出産内祝いとは、周りの人からいただいた出産祝いへの感謝を込めたお返しの品のこと。ただ品物を贈るだけではなく、お礼状もきちんと添えて贈るのがマナーです。
しかし、あまり手紙を書いたことがない人はあらたまった文章を書くのが大変だと感じるかもしれません。
今回の記事では出産内祝いのお礼状の書き方や、使ってはいけない言葉などのマナーをご紹介します。「上司や目上の人へきちんとご挨拶したい」という人はぜひ参考にしてください。
具体的な文例も数パターン用意しましたので、感謝の気持ちをしっかり伝えられるよう、役立ててくださいね。
出産内祝いのお礼状、書き方の基本
お礼状をあまり書いたことがない、または書き方を忘れたという方も多いでしょう。内祝いの贈り物に添えるお礼状を簡単に書くための構成作りと、季節の挨拶についてご紹介します。
お礼状はどんなペンを使えば良い?
お礼状を書く時はボールペンや万年筆、もしくは筆ペンで書きましょう。
鉛筆やシャーペン、または消えやすい水性のペンは避けてください。書いた文字が渡す前にかすれてしまったり消えてしまったりしては、読むのも困難で失礼に当たります。
インクの色は黒を使うのが基本です。青色で書いても良いといわれますが、実際には黒を使う人が多いようです。
万年筆や毛筆で書くとキッチリした印象になるので、礼儀を大切にする目上の方へのお礼状におすすめです。
時候の挨拶の例
正式なお礼状を書く時は突然本文から入るのではなく、まずは季節(時候)の挨拶から書きます。時候の挨拶の代表的なものを以下に挙げます。
- 【春】:春分の候、寒さが徐々に緩み、春風の気持ち良い季節を迎えました。
- 【夏】:盛夏の候、蝉の声がだんだんと高くなり、いよいよ夏が到来します。
- 【秋】:紅葉の候、山や野に鮮やかな色が広がり始め、すっかり秋の季節になりました。
- 【冬】:師走の候、ますます寒さが増す今日この頃、あっという間に年の瀬を迎えました。
以上は目上の相手にも問題なく使える時候の挨拶です。もっと親しい間柄の人なら、もう少しくだけた表現でも良いでしょう。
季節ごとにさらに細かい分類があり、初頭・中ごろ・終わりごろでそれぞれ挨拶の内容は変わります。
また、気心知れた友人や親戚に送るお礼状なら、ハロウィン・クリスマス・バレンタイン・オリンピックなど、横文字の季節イベントやニュース性のある出来事を書いても親しみやすい印象になるでしょう。
お礼状の構成を4つに分けると書きやすい
「一体何を書けばいいのかわからない……」
初めてお礼状を書く人にありがちな悩みです。しかも、内祝いはご祝儀を包んでくれた方全員に返すので、お礼状全てを充実した内容にするのは骨が折れるかもしれません。
1人1人に違う内容を考えて書くのが難しいと感じたら、書く前におおまかな構成を作りましょう。
先に構成を決めておくだけで目安ができ、書く文面を考えやすくなります。あとは贈る相手との関係性によって、内容を少し変えるだけで応用できます。
ここでは、4つの段階に分けた構成をご紹介します。
- 季節の挨拶
最初に季節の挨拶です。そのシーズンの初旬・中旬・下旬に合わせた内容を書きましょう。イベント名を含めてもOK。 - 感謝の言葉
日ごろからお世話になっていることや、出産祝いをいただいたことに対する感謝の気持ちを伝えましょう。品物をいただいた場合は「かわいらしいお洋服を贈っていただきありがとうございます」と、品物について感想を述べると好印象です。 - 赤ちゃんの紹介と母子の様子
