飲む人をワクワクさせる
クラフトビール
京都醸造のビール作りのこだわりを教えてください。
ベンジャミン:
弊社には「Exploration -探究心-」「Craftsmanship -技能-」「Ethical -エコ-」「Engaging -引き合う力-」という四つの基本的価値観があります。そのうちビール造りに特に重要なのが「Exploration -探究心-」と「Craftsmanship -技能-」の二つです。
クラフトビールの強みの一つは作り手も飲み手も常に新しいものを体験できることです。そういう気持ちを込めて「探究心」という基本的価値観を大切にしています。
もう一つの基本的価値観「Craftsmanship‐技能‐」はクラフトビールという言葉にも入っています。大量生産のビールとは違い製造方法や商品ごとの味わいにこだわってビールを造っています。それらを支えるブルワー(醸造者)の技能が弊社にとって大事なことです。
── 基本的価値観「Exploration -探究心-」があふれるオリジナリティのあるクラフトビールを造られていますが、京都醸造のビールのインスピレーションはどこからくるのでしょうか?
ベンジャミン:
クラフトビールの楽しみは味や新しい商品が次々と出てくることだと思います。もう一つのよいところは、コラボレーションを重視している業界であることです。ブルワリー(醸造所)同士のコラボでは勉強になることが多く互いにメリットがあります。ほかの業界とも、料理とのペアリングでコラボをしたりもします。社内でもスタッフからのアイディアをオープンに受けつけてコンセプトに活かしたりしています。
── フレンチのシェフ出身の方もいらっしゃるとお伺いしたのですが……?
ベンジャミン:
醸造スタッフのひとりがそうですね。他にも調理経験のあるスタッフがいます。スタッフのさまざまな経験を活かして味のマリアージュに挑戦しています。
麦芽・ホップ・酵母が
おりなす味のマリアージュ
定番ビール3種に使われているベルギー産酵母の魅力とは?
ベンジャミン:
ベルギーはヨーロッパの中でもビール文化が深い国なんです。他の国と比べると麦芽やホップだけではなくて酵母自体もビールの味を左右する大切な材料として使っていることが特徴です。
── ビールの味と言えばホップの苦味のイメージですが、それだけではないんですね!
ベンジャミン:
弊社で使うベルギーの酵母は、わりとドライなキャラクターなんですが、スパイスやフルーツとかを感じるものになっています。その酵母といろんなホップや麦芽をマリアージュして造ったビールの味を楽しんでいただけます。
クラフトビール
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職人のまち京都
京都を選んでブルワリーを始められましたが、いかがでしたか?
ベンジャミン:
このまちで始めてよかったなと強く感じています。京都にいて苦労したことはなかったですね。京都は「職人のまち」と呼ばれていて、クオリティや技術を大切にする弊社と共通点があると感じています。だから、クラフトビール造りに向いているまちだと思っています。
── 工場は京都の住宅街のなかにパッとあらわれますよね。
ベンジャミン:
そうなんです。工場の近所の人たちがサポートしてくださったことが想像以上に多く、地域のコミュニティの中に入れていると感じます。工場併設のタップルームがあるのですがコミュニティの一つのハブとなれたのが非常に嬉しいです。本当にラッキーだと思っています。
お客様へのメッセージ

── ご自宅で召し上がるお客様へ、ビールを飲むためのアドバイスをお願いします。
ベンジャミン:
缶や瓶から直接飲むよりも、お店で飲むときのようにグラスに注いで飲んでください。グラスはチューリップ形の方が香りを楽しむことができます。また、ビールの種類によりますが、あまり冷えすぎると味と香りをしっかり感じられないので、ちょっとだけ温度を調整して飲んだ方が美味しく感じると思います。あとは、いろんな料理とペアリングしてみるという楽しみ方もいいかなと思います。
── 最後に今後の抱負を教えてください。
ベンジャミン:
6年前に始めてここまで来たという喜びはあるのですが、今よりももっと美味しいクラフトビールを造れると思っています。「探究心」を大切にビールのクオリティを含め、「新しい楽しいビールの味」を目指してこれからもいろいろ挑戦していきたいと思います。
ベンジャミン・ファルクさんをはじめ京都醸造の創業者チームはIPA(インディア・ペール・エール)スタイルのビールがお好きだそう。
でも、そういえばIPAって?ビアスタイルの違いってなんなのでしょうか?
ビールの発祥は紀元前4000年以上前と歴史が長く、世界には100種類以上のビアスタイルがあります。発酵の時に使う酵母の違いによりラガー酵母のラガー系、エール酵母のエール系、その他の酵母の3つのスタイルにわけられます。
一般的なビールはラガー系にあたり、すっきりとしたマイルドな味わいが特徴でピルスナー、メルツェン、デュンケルなどがあります。エール系は香りと苦味が強いスタイルで、ペールエール、IPAなどのほか、京都醸造のセゾンスタイルの『一期一会』もベルギー発祥のエール系ビールです。

IPAってどんなビール?
IPAの歴史は大航海時代にさかのぼります。イギリスからインドへビールを持って行くために防腐作用のあるホップを沢山入れたことがはじまりと言われています。グラスを口元に運ぶと香りが鼻を刺激し、飲むとキュッとしたホップの苦味を感じますが、飲むうちにハマってしまう人が多いスタイルです。
京都醸造では創業から造り続けるIPAを含む定番3種を2021年初旬にリニューアル。「まずはビール」というスローガンのもと、変化を恐れず新しい味を探求する姿はまさに職人です。「まずは”京都醸造のおいしい”ビール」で乾杯しませんか?