは自宅で回復を目指すこととなりました
つきましてはささやかですがお礼の品をお送りいたします
しばらくは寒い時期が続きますのでどうぞご自愛ください
敬具
お見舞いのお返しの品
お見舞いのお返しには、食料品や消耗品などを贈るのが一般的です。
これらは使ったり食べたりしてなくなる「消えもの」と呼ばれ、「病気を消す」という意味を込めて贈ります。
お返しに選ばれる人気の品には以下のようなものがあります。
カタログギフトもお返しに人気の品です。
受け取った方自身で好きな品を選んでもらえるため、相手の好みが分からなくても贈りやすいのがメリット。
数千円~10万円台まで幅広い価格帯のものが登場しているため、予算に合わせた贈り分けも簡単です。
「それぞれのお返し予算で適したものを選んでいる余裕がない」
「高額の予算なので、間違いのない品を贈りたい」
そんなときに役立つのがカタログギフトです。
一方、お見舞いへのお返しとしてにふさわしくない品もありますので覚えておきましょう。
- 療養生活を連想させる寝具やパジャマ
- 「根付く=寝付く」と意味が結びついてしまう鉢植え
- 弔事でよく使われる日本茶
上記のものはお見舞いのお返しには避けるべきとされています。
▼おすすめのカタログギフトを見たい方はこちらを参考に▼
お見舞いのお返し:回復しないまま亡くなってしまった場合
回復を願ってお見舞いをいただいても、残念ながら願い叶わずご本人が亡くなってしまうこともあります。
その場合にも、生前にいただいた励ましや心づかいへのお礼としてお返しを贈るのが一般的です。
本人が回復しないまま亡くなってしまった場合、お返しを贈るタイミング・マナーなどが、一般的なお返しとは一部異なります。
また、「香典返し」との兼ね合いについて迷う人も多いものです。以下に詳しく解説します。
お見舞いのお返しと香典返しをまとめて贈るのも可能
お見舞いのお返しを贈る際、気になるのが「香典返し」との区別やタイミングの違いです。
本人が亡くなってしまった場合は、お見舞いのお返しと香典返しの2つを用意しても、1つにまとめても問題ありません。
ただし、基本的にはお見舞いのお返しと香典返しの品は別々に贈った方が、より丁寧な印象を与えます。
気を遣う間柄の方なら、分けて贈ったほうが無難でしょう。
いずれの場合も香典返しと同じく、忌明け後のタイミングで贈るのが一般的です。
ただし、お返しを贈るタイミングに厳密な決まりがあるわけではありません。
お返しと香典返しをそれぞれ分けて贈る場合、必ずしも忌明けにこだわらなくても大丈夫です。
早めにお返しを贈りたい場合や、親戚や家族間の習わしとして忌明け前に贈る場合には、お返しを先に手配しましょう。
予算
本人が亡くなった後に贈るお返しの相場は、一般的なお見舞いのお返し相場と変わりません。
いただいたお見舞い金額の3分の1~半額程度が目安です。
香典返しの相場も、いただいた香典金額の3分の1~半額程度とされています。
香典返しとお返しをまとめて一つにする場合は、それぞれの金額を合算します。
例)
お見舞い:5000円
香典:10000円
をいただいた場合
お見舞いへのお返し:1500円~2500円
香典返し:3000円~5000円
を合計して、おおよそ5000円~7500円
がお返しの予算となります。
なお、いただいたお見舞いや香典が相場よりも高額だった場合には「3分の1」より少ないお返しでも問題ありません。
先方との関係性に応じて、臨機応変に予算を立てましょう。
掛け紙
お見舞いへのお返しと香典返しはどちらも正式な贈り物なので、弔事用の掛け紙(のし紙)を掛けるのがマナーです。
本人が亡くなってしまった場合、掛け紙の水引は黒白、地域によっては黄白の結び切りを用います。掛け紙に書く表書き(贈り物の名目)は以下が一般的です。
・お見舞いのお返しを別に贈る場合…「御見舞御礼」「御礼」 ・香典返しと一緒にする場合…「志」「満中陰志」など香典返しを優先させるまた、いずれの場合も水引の下の名入れには喪家の姓を記すのが一般的です。
お礼状・挨拶状
お見舞いのお返しを郵送するなら、お礼状・挨拶状を添えるのがマナーです。
お見舞いをいただいた本人が亡くなったことを相手が知らない場合は、「亡くなった(永眠した)」ことを伝えます。
また、香典返しと一つにまとめて贈る場合は、お返しを兼ねた品であることが分かる内容にしましょう。
文例
拝啓
父○○の入院の際にはお忙しい中お越しいただき 心のこもった励ましとお見舞いの品をいただき、誠にありがとうございました
願い叶わず○月○日に父は永眠いたしましたが 生前いただいた温かいお言葉やお心遣いが本人や家族の大きな支えとなりました
○○様のご厚情を故人に代わり感謝申し上げます
またお礼をお伝えするのが遅れましたことをお詫び申し上げます
心ばかりではありますがお礼の品をお送りいたしますのでお納めください
敬具
お見舞いのお返しの品
本人が亡くなってしまった場合、お見舞いのお返し選びは、香典返しの品と同様に考えて問題ありません。
弔事の返礼品として代表的なのが以下の品です。
- タオル
- 洗剤
- 石鹸
- お茶やコーヒー
- 海苔や干し椎茸などの乾物
- お菓子
カタログギフトも弔事のお返しの品として重宝されています。
弔事向けに装丁されたカタログギフトなら、マナーを踏まえつつ相手の好みから外れる心配もありません。
なお、お見舞いのお返し品と香典返しの品を分けて贈るなら、品物のタイプがかぶらないように選ぶのがポイントです。
たとえば「食品+カタログギフト」「カタログギフト+洗剤」のように、異なるタイプの品の組み合わせがおすすめです。
お相手自身に好きなものを選んでいただけるカタログギフトと消えものギフトの組み合わせなら、役立ててもらいやすいでしょう。
回復しない場合もお返しを。お見舞いへの感謝を伝えよう
回復が遅れる場合、回復しないまま亡くなってしまった場合、どちらのケースでもいただいたお見舞いへのお返しをするのがマナーです。
状況によって変わるのが、「掛け紙の種類」「挨拶状の内容」「贈るタイミング」などの細かい部分。
これらのポイントに気を付け、お返しを贈る前にきちんと確認しておきましょう。
お見舞いを通じていただいた励ましや心づかいには、丁寧なお返しで感謝の気持ちを伝えましょう。