出産内祝いには「ご祝儀のお礼」という意味もありますが、「赤ちゃんの紹介」をする機会でもあります。赤ちゃんの性別、名前とふりがな、名付けの理由、いつ誕生したか、何番目の男の子(女の子)かを伝えましょう。 - 締めの言葉と今後のお付き合いについて
最後に、締めの言葉です。読んでくれたことへの感謝と「今後もよろしくお願いします」という内容を書きましょう。「寒いのでお体にお気を付けください」など、気候による体への気遣いを付け加えると良いでしょう。
- 季節の挨拶
出産内祝いのお礼状の注意点として、相手にお子さんがいない場合は、あまり盛り上がった表現はせずに淡々と書いてください。
人によりいろんな事情があるので、こちらが産後ハイのような状態で勢いで文章を書くと相手に不快に思われることもあり得ます。
また、相手はママが健康かどうかも気にしているはずなので、お産の後、元気に過ごしていることも報告して安心させてあげましょう。
お礼状に使うのはNGの「忌み言葉」
慶び事の際に使ってはいけない単語も覚えておくと、出産以外のお祝いシーンでも役立つでしょう。
お礼状には以下の忌み言葉(縁起の悪い単語)を使うのは避けてください。
- 終わる
- 破れる
- 流れる
- 壊れる
- 冷める
- 切れる
- 切る
- 帰る
- 返す
- 戻る
- 別れる
- 分ける
- 飽きる
これらはお祝いにはふさわしくない言葉です。ご縁がなくなってしまうような印象もあります。
また、重ね言葉も使わないようにします。「度たび」「繰り返す」「くれぐれも」「近々」「再び」「次々」などです。
重ね言葉は結婚式やお葬式など「また起きてほしくない出来事」に対して縁起が悪いとされていますが、出産内祝いのお礼状でも、使用しないほうが無難でしょう。
出産内祝い、お礼状の例文
贈る相手との関係性ごとに、お礼状の例文をご紹介します。いずれも前述した構成を元に書いていますが、相手によって内容や雰囲気はガラリと変わります。
お礼状の例文:職場の人には仕事への意気込みも
春分の候、寒さが徐々に緩み、春風の気持ち良い季節を迎えました。
平素は格別のお引き立てをいただき、また、念願である長男の誕生にあたり、お祝いをいただきまして、ありがとうございます。
退院後、いただいたお品物は息子の必需品となりまして、これからも大事に使わせていただきます。
長男には、〇〇にちなんで、〇〇と命名しました。お産は何事もなく、現在は母子ともに健やかな毎日を過ごしております。
親になったことの実感と喜び、そして責任の重さを感じ、今後はよりいっそう仕事に励む所存です。
ささやかなお品物ですが、別便にてお礼の品をお贈りしました。ご笑納いただけると幸いです。
今後も、私たち家族をよろしくお願いいたします。
お礼状の例文:友人・同僚には親しみやすく
冬が近づくにつれていっそう寒くなってきていますが、お元気に過ごしていますか?
この間いただいた可愛いお洋服、本当にありがとうございます。
お産は無事すんで、赤ちゃんはよく泣き、よく眠ります。私も今は順調に回復しています。
赤ちゃんの名前は〇〇、〇〇のような人になりますようにと名づけました。
赤ちゃんが加わった新しい生活はバタバタとして不慣れなことばかりですが、夫婦で力を合わせて乗り越えていきます。
落ち着いたころに、赤ちゃんの紹介も含めて顔を出しますので、これからもよろしくお願いします。
お礼状の例文:家族や親戚には日々の感謝を
ますます寒さが増す今日この頃、あっという間に年の瀬を迎えました。
皆様、元気にお過ごしでしょうか?
日ごろから私たち夫婦の支えになっていただき心から感謝します。また、先日は長男の出産祝いに素敵なお祝いをありがとうございました。大事に使わせていただきます。
長男には、夫婦の名前を一文字ずつ取り、〇〇と名づけました。
〇〇はよくミルクを飲み、よく眠ります。成長が楽しみです。私もお産後の体調が徐々に回復しつつあります。
少しばかりの感謝の気持ちですが、お品物を贈らせていただきます。喜んでいただけると幸いです。
落ち着いた頃に、赤ちゃんと一緒にうかがいますので、今後ともよろしくお願いします。
お礼状の例文:連名で祝ってくれた人たちへ
寒さが増すこの頃、皆様いかがお過ごしでしょうか。
この度は、長男の誕生にあわせて、心のこもったお品物を皆様で贈っていただき、誠にありがとうございます。
さっそく、いただいた〇〇は息子の愛用品となっております。
息子は、〇月〇日に誕生しました。〇〇のような人物になりますようにとの願いを込めて、〇〇と名づけました。
おかげさまで、私も体力が戻りつつあります。
ささやかですが、お品物を別便にてお贈りしました。皆様でご笑納いただけると幸いです。
生活が落ち着いた頃に、息子の紹介にあがりたいと思います。
それでは、インフルエンザが流行していると聞いておりますので、くれぐれもお体にはお気をつけてお過ごしください。
今度とも、よろしくお願い申し上げます。
出産内祝いのお礼状に使う封筒
お礼状を準備する際は封筒選びも重要なポイントです。出産内祝いにふさわしい封筒、ふさわしくない封筒を見ていきましょう。
お礼状にふさわしい封筒はシンプルなもの
出産内祝いは正式な慶事。あらたまったお礼状にはシンプルな無地の封筒を選びましょう。といっても、茶封筒ではなく、白無地の封筒です。
誰に対しても白無地の封筒で送れば、まず間違いはありません。しかし、友人など親しい間柄なら多少のデザインをあしらった封筒でもOKです。
相手に違和感なく受け取ってもらえるものを考えて、使い分けてください。
二重封筒だと格式高く見える
ちょっと格式高く見せるなら二重封筒がおすすめです。二重封筒とは、封筒の内側に中紙が張られていて、中紙の内側に手紙を入れます。
厚みがあってフォーマルな雰囲気が出るので、目上の方に贈るときにおすすめです。
親しい友人に無地の二重封筒を贈ると少し堅苦しい印象になるので、デザインの入ったものを選びましょう。
友人でもカジュアルすぎるものは避けよう
親しい友人にはちょっとデザインの入った封筒で贈ることもおすすめですが、いくら親しい間柄でも柄が多すぎたりカラフル過ぎたりキャラクターものだったりと、くだけすぎた雰囲気の封筒は使わないほうがいいでしょう。
最近の封筒にはお菓子の香りがする封筒など、凝った可愛らしいものも販売されていますが、内祝いに添えるには飾り過ぎといえるでしょう。
出産内祝いは相手に感謝の気持ちを表すために贈るもの。あまりデザインが多過ぎるものは目的にそぐわないため、避けるのが無難です。
正式なお祝い事にふさわしい格式のある封筒を選びましょう。
出産内祝いが遅れてしまったら
万が一、出産内祝いを贈るのが遅くなってしまった場合、普通にギフトだけを送るのはおすすめできません。遅れてしまったことへのお詫びや対応が必要です。
遅れたら先に連絡を入れてお詫びを
出産内祝いが遅くなってしまった場合、まずは相手へのお詫びが必要です。「せっかく出産祝いを贈ったのに無視された」と不愉快に思われては大変なので、すぐに行動しましょう。
遅くなってしまったら、品物を贈るよりまず先に手紙を出し、贈り物は後から別便で送るのがおすすめです。電話連絡でも問題はありませんが、お詫びは文面で伝えたほうが丁寧な印象になります。
手紙の内容は、出産内祝いを贈るのが遅くなったことを素直に謝り、別便で品物を送るので受け取って欲しい旨をつづりましょう。
ちなみに、出産内祝いは産後1ヶ月〜2ヶ月の間に贈るのが一般的なマナーとされています。なるべくこの期間のうちに贈れるよう早めに準備してください。
内祝いが遅れたことへのお詫び文例
日頃よりお世話になっております。
この度は心のこもった出産祝いを贈っていただきありがとうございました。
本来であれば産後すぐにでもお礼を申し上げるべきところ、大変遅くなってしまい、本当に申し訳ありません。
改めてささやかなお礼の品を別便にてお贈りいたします。
今後とも私たち家族をどうぞよろしくお願い申し上げます。
まとめ
出産内祝いのお礼状は、構成さえ決まれば後は相手によって言葉遣いや表現を変えることで簡単に書けるでしょう。
また、使ってはいけない言葉、正式な手紙にふさわしい文具など、いくつかのマナーを知っているだけで立派なお礼状が完成します。
もし内祝いが遅くなってしまってもあわてず、先にお詫びのお手紙を送りましょう。お礼状もお詫びも、真心を込めて書くことがもっとも大切です。
相手へのちょっとした気配りで感謝の気持ちが伝わるので、ぜひ心のこもったお礼状を送ってくださいね。