喪中のとき「お歳暮は贈らないほうがよいのかな」と悩んでしまいますね。
実は自分・相手が喪中であっても、お歳暮を贈ることは問題ないとされています。
ただし喪中だからこそ、相手の気を悪くしないための配慮は必要です。
- 贈る時期や品選びは適切か
- お歳暮に添える挨拶状の内容・のし紙マナーに間違いはないか
この記事では、喪中でも一年のご挨拶をしたい方へ、贈り方や避けるべき行動について解説。
喪中に適した品も紹介するのでぜひ参考にしてください。
目次
喪中にお歳暮を贈るのはマナー違反ではない
自分や相手が喪中の期間であっても、お歳暮を贈ることに問題はありません。
喪中は「新年のお祝い・年賀状」や「結婚・新築などの慶事」は慎むべきとされていますが、お歳暮はお祝い事ではなく、あくまでも「日頃の感謝を込めて贈る季節の挨拶」なので、喪中であっても贈ることができます。
贈り主・贈られる側どちらが喪中の場合でも同様です。
喪中の期間を確認
喪中とは、近親者の死を悼んで祝い事などの行動を慎み喪に服す期間のこと。
喪中の期間についてはさまざまな考え方があり正解はありませんが、一般的には一周忌まで(およそ1年)と考える人が多いです。
また、喪に服すのは2親等までと考えるのが一般的です。
3親等は、おじ・おば、甥・姪、曾祖父母、曾孫です。
0親等(配偶者) | 12ヶ月前後 |
一親等( 両親・義両親・子) | 12ヶ月前後 |
二親等(兄弟姉妹・祖父母・孫) | 3~6ヶ月程度 |
<三浦先生からのひとこと>
現在は喪に服す期間は一周忌までと考えることが多いのですが、宗派や地域、家によって異なることもあります。
ちなみに、昭和22年までは、明治7年に制定された「服忌令(ぶっきりょう)」によって服喪期間が定められていました。
それによると、夫は13ヵ月、妻は90日、父母は13ヵ月、嫡子は90日、養子は30日、兄弟姉妹は90日、父方の祖父母150日、母方の祖父母は90日などと細かく規定されています。
喪中のお歳暮を贈る時期
自分が喪中であっても、相手が喪中であっても、お歳暮を贈る時期は一般的な時期と同じ。
「12月上旬~20日頃」を目安に、遅くとも25日までには贈ります。
ただしその時期にお歳暮を贈ってはいけない人もいます。
忌明け前の「忌中」にお歳暮を送るのは避けて
自分・相手とも「忌中(きちゅう)」の場合は贈るべきではありません。
「忌中」とは、遺族が故人の冥福を祈って喪に服し忌み慎しむ期間を指します。
忌中の期間は
- 仏教では四十九日法要を執り行うまでの49日間
- 神式では五十日祭までの50日間
とされています。
キリスト教では、カトリックは30日目に追悼ミサ、プロテスタントは1ヶ月目に記念式を行うので、これをもって忌明けとすることもあります。
浄土真宗は「死」に対する概念が違うため、忌中という考え方がありません。
そのため、四十九日の前にお歳暮を贈ってもタブーではないとされていますが、心情に配慮し、ある程度の期間をあけてからにしたほうがよいでしょう。
「お年賀」を贈るのはNG!寒中見舞いはOK
何らかの事情でお歳暮を贈る時期に間に合わなかったときは、年明けの「お年賀」に贈るのが一般的です。
しかし喪中に「お年賀」を贈るのはNG。
なぜなら「お年賀」は年賀状同様におめでたい事なので、喪中の方には控えるのが礼儀だからです。
お歳暮の時期を過ぎたら、寒中見舞いとして贈りましょう。
<三浦先生からのひとこと>
通常、寒中見舞いは小寒と大寒の期間に贈りますが、小寒に入る1月5日頃は松の内の期間中なので、喪中の方にはふさわしくありません。
そこで、松が明けてから贈るようにします。ちなみに、大寒の最終日=立春の前日=節分です。
【NG】お年賀の時期 | 関東: 1/1~1/7(松の内) |
関西:1/1~1/15(松の内) | |
【OK】寒中見舞いの時期 | 松が明けてから(1/8または1/16)、立春の前日(2/3頃)まで |
喪中の方へのお歳暮、適切な金額相場
お歳暮の金額相場は3000~5000円が一般的。
特にお世話になった方には8000円~1万円以上のお歳暮を贈ることもあります。
相手が喪中だからといって、いつもより高くする必要はありません。
その年だけ、過度に高額なお歳暮を贈ることは避けるべきでしょう。
喪中の方は、大切な人を失ったことへの喪失感を抱えています。
あまりに過度な気遣いが精神的な負担になるかもしれません。
相手の心情を考慮し、例年通りの予算で感謝の気持ちを伝えることが大切です。
喪中のお歳暮|のし・挨拶状マナー
喪中であっても贈ることができるお歳暮ですが、掛け紙のマナーには細心の注意が必要です。
通常、お歳暮の掛け紙(通称:のし紙)は、上記のような「紅白の蝶結びの水引」と「のし飾り」がついているものを使います。
しかし、右上にある「のし飾り」は慶事に用いられるものなので、喪中のお歳暮には適していません。
また、紅白の水引も避けたほうがよいでしょう。
掛け紙は「のし・水引なし」を選ぶ
自分・相手が喪中ときは、上記の画像のように「白無地の掛け紙」もしくは「白無地の短冊」を用います。
ただし短冊は略式なので、目上の方にはきちんとした無地の掛け紙を用いましょう。
無地ののし紙は「奉書紙」「無地の和紙」でも代用可能。文具店で購入できます。
表書きと名入れ
年内までに贈るなら、掛け紙の表書き(贈り物の名目)は「御歳暮」とし、下に贈り主の名前を書いて贈りましょう。
忌中などの理由により、本来のお歳暮の時期を過ぎる場合は「寒中御見舞」、目上の方には「寒中御伺」とします。
挨拶状の言葉選び、うっかり見逃しやすいポイント
喪中はお歳暮に添える挨拶状にも注意が必要です。
挨拶状の文面には、お祝いの言葉や「慶ぶ」など、慶事を連想させる言葉を使用しないようにしましょう。
また、喪中の心情に配慮し、
- 「お変わりございませんか」
- 「お元気でお過ごしのことと存じます」
- 「ご健勝のことと存じます」
などの文書も避けたほうがいいでしょう。
重ね言葉もふさわしくないため、つい入れてしまいがちな「ますます」などの言葉は使わないよう気を付けてください。
品物とは別に手紙を郵送する場合も同様です。
<喪中の相手にお歳暮を贈るときの文例>
拝啓
年の瀬も押し迫ってまいりました。
〇〇様には日ごろから何かとお世話になり、厚く御礼を申し上げます。
つきましては、感謝の意を込めて心ばかりの品を贈らせていただきました。
お納めいただけましたらありがたく存じます。
これから寒さも厳しくなりますので、風邪など召されませんようご自愛ください。
敬具
あなたが喪中のときの文例にも配慮が必要です。
あなたからのお歳暮を受け取ることで、先方は「負担がかかっていないかな…」心配してしまうかもしれません。
気遣いは無用であること、一年の感謝の気持ちをどうしても伝えたかったことなど、率直なあなたの気持ちを述べてもよいでしょう。
<あなたが喪中のときの文例>
拝啓
師走を迎え何かと慌ただしい時期かと存じます。
平素は一方ならぬご厚誼をいただき心より感謝しております。
〇〇の葬儀に際しましても、温かいお心遣いをいただき、大変ありがたく存じます。
心ばかりではございますが、日頃の感謝の気持ちをお伝えしたく、お歳暮の品をお送りしました。どうかお納めください。
寒気いよいよ厳しき折、ご自愛専一にてお願い申し上げます。
敬具
喪中のお歳暮は包装紙にも配慮を
喪中に贈るお歳暮は包装紙にも気を遣いましょう。
実は意外と気が回らないものです。
赤や金色の鮮やかな色、華やかな印象を受ける大柄の包装紙は避けたほうが無難です。
グレーや銀、薄紫がベースの落ち着いた色柄の包装紙を選びましょう。
喪中のお歳暮の心配事。贈り物マナーQ&A
お歳暮を贈る相手が故人だったときは?
これまで毎年お歳暮を贈っていたお相手が亡くなった場合、故人に宛ててお歳暮を贈ることはやめましょう。
お歳暮は感謝の気持ちを贈るもの。お世話になった方が亡くなったなら、それを機にお歳暮を贈るのをやめてよいと考えられています。
もし、亡くなっていたことを知らずに贈ってしまった場合は、お知らせを受けた翌年から贈ることを控えましょう。
ただし故人のご家族ともお付き合いがあるら、故人の配偶者やお子様などご家族にお歳暮を贈って縁を繋げ、交友を続けていくのもよいでしょう。
お歳暮をいただいたらお返しは?
お歳暮はお返しをする必要がありません。有難く頂戴し、お礼状を送りましょう。
拝啓寒気の候、〇〇様におかれましては益々ご健勝のこととお慶び申し上げますこの度は、心のこもったお品をいただきまして、ありがとうございました
いつも心にかけていただき、大変感謝しております寒さ厳しい折から、くれぐれもご自愛くださいませ
略儀ながら、書中をもちましてお礼申し上げます敬具
〇年〇月〇日
〇〇〇〇〇(受取人の氏名)
自分が喪中の場合、「亡くなったことを知らない人から故人宛てにお歳暮が贈られてきた」というケースもあるでしょう。
お礼状には、
- すでに故人であること
- 連絡の不行き届きに対するお詫び
- お歳暮を贈っていただいたことへのお礼
を書き添えます。
故人宛てではなく、「あなたが喪中だと知らない人から、あなた宛てにお歳暮が贈られてきた」場合には、「あえて喪中であることを伝えない」ことが多いようです。
お歳暮はあなたへの感謝の気持ちを表したもの。
喪中に受け取っても差支えはありません。
喪中であることを伝えることで、相手が申し訳ない気持ちになってしまうからです。
喪中の方に送ってはいけない品物
喪中の相手に贈ってはいけない品物の決まりはありませんが、「おめでたい紅白の色あいのもの」や、「お祝い事を連想させる縁起のよい品物」を贈るのは避けた方がいいでしょう。
例えば、慶事に使われることの多い
- 鰹節
- 昆布
- お酒
- 「あわび」や「はまぐり」などの貝類
は避けたい品物です。
縁起物をモチーフにしたお菓子も贈るべきではありません。
- ツル・カメ・松……長寿
- ひょうたん……除災招福
- フクロウ……苦労がない、福がくる
- ウサギ……子孫繁栄、飛躍
ギフト定番のタオルは好適品ですが、カラフルな色合いや紅白の組み合わせのものもあります。
贈る前に色やパッケージの華やかさなどをしっかりと吟味しましょう。
また、仏教で「四つ足生臭もの」と呼ばれる肉・魚などの生ものは、喪中のお歳暮では避けた方が無難です。
1年の感謝を伝えるお歳暮ですから、品物を選ぶときも喪中である相手の気持ちに寄り添う心づかいが大切です。
喪中の方に贈るお歳暮のおすすめ品
ここからはギフト専門店「GiftA(ギフタ)」が具体的な品物を、おすすめする理由と共にご紹介します。
喪中の人に対するお歳暮の品選びは、特に慎重さが求められます。
明るい色合いや派手なデザインの品物、喜びやお祝いを連想させるアイテムは避け、落ち着きを感じさせるものを選びましょう。
日持ちする「焼菓子」
常温で配送できて日持ちがする「焼菓子」は、お歳暮におすすめの品物です。
クッキー・マドレーヌ・おせんべい・おかきなどの焼菓子は常温保存できるため、もらった側も保管に気を使う必要がありません。
味も好みが分かれにくく、幅広い年齢の方に安心して受け取ってもらえます。
また、個包装された小分けできるお菓子なら、先方が好きなタイミングで食べることができます。
気忙しい喪中でも、一息つきたいタイミングや、家族で過ごす団らんのひと時、また弔問客へお出しするおもてなし用としても役立てていただけるでしょう。
乾物「そば」「うどん」
定番の乾物「そば」や「うどん」は、年末年始に使えるため、お歳暮にこそおすすめの品物です。
もともと日持ちがする乾物は、贈り物の定番として知られています。中でも、そばは年末に食べる「年越しそば」としても活用してもらえます。
新年に「年明けうどん」の風習がある地域なら、うどんを贈るのもよいでしょう。
手間をかけずに食べられるように、麺だけではなく出汁やめんつゆが付いたギフトセットもおすすめです。
その他、お湯をかけるだけで食べられるフリーズドライ食品にも、品質の高いギフト好適品が登場しています。
これらは忙しいお相手に重宝されるでしょう。
体を芯から温める「入浴剤」
寒い季節に体を温められる「入浴剤」もお歳暮におすすめの一品。
いつものお風呂に使うだけで、手軽に疲れた体と心をリフレッシュすることができます。
葬儀・法要の準備・事務的な手続きなど、さまざまなことが重なって疲れている方に向けて「お疲れが出ませんように」といたわりのメッセージを伝える贈り物となるでしょう。
小さなお子さんが居るご家庭に贈るなら、肌に優しい無香料・無着色のものを、ご高齢の方なら効能重視で医薬部外品の入浴剤を選ぶなど、お相手に合わせて選ぶのがおすすめです。
今の”欲しい”を選んでもらえる「カタログギフト」
相手が今欲しいものを好きに選んでもらえる「カタログギフト」は、喪中に贈るお歳暮としても適した品物です。
お相手の好みがはっきり分からない場合でも、カタログギフトなら性別や年齢を問いません。
カタログギフトのメリット
- 贈られた相手:必要なものや好きなものを自由に選べる
- 贈る側:品物選びに悩む必要がない、贈り先様に価格が分かりにくい
喪中にお歳暮の定番ハムは贈って大丈夫?
ハムはお歳暮の定番人気商品です。
本来は「四つ足生臭もの」に該当してしまうため、喪中に贈るにはふさわしくありません。
しかしハムはもちろん、肉や魚などを掲載しているグルメカタログギフトを贈るぶんには問題がありません。
お贈りするのは「カタログギフト」なので、喪中であっても問題はなく、間接的に人気ギフトを贈ることができます。
同様に、酒や鰹節など喪中のお歳暮では避けたい品物も、カタログギフト掲載品ならそこから選ぶのは先方の自由であり、マナー違反には当たりません。
昨今は有名雑誌監修のカタログなど、読み物として楽しめるグルメカタログギフトも販売されています。
喪中の品選びに困ったときは、候補の一つに入れてみてはいかがでしょうか。
掛け紙・挨拶状も添えられるギフトショップならさらに安心
カタログギフトを贈るなら、掛け紙や挨拶状を無料で添えて送れる「GiftA(ギフタ)」がおすすめです。
さまざまなシーンに対応したオリジナルデザインの包装紙・掛け紙をご用意しており、贈るご本人の代わりに心を込めて一点ずつラッピングして発送しています。
カタログギフトは基本的に1冊からでも「全国送料無料」で、贈る方の送料負担を減らすこともできます。
喪中に贈るお歳暮マナーに迷われたときは、メールフォームから問い合わせをいただければ、ギフト専任スタッフが丁寧にお答えします(メールのお返事には1~2営業日かかります)。
喪中のお歳暮はマナーを守って送ろう
贈る相手が喪中であっても、一年の感謝を表すお歳暮を贈ること自体は問題ありません。
しかし、マナーを知らずに、ふさわしくないものや間違った掛け紙で贈ってしまうと、感謝の気持ちを伝えるどころか失礼にあたる恐れもあります。
喪中のお歳暮マナーを理解した上で、身内にご不幸があった相手の心情に寄り添いながら、心を込めた品物をお贈りして、感謝の気持ちを届けましょう